ZOZO 2024年3月期 第3四半期決算発表 暖冬で平均商品単価は低下も送料無料施策やまとめ買いで平均出荷単価は増加

ECのミカタ編集部

株式会社ZOZO(代表取締役社長兼CEO:澤田宏太郎、以下:ZOZO)は2024年1月31日に2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)第3四半期の決算発表を行った。

商品取扱高、営業利益ともに第3四半期における最高実績を更新

商品取扱高、営業利益ともに第3四半期における最高実績を更新

取締役副社長兼CFO 執行役員 栁澤孝旨氏(以下、栁澤氏)によれば、2024年3月期 第3四半期における商品取扱高は4271億円(前期比5.1%増)、その他商品取扱額を除いた商品取扱高は3994億円(前期比7.4%増)。また、営業利益は456億円(前期比2.4%増)と商品取扱高、営業利益ともに第3四半期における最高実績だったことを発表した。

商品取扱高の増加について、栁澤氏は「暖冬の影響を受けアウター等の冬物衣料の売上に苦しんだものの、ブラックフライデーや本気のZOZO祭へ向けた積極的なプロモーションが効果を発揮し、成長率は今期内で一番高い実績となった。そのため、全事業トータルで商品取扱高はおおむね計画通りに進捗している」と分析した。

また営業利益は456億円で、前期比2.4%増としているものの、前年同期比だと3.8%減の着地となった。要因としては2024年4月に賃借予定の「茨城5」拠点の費用計上やその他、物流拠点増加に伴う固定費の増加等が考えられるとしている。これらの費用に関しては、計画策定段階で想定しており、今回の減益は想定内だとした。

送料無料施策、まとめ買い割引で平均出荷単価は増加に

Yahoo!ショッピングやBtoB事業を含まないZOZOTOWNの年間購入者は、1169万人(前四半期比+13万人)。過去1年以内に1回以上購入したアクティブ会員数は、1073万人(前四半期比+22万人)と増加し、ゲスト購入者は、95万人と前四半期比で8万人減少した。プロモーション強化や新規会員登録のポイント施策によって、アクティブ会員数の増加とゲスト購入者の減少につながっているという。

平均商品単価は4360円(前年同期比-1.7%)、平均出荷単価は9119円(前年同期比+1.8%)で着地。平均商品単価低下の要因としては、暖冬の影響によりアウター類等の高単価な売上が伸びなかったことやセール比率が若干上昇したことが挙げられている。

「平均商品単価は低下したものの、1注文あたりの購入点数が増加したことにより、平均出荷単価は増加しました。増加の背景としては、一定金額以上のお買い物をした場合に送料無料となる施策の投下日数が前年同期比で増加、多くのブランド様のクーポンが集中する日曜日に合わせ買いの割合が上昇したことが考えられます」(栁澤氏)

またショップ数も第3四半期末時点で1605ショップと前四半期末から24ショップの純増。出店数は48ショップ。ラグジュアリーブランドのMulberry、フットウェアブランドのDr.Martensや日本ロレアル株式会社が展開するイヴ・サンローラン・ボーテ、shu uemuraなど名だたるブランドが新規出店していた。

2024年4月から配送費の値上げ、値上げ緩和のための施策も

今後の主な動きとして、栁澤氏から下記2点が発表された。

①2024年4月から配送費の値上げ
②2024年4月から新物流拠点「茨城5」の賃貸開始


①2024年4月から配送費の値上げ
国際情勢や円安、労働人口減少に伴うコスト上昇および、2024年問題への対応を背景に、ヤマト運輸株式会社からの値上げ要請を受け入れたという。値上げ適用開始は2024年4月から。値上げ幅については、非開示としている。

ZOZOの対応としては、収益性を維持すべく、自社努力による他コスト削減や送料ポリシーの変更、複数注文を1件の配送とする「ゆっくり配送」の導入を検討しているという。ゆっくり配送は2024年3月からテスト運用を開始する予定だ。

②2024年4月から新物流拠点「茨城5」の賃貸開始
2024年4月から新物流拠点「茨城5」の賃借を開始予定だという。延床面積は6万㎡と他の物流拠点と比べると狭い。こちらは在庫管理に特化した拠点になるという。

「ブランドから預かる商品在庫の中でも、シーズン物など販売期間を経過しても引き続き販売するキャリー在庫が想定より増えてきた現状があります。そうすると倉庫の回転率と物量増加による作業効率も下がってしまうので、新しく在庫管理に特化した物流拠点を作る運びとなりました」(栁澤氏)。

今後も自社内の努力による作業効率の改善とブランドとは預かり在庫のクオリティ向上を目的とした対話を強化すると締めた。


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