【第3回】モールに負けないECサイトづくり~最新台湾EC事情~

小野 雄輝

前回のコラムでは、「定期購入」に焦点を当てて、日本と台湾のECの違いについて説明しました。

今回は、まず「定期購入」される商品の代表例である健康食品や化粧品に焦点を当てます。これらの商品は、どれほど台湾の消費者ニーズがあるのでしょうか?

【第1回】なぜ今、台湾なのか~最新台湾EC事情~
https://www.ecnomikata.com/column/12476/

【第2回】日本と台湾のECの違い~最新台湾EC事情~
https://www.ecnomikata.com/column/12717/

高齢化する台湾

コスメド(康是美)の様子

台湾は、2018年に総人口のうち65歳以上の高齢者の割合が14%以上の「高齢社会」、2025年に21%以上の「超高齢社会」を迎えるとされています。
(※日本は、現在総人口のうち65歳以上の高齢者割合が約27%の「超高齢社会」。)

そのため台湾では、人口の高齢化と所得の増加を背景に健康意識が高まっています。そして、日本に負けず劣らず健康食品に対するニーズが高まっているのです。

また、台湾では日本と比べて、女性が日常的に化粧をしている率が低いです。しかし、台北市内のデパートや百貨店には世界各国の化粧品ブランドが店を構えています。また、街中にはワトソンズ(屈臣氏)、コスメド(康是美)、日藥本舗などのドラッグストアが点在し、世界各国の化粧品が販売されているのです。

検索ボリュームが少ない理由とは

現在、メディアでも多くの健康や美容に関するテーマを取り上げており、台湾人の健康や美容に関する意識の高さを見て取ることができます。

一方でインターネットに視点を移すと、台湾人の健康や美容に関する意識の高さとは裏腹に…
・「肩こり」「二日酔い」「血圧」といった健康の悩み
・「くすみ」「しみ」「ニキビ」といった肌の悩み
・「青汁」「マカ」「ウコン」などの健康商品ジャンル
・「美容液」「乳液」「化粧水」などの美容商品カテゴリ
これらの検索ボリュームが(人口比率を考慮したとしても)日本に比べて圧倒的に少ないのが現状です。

美容や健康に関する意識が高い台湾で、それらについての検索ボリュームが少ないのはなぜでしょうか?

私なりの見解ですが、多くのユーザーは主にソーシャルメディア上であらゆる情報と接触し、より納得できる買い物をするためにクチコミを重視しています。そして検索サイトから「調べる」よりも、ソーシャルメディアを使って「調べる」「聞く」という姿勢を大切にしているからだと考えています。

なぜこの考えに至ったか。それは、Facebookページに寄せられるコメントにヒントがあったのです。

台湾では、企業のFacebookページに日本では考えられない程、多くのコメントが寄せられます。「商品の使い方」や「商品購入できる場所」についての問い合わせから、「商品を使った感想」まで、あらゆる消費者の声が届きます。

そのため、Facebookページ上に企業と消費者の生の声が投稿され、簡単なQ&Aサイトが出来上がるのです。そこで商品について疑問が生まれても、自ら検索して調べずに企業のFacebookページを見れば一目瞭然になりますよね。

台湾で望まれるECサイトの在り方

台湾では、より生活に密着した確実性の高い情報を得るために、ソーシャルメディアを活用します。

台湾のWEBマーケティングにおいて、インフルエンサーであるKOL(Key Opinion Leader)が良く活用されている理由は何だと思いますか?それは、ユーザーが検索サイトを入口としてではなく、ソーシャルメディアを経由して必要な情報に辿り着く傾向があるからです。私は、ソーシャルメディア上に広告ではない形でコンタクトポイントを設けておくことで、高い広告効果が得られているからだと考えています。

そんなソーシャルメディアが台頭する台湾では、自社ECサイトは、ポイントやEFO(エントリーフォーム最適化)、レコメンドエンジンなどが活用されるケースはあまりありません。クレジットカードで決済する際に一度外部サイトへ遷移するECサイトすら存在します。

一般的に新規ユーザーがECサイトを訪れる経路は、検索サイトからの流入が多いです。そしてECサイトでは、価格よりも価値観やデザイン性、機能性が重視されやすくなっています。

またソーシャルメディア経由で流入してきたユーザーは、その情報元となったユーザーの意見に共感してECサイトを訪れています。そのため、購入完了までの導線がシンプルであることが望ましいです。

本来は流入経路によってユーザーの行動は異なるため、それに合わせたサイト構築が必要になります。しかし台湾の場合は、多大なコストをかけて機能面やデザイン面を充実させることよりも、よりソーシャルメディアを意識したシンプルでユーザビリティーの高いECサイトが理想的です。

ECサイト×Facebookページを1つのチャネルとして考え、ECサイトでは買いやすさを追及する。そして、Facebookページではインタラクティブ性と生きた情報を提供することで、比較的簡単に顧客満足度の高い低コストのWEB店舗が出来上がります。

この顧客満足度の高い低コストのWEB店舗こそ、今、台湾で最も有効なECのカタチなのではないでしょうか。


次回のコラムは、1月25日(水)に公開です。台湾のSNS事情について、もう少し深堀してご紹介していきたいと思います。

著者

小野 雄輝 (Yuki Ono)

2005年サイバーエージェント入社。東京で自社メディアの代理店向けセールスを担当後、自社メディアの大阪営業所の立ち上げに参画。2008年にはインターネット広告事業本部へ異動し、関西、九州エリアのダイレクトマーケティング領域における新規顧客開拓に従事。2011年、2013年にインターネット広告事業本部管轄の全体総会にて、半期営業MVPを受賞。2015年、サイバーエージェント 台湾支店を立ち上げ、台湾現地日系企業のWEBマーティング支援に従事。

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