ハレの日消費 vs コモディティ消費~ドンマイコラム勘違いオムニチャネルな脱線EC~

佐藤 英俊

ネットショップの教科書に依存し過ぎて失敗する(失敗しながら成長する)人のための、ちょっとやそっとでうまく行かないからってドンマイなコラム。

ネットショップはホラーである
https://ecnomikata.com/column/13020/

EC前線北上中。そうだ、花見に行こう!
https://ecnomikata.com/column/13593/

ドンドンamazon化の進む楽天市場

私個人はamazonでの買い物が一番多い。なぜなら、ショッピングという趣味はないから。目的買いしかしないので、すぐ買えるamazonがとても助かります。ECのコンビニ、あるいは吉野家ですね。生活の近くにあって、いつでも開いていて、探すものがすぐに見つかって、最安値じゃないかもしれないけど、会計もすぐに終わって、最速で店を出ることができるのですから。

一方、日本のECは楽天市場によって築き上げられてきた、と言っても過言ではありません。ECならではの消費を喚起してきたという見方もできます。実店舗に例えるなら、セール会場(安売り)、あるいは物産展(珍しいモノとの出遭い)と言えばピンときますか。楽天市場もまた、ちょっとした(差別化された)イベントだったのです。

ところが、何でもECで購入するようになって(売上額の大きいコモディティ消費が増える)につれて、郊外型スーパーや街の商店からコンビニへシフトしたのと同じことがECにも起きました。つまり、的屋(楽天市場)では規模で勝てっこないから、同じコンビニ(amazon)で闘うことにした、それが「amazon化」と呼ばれる現象です。

しかし、そこには趣向も色気もありません。豊かな人生には、もっと違った形の消費行動もあることは知っています。ハレの日の消費は、コンビニや吉野家以外でされることが大半です。デートには、Tシャツだけではなくパンツや靴も必要です。今日は、そんなハレの日消費の話です。

ハレの日消費に向けた陳列なら、コーデを象徴とする利用シーンが大切です。冷蔵庫だって、売り物自体ではないちょっとおしゃれな食材や飲料を入れて見せる方法がありますよね。

企画立案は難しい、本当?

企画に実店舗もネットショップもありません。

私たちがお手伝いをする時の多くも、実は、以下のいずれかを基本としています。

紋日とは、年中行事や冠婚葬祭など何か事のある日の総称です。ハレの日。「もんび」は物日の訛り。大きく分けて、全国共通の公的な日(祝祭日、母の日、父の日、クリスマス、バレンタイン、ハロウィーン、節分、七夕、節句、お祭り、プレミアムフライデーなど)と、人それぞれの私的な日(誕生日、結婚記念日、賀寿、出産祝い、入学・卒業・就職祝い、新築・引越祝いなど)があります。

全国共通の紋日だけではありません。例えば、塚田農場のように、お客さんが集まって飲む理由をさりげなくヒアリングして、誕生日や昇進祝いなど私的な日を祝ってくれるのも嬉しいものですよね。CRMとか、気取って横文字にする必要なんかありません。

賀寿というのは、いわゆる長寿祝いのことです。喜寿や米寿以外にもたくさんありますし、緑寿のように21世紀の商売人が創作・消費喚起したものもあります。その由来を知ると、オリジナル企画を考える刺激になりますので、是非一度勉強してみてください。こじつけ上等!

賀寿一覧 http://www.kirara.ne.jp/choju/

それ以外だと、安売り(クーポンやポイント何倍含む)、開店・閉店・在庫一掃セール、無料お試しキャンペーンなどです。特に、女性の新規顧客を獲得する機会として有効です。なぜ、女性かというと価格弾力性が高い(値段の増減に敏感に反応する)からです。

別にECでやっても構わないのですよ。広く解釈すれば、普段起きないことが起きた日です。「今日は雨だから、久しぶりにあの店に行ってみるか」って、ECでもできたら素敵ですよね。

あと、実店舗との違いというと、ECには「復興」というキーワードがありますが、これは企画ではありませんので、安易な便乗はやめておきましょう。

●春は別れと出会いの季節
ECのミカタでの連載も、数えれば8ケ月。私を担当してくれた編集さんも卒業だそうです。彼女のハレの日に、このコラムを捧げます。楽しく書けたよ。ありがとう。


著者

佐藤 英俊 (Heyday Satoh)

一級小型船舶操縦士。潜水士。座右の銘は「Discover new horizons! - 新しい視野を発見しよう」です。「視野=水平線・地平線」という言い回しが素敵ですよね。しかも、複数形。つまり、水平線は一つではありません。丘に登れば、別な水平線を見ています。一緒に新しい水平線を目にしましょう。

世界で最初の「震度計」を世に送り出したという異色の経歴。その後、IT 系に転じ、日本で二番目に co.jp ドメインを取得。21世紀に入って起業。カリフォルニアに居を構え、日本発のマルチメディア技術をハリウッドと世界の映画産業に浸透させた。モノ作りや新規事業の実体験を活かしてクライアントの支援をしている。

長年の夢、まだ叶っていない夢は、吐噶喇列島を旅すること。

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