こんなWEB接客は嫌われる!コンバージョンを上げる接客・下げる接客

金城 慧

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皆さん、こんにちは!WEB接客の伝道師こと、テモナ株式会社の金城です。前回の記事では、「EC業界でWEB接客が注目されている理由」についてお話しました。

【第1回】もはやECの常識!?「WEB接客」が市場規模拡大中の理由
https://www.ecnomikata.com/column/14862/

今回からは、売上アップするための具体的な接客内容を紹介します!

前回のまとめ

早速、施策を紹介...とその前に、前回の内容を簡単に振り返ってみましょう。

●WEB接客とは、ユーザーの心理を汲み取り、WEB上で対応を変える技術。
●WEB接客は、売上のあらゆる要素を向上させる。
●AIタイプのツールが登場しても、WEB担当者のノウハウが大事。

前回はこんなことをお話しました。ECサイトだけではなく、サービスサイトやコーポレートサイトなど、あらゆるサイトで導入が進んでいるWEB接客ですが、「ツールを使って、はい終了!」「施策はAIに丸投げ!」では効果が出ません。「訪問者、購入者はどんなことをされたら嬉しいのかな?」と予測を立て、接客の施策を実行するのが大事とお伝えしましたね。

その接客、何を目的にしてますか?

それでは、今回の内容に入ります。当然、WEB接客を行う目的は売上アップのためですが、売上アップをするにはどんな数値を上げれば良いのでしょうか?売上の計算式を分解すると下記の図のようになります。

売上アップするには、
①”購入者数”を上げる
②”購入単価”を上げる(1回あたりの購入金額)
③”購入回数”を上げる(1人あたりの購入回数)
がポイントとなります。

貴社のサイトでWEB接客を実施する際には、上記の中で何を目的にしているのか整理して実施しましょう。詳しくは後述しますが、購入者数を上げる接客と購入単価を上げる接客ではまったく異なります。

今更聞けない!コンバージョン率とは?

では、購入者数を上げるにはどうすれば良いでしょうか?一般的に考えると”広告宣伝をか活用して、お客様をたくさんサイトに呼ぶ”ことですよね。しかし同じくらい重要なのは、”サイトに訪問したお客様に対して「買いたい」と思わせ、行動させる”ことです。

ゼロからのスタートで、広告なきにしてEC事業を成立させた企業はほとんどいません。しかし、広告からたどり着いた先のサイトで商品の魅力を感じなければその場で離脱します。

このように、広告を経由してサイトに来た訪問者を、正式な商品の購入者に転換させることを”コンバージョンさせる”といいます。そして、訪問者が購入者になる確率を”コンバージョン率”と呼びます。

WEB接客は、コンバージョン率の向上について特に親和性が高いです。初めてWEB接客に取組む方は、まずはコンバージョン率向上の施策から始めることをオススメします。

こんなWEB接客は嫌われる!

さて、先ほど「購入者数を上げる接客と購入単価を上げる接客は異なる」と述べました。端的に言うと「その人の立場に合わない接客は嫌われる!」ということです。わかりやすく理解していただくために、下記のシチュエーションを思い浮かべて見てください。

あなたは雑誌を読んで、とある服に興味を持ちました。試着してみてみようと、アパレルショップに足を運びました。このショップには初めての来店です。

店員さん「いらっしゃいませ!ご試着いただけますのでお気軽に仰ってください。」
あなた「ありがとうございます。雑誌に載っていた●●が気になっているんですけど...」
店員さん「●●ですね!サイズはどちらがよろしいでしょうか?」
あなた「MサイズかLサイズで試してみたいです。」
店員さん「かしこまりました!商品をお持ちいたしますので、試着室にご案内します!」

なかなか気の利く店員さんです。気になっていた服もサイズがバッチリで、購入しようとしました。

あなた「ありがとうございます。ではMサイズでお願いします。」
店員さん「かしこまりました。ちなみに同ブランドで人気のバッグがあるのですが...」

しかし、今日はもう予算がありません。今日は断ろうとすると...

あなた「今日はこちらの●●のみで結構です。」
店員さん「いいんですか?多分翌日には完売しますよ。国内でも売切れ続出で...」

初めての来店で、ここまで念押しされるとどう思いますか?目当ての商品は買えても、お店自体の印象は悪くなると思います。

WEB接客でも同様です。初めての訪問者がある程度目的の商品が決まっている中で、別商品をオススメすると、「ウザい!」と嫌われる原因となります。

例えば初回訪問者に対して、訪問した瞬間に、サイトの端で高単価商品をオススメするポップアップバナー。経路にもよりますが、初回訪問者のほとんどは、「まずはサイトにある商品を色々見て回りたい」「商品そのものがどんなものかよく知りたい」「商品自体は検討してから買いたい」と思っている心理状況です。その人立場に立って考えると、サイトの端で高単価商品のバナーが常に表示されているのは迷惑ですよね。しかも、そのバナーがデカデカと表示されていて、サイト自体が読みづらいとなると、クレームを入れられることさえあるでしょう。

チャット、クーポン、ポップアップ、離脱防止...。昨今、WEB接客ツールの機能は便利になり、色んなことができるようになりました。ツールの導入にあたっては、元を取るために最大限の有効活用をしたいと思うもの。「利用できる機能はとりあえずすべて使おう!」と思いがちですが、嫌われる接客をしては元も子もありません。施策を実施する際には5W1Hを意識してください。

いつ(When)
どこで(Where)
誰に(Who)
何を(What)
どうして(Why)
どのように(How)

”どうして(Why)”については、事業者側の目的と、訪問者側の立場をセットで考えてみてください。

以上を踏まえて、当社WEB接客ツール「ヒキアゲール」で成果の出た施策を紹介します。

WEB接客図鑑1『ステップクリエイティブ』

【オススメ業界】健康食品、化粧品、食品
【効果】★★★★☆

【いつ】LP訪問時
【どこで】LP
【誰に】1〜5回目訪問者
【何を】LPのクリエイティブ
【どうして】
事業者の目的:コンバージョンを上げるために
訪問者への価値:信頼、後押し
【どのように】
訪問回数ごとにリダイレクト(自動転送)でLPの見栄えを変える

まずは、訪問回数ごとにLPの見栄えを変える方法です。前述の通り、訪問回数によって訪問者の心理は大きく異なります。あらかじめシナリオを考え、ステップ通りにLPで接客する...これを『ステップクリエイティブ』と名付けました(笑)。

初回訪問時は、商品・サービスを理解してもらうため、通常のLPを表示します。
その上で、2・3回目訪問の方は、「他社の商品を見たけど失敗しないかな?」という心境です。そんな方に対しては、『ご検討中のあなたへ』と呼びかけ、お客様の声などのコンテンツを上部に表示させ、訪問者の安心を促します。
それでも購入せず、4・5回目訪問の方は、「欲しいけどもうひと押しほしい!」という心境です。ここまで迷われた方に対しては、『今だけ・ここだけ・あなただけ』を強調した値引クーポンをバナーで表示させることで、購入への後押しになります。

よく「初回からクーポンを表示させればいいのでは?」という質問をいただきますが、安易な値引きは利益率に響きます。クーポンは、最後の後押しだったり、すでに購入している方へ別商品を提案する時に利用することをオススメします。

WEB接客図鑑2『カゴ落ちメール』

【オススメ業界】全業界
【効果】★★★★★

【いつ】サイト、LP離脱後
【どこで】メール
【誰に】商品をカゴに入れたが、途中離脱した人
【何を】メール
【どうして】
事業者の目的:コンバージョンを上げるために
訪問者への価値:買い忘れの気づき
【どのように】
「お買い忘れないですか?」とリマインドメールを送る

“カゴ落ち”という言葉をご存知ですか?サイトに訪問し、商品購入ボタンを押したにも関わらず、購入手続きの画面で離脱してしまう現象のことをいいます。日本国内ECのカゴ落ち率は約60%と言われており、購入前最後のカベといえます。手続きまで進んでいただいたのに離脱されるのが一番もったいない!そんなカゴ落ち対策にオススメなのが『カゴ落ちメール』です。

その名の通り、カゴ落ちメールは、カゴ落ちした人に対して送るメールです。「お買い忘れないですか?」と訪問者の人に気づいてもらうための接客です。ここで注意点ですが、営業的な文言は控え、あくまで気づかせるためのメールにしましょう。15文字以内の件名で、本文もシンプルにまとめた方が再訪率が高いことがわかっています。

WEB接客図鑑3『カゴ落ちポップアップ』

【オススメ業界】全業界
【効果】★★★★★

【いつ】サイト、LP離脱前
【どこで】購入手続き画面
【誰に】訪問中にブラウザ・タブを閉じようとした人
【何を】ポップアップ
【どうして】
事業者の目的:コンバージョンを上げるために
訪問者への価値:買い忘れの気づき
【どのように】
「お買い忘れないですか?」とポップアップを表示する

カゴ落ちはメールでも防止可能ですが、ポップアップの防止もオススメです。ふと閉じるボタンを押してしまった人に対して、「まだ購入は完了していません」と表示させることで、買い忘れに気づかせることができます。ここでのポイントは、ポップアップで電話番号を表示すること。スマートフォンは高年齢層にも普及していますが、フリック入力に慣れている方はあまりいません。入力が手間になって、離脱するというケースが多々あります。そんな方に対して「入力がお手間であれば、お電話での注文も可能ですよ」と表示するのは、立派な接客ですよね。

まとめ

今回の内容をまとめると、以下の3点です。

●コンバージョン率を上げる接客は売上向上に直結する!
●訪問者の心理を無視したWEB接客は嫌われる!
●5W1Hを考えて、接客施策を実施する。

第3回は、ちょっとニッチですが、定期引上率向上の接客テクニックについてお話します。
また「WEB接客に相談に乗ってもらいたい!」という方、ぜひご連絡くださいませ。

お読みいただきありがとうございました!

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【第1回】
もはやECの常識!?「WEB接客」が市場規模拡大中の理由
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著者

金城 慧 (Satoru Kinjo)

ECモール出店者向けASPサービスの法人営業を経て、
2014年にテモナ株式会社に中途入社。
カスタマーサポート部署にて、"コンシェルジュ"として
100社以上のECサイト立上げを支援。
現在は、自社サービスのWEBマーケティングを担当。

通販エキスパート検定準1級、
ネットショップ実務士レベル2、WEB解析士初級を保持。

たまごリピート http://tamago.temonalab.com/
ヒキアゲール https://www.conversion-up.net/