【第2回】「共感」を醸成して売上アップに成功したオリエンタルバイオ流クチコミ戦略とは?

吉田 奈美江

オリエンタルバイオ株式会社 WEB事業部 渡邉 梢 氏 ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に積極的に取り組んでいる企業の担当者に、現場でのSMM活動について聞くインタビューシリーズ【企業担当者に聞くSMM最前線】。今回は、健康食品の通販を手掛けるオリエンタルバイオ株式会社の担当者に、「共感を呼ぶクチコミ」を醸成するポイントについて聞きました。

こんにちは。
アライドアーキテクツ株式会社の吉田です。

私からは、ソーシャルメディアマーケティング(以下SMM)に積極的に取り組んでいる企業の担当者に、現場でのSMM活動について聞くインタビューシリーズ【企業担当者に聞くSMM最前線】をお届けいたします。
コラム第一回目となる今回は、オリエンタルバイオ株式会社のご担当者様に『「共感を呼ぶクチコミ」を醸成するポイント』について伺った内容をお届けいたします。

健康食品をインフォマーシャルなどで販売しているオリエンタルバイオ株式会社。近年はデジタルマーケティングを強化しているとのこと。「リアルな体験に基づく“共感”を介して、お客様の心の深い部分に訴えかけるプロモーション」をモットーとする中、デジタルであっても“共感”の醸成に注力するオリエンタルバイオ流の戦略ポイントを、担当者の渡邉 梢(こずえ)氏にうかがいました。

「クチコミ」がネット広告を補完

「クチコミ」がネット広告を補完モニプラファンブログに開設されているオリエンタルバイオ公式ファンサイト

―― まずは、貴社の取扱商品や販売方法から教えてください。
渡邉:中高年向けの健康食品「ラフィーネ」シリーズや、敏感肌・デリケートな肌でお悩みの方にご愛飲いただいている「アレルナイトプラス」などを販売しています。販売方法はインフォマーシャルが中心ですが、「アレルナイトプラス」はターゲット層を考え、インフォマーシャルとともにネット通販を軸に展開しています。


―― 近年はクチコミを活用したオンラインマーケティングに力を入れているそうですね。どのような施策を行っているのでしょうか?
渡邉:「アレルナイトプラス」の商品モニターを募集し、商品をまずは1~3ヶ月間お試しいただきながら、顔や体の写真付きで商品の感想をブログなどに書いていただいたり、直接ご本人にアポイントを取って取材をし、それをインフォマーシャルやDMに反映させながら、ウェブ上でも紹介しています。それから、ターゲット層に向けた座談会を開催し、その様子をコンテンツとして発信することもあります。モニターさんの募集は「モニプラファンブログ」を利用しています。


―― なぜクチコミ施策を強化しているのでしょうか?
渡邉:健康食品を販売する上で「第三者の感想」は非常に重要なコンテンツです。商品を使ったことがない消費者にとって、企業側からの一方的なPRだけでは購入に踏み切れないことは珍しくありません。騙されるんじゃないかと疑ってしまうこともあると思います。特に「アレルナイトプラス」のように、お悩みをお持ちの方に向けた商品であれば、なおさら第三者の感想が気になるはずです。

ですから、「アレルナイトプラス」のインフォマーシャルを見た方々が商品に興味を持っていただいたとすると、考えられる行動としては、いきなり当社に電話をするのではなくて、まずは商品についてインターネットで検索することが多いと思います。消費者が検索したときに、リアルなクチコミが見つかれば、商品を購入すべきか判断する材料になるはずです。当社はリスティング広告、バナー広告、リターゲティング広告、アフィリエイトなど、ウェブプロモーションを一通り行っていますが、そういったプロモーションではカバーしきれない部分を「第三者の感想」や「ユーザーの声」で補完しているイメージです。

モニター起用のインフォマーシャルが好評

―― モニター施策に取り組む上で、重視している点はありますか?
渡邉:いかに「共感を呼ぶか」という点を強く意識しています。ですから、本当に敏感肌に悩んでいる方にモニターを依頼します。敏感肌などで悩んでいる方にとって、自分と同じ悩みを抱えている人の本物とわかる体験談は共感しやすいですが、宣伝目的の偽りのコメントでは、本当の意味でお客様の共感は得られないでしょう。

当社は創業当初から、お客様への“共感”を重視して通販を手掛けてきました。例えば電話注文には社員が対応し、できる限りお客様と緊密なコミュニケーションをとることで、お客様の悩みに寄り添います。お客様から、趣味や個人的な悩みまで打ち明けて頂けるような信頼関係を作る努力を続けてきました。近年はネット通販にも取り組む中で、デジタルマーケティングは表面的な施策に陥りがちであることが課題だと感じています。そこで、「共感を呼ぶ体験談」を醸成することで、お客様同士の共感を生み出し、お客様の心の深い部分に訴えかけるプロモーションを目指しています。


―― モニターさんを起用したインフォマーシャルが好評だったそうですね。
渡邉:「アレルナイトプラス」のインフォマーシャルにおいて、新しい試みとして、ターゲット層である敏感肌に悩んでいる方々にお集まりいただき、その座談会の様子をそのまま撮影して、インフォマーシャルのコンテンツとして放送しました。インフォマーシャルは、参加者の皆さんが悩みを打ち明け合うリアルな座談会の様子からスタートしたので、視聴者は「このインフォマーシャルは信頼できる」と感じてくださったと思います。そして、モニターさんと同じ悩みを抱える視聴者の共感を得ることができたのではと考えています。

モニターさんが本音で話せるように、座談会をできるだけ自然な雰囲気にするため、撮影はスタジオではなく、おしゃれなカフェを貸し切って行いました。座談会が始まるまでどんな会話が飛び出すか分かりませんでしたが、結果的にすごく良い座談会になりました。

ファンサイトが顧客のコミュニティーに

ファンサイトが顧客のコミュニティーに

―― 出演者を集めるのに苦労しませんでしたか?
渡邉:座談会は敏感肌のお悩みを話していただく内容で、コンプレックスをテレビで晒すわけですから、おそらく参加者がそれほど集まらないだろうと思っていました。しかし、「モニプラファンブログ」で募集したところ、ありがたいことに20数名くらいの応募がありました。


―― なぜそれほど多くの方が応募してきたのでしょうか?
渡邉:これまで多くのモニター参加者がおっしゃっていたのは、敏感肌などのお悩みを他人と共有出来る機会がほとんどないため、自分の悩みを聞いてもらえて、相手の悩みも聞ける場があるなら参加してみたかった、そして同じ悩みを持つ方々への情報発信につながれば自分もうれしいというご意見です。つまり、同じ悩みを持つ人と交流したい、共感したい、それからお役に立ちたいという思いを持っている方が、多くいらっしゃるということなのだと思います。「モニプラファンブログ」の当社ファンサイトは、クチコミ投稿サイトという役割にとどまらず、敏感肌で悩んでいる方々が「共感」をベースに集まり、「情報発信」をするコミュニティーにもなっていると思います。


―― 通常のインフォマーシャルと比べて、反響や売り上げなどの効果はいかがでしたか?
渡邉:ターゲット層への反響は明確でした。“共感”からうまれた商品購入なので、リピート率も通常より高いのではないかと感じています。放送後、通販サイトの回遊率も高まりました。おそらく、真剣に情報を得ようとしてる方のアクセスが増えたことが要因だと思います。

モニターとの信頼関係がカギ

モニターとの信頼関係がカギインタビュアー:
アライドアーキテクツ株式会社 マーケティング事業本部 第三営業部 三宅 秀

―― 「モニプラファンブログ」を始めたきっかけを教えてください。
渡邉:「アレルナイトプラス」の主なターゲットは、20~50代の女性で美容意識が比較的高い方を想定しており、「モニプラファンブログ」のユーザーが商品のターゲットにマッチしていると感じました。また、ユーザーアンケートも実施できるため、お客様一人一人のことをしっかり理解できるだろうと判断して利用を決めました。


―― 実際に利用した感想はいかがですか?
渡邉:敏感肌などの方々の悩みはとても深刻なので、顔や名前を公開してクチコミを書いてくださる方を見つけるのはとても大変なんです。リアルな体験談を書いていただけるモニターさんとの接点を、これほどたくさん作ることが出来る手段は他にありません。


―― 「モニプラファンブログ」のファンサイト登録数は2700人を超えていますね。敏感肌やアトピーで悩んでいる方々がこれほど多く集まっているのはコミュニティーとしてすごいと思いますが、モニターさんに対するコミュニケーションで工夫したり意識したりしていることはありますか?
渡邉:例えば、モニターの当選を通知した後は、モニターさん一人一人から送られてきた言葉にきちんと返事をすることを常に意識しています。投稿してくださったモニターさんに対して、お礼のメールなどを送るときなども一斉送信は行いません。

モニターさんとメッセージのやり取りをする中で、例えば季節的に「今どんなケアしてますか?」といった質問もしています。そこで得られた意見は、当社にとって大変貴重な情報です。投稿内容やモニターさんから送られてくるメールは毎日チェックしますので、「モニプラファンブログ」に関わる作業時間は1日30分から1時間くらいは取っていますね。


―― とても丁寧にコミュニケーションを行ってらっしゃるんですね。
渡邉:お客様が当社の商品に奇跡的に出会って、商品を選んで、商品にご満足頂いて、当社に対して「ありがとう」と言ってくださることがとても嬉しいです。運命と言ってしまうと大げさかもしれませんが、お客様がこの商品に出会わなかったら、その言葉も生まれないし、当社とのつながりもなかったと思うと、お客様とつながれる喜びのような感覚も生まれてきて。お客様とのコミュニケーションは、私としてはとてもやりがいがあることなのです。


―― そういった丁寧なコミュニケーションを積み重ねて、モニターさんとの信頼関係を構築できていたからこそ、インフォマーシャル用の座談会の参加者を募集したときに、多くの応募者が集まったのかもしれませんね。
渡邉:そうかもしれませんね。

将来はファンサイトのメンバーと一緒に商品開発も

将来はファンサイトのメンバーと一緒に商品開発も

―― デジタルマーケティングとインフォマーシャルの相乗効果はありますか?
渡邉:ものすごくあると思います。インフォマーシャルの視聴者が検索する際、使った検索キーワードを色々洗い出していくと、消費者が求めていることが分かってくると思います。ウェブだけのマーケティングではなく、インフォマーシャルと上手く連携させることが、弊社の強みを活かしたマーケティング戦略になると思いますので、さまざまな検証を行い、手法を確立していくことが今後の課題です。


―― 最後に、これからの展開についてお伺いします。「モニプラファンブログ」のファンサイトというコミュニティーを生かし、新しい取り組みをしてみたいというお考えはありますか?

渡邉:構想段階ですが、ファンサイトのメンバーと協力して商品開発に取り組んでみたいと考えています。せっかく当社の「モニプラファンブログ」には、同じお悩みを抱えていると考えられるファンがこれだけたくさんいて、その方々と知り合う機会があるわけですから、ファンの方々の喜びや笑顔を具現化する形で新しい商品がうまれるといいですよね。

ファンの方が起点となって商品開発を行い、ファン自身が商品情報を発信するような取り組みが実現したら、我々が行っている宣伝によって得られる結果とはまったく違う形のプロモーション効果がうまれるのではないかと思うんです。ファンサイトのメンバーに開発の時点から関わっていただいて、その方々にアンバサダーなっていただく。そういうような施策が打てれば、さまざまな可能性が生まれてくるんじゃないかと思ってます。



<プロフィール>

渡邉 梢 氏
オリエンタルバイオ株式会社
WEB事業部

オリエンタルバイオ株式会社
http://www.orientalbio.co.jp/
モニプラファンブログ【オリエンタルバイオ】公式ファンサイト
http://monipla.jp/orientalbio/


インタビュアー:三宅 秀
アライドアーキテクツ株式会社
マーケティング事業本部 第三営業部


記事構成・執筆:渡部 和章
ライトプロ株式会社


著者

吉田 奈美江 (Namie Yoshida)

化粧品メーカーの営業を経て、アライドアーキテクツ株式会社に入社。
入社後は、口コミでECや店舗の売上向上につなげる国内最大級のファンサイトモール『モニプラファンブログ』の営業、運用サポートを担当。
メーカー時代の経験やプライベートで執筆を続けるブロガーとしての経験を活かし、
企業と消費者双方の気持ちに寄り添ったソーシャルメディアマーケティングの提案、支援を行っています。

国内最大規模のファンサイトモール「モニプラ ファンブログ」
https://www.aainc.co.jp/service/blog/
SMMLab:https://smmlab.jp/
SNS for Biz:https://sns4biz.com/