【書評】EC支援のプロと繁盛店が共に導いた『EC成功の鉄則』とは

ECのミカタ編集部

 EC市場は2020年に20兆円まで成長するといわれています。このEC市場で、「売り方」や「売れるための方法」を知らないことは大きなマイナスでしょう。しかし、今からECの基礎を学び、「売上アップの方法」を1つ1つ習得するのはとても長い時間が必要になってしまいます。
 そこで、現在8200社以上のECサイトの支援実績を持つ『いつも.』が、「5年後も使える鉄則」を一冊にまとめました。数多くのEC企業の成功と失敗、ECの専門家である「いつも.」の知見が集約されて生まれた『売上アップの鉄則』とはいったいどのようなものなのでしょうか?

ECで成功する『戦略』と『戦術』

 ECで成功するためには、『戦略』と『戦術』の違いを理解する必要があります。第1章では、『戦略』と『戦術』の重要性、またその成功法が詳しく記されています。

 『戦略』は1~3年を視野に「出店場所」「ブランド」「システム・物流」「人材」を考えるものです。一方、『戦術』では半年~1年を視野に「品揃え」「売り場」「集客」「先客」「分析」を考えます。これらを事業の成長に影響する重要度の高い順に整理し、重要度を考慮して実行していくことがEC事業の拡大に繋がるのです。

 例えば、ECサイトといえば、「集客」に力を入れるべきイメージがありますが、「商品」や「売り場」を後回しにしてしまうと、十分な効果が発揮されません。せっかくの広告費が水の泡になりかねません。各施策の優先順位に考慮して、施策を実行する必要があります。

 第1章で述べられている、ECで成功するための「戦略・計画」の立て方として大切な点をまとめると以下のようになります。

「戦略・計画」の立て方
・月商の伸びに合わせて、段階を踏んで施策を打つこと。
・商材と価格に適した売り方を理解し、特徴に合わせて売り出すこと
・ECでは実需の2か月前を目安に販売をスタートすること
・「購入率」や「直帰率」など、「数」よりも「率」の改善を図ること
・モール出店は、各モールへ同時に出店すること
・LTVを考えたサイト作りを行うこと
・海外の最新事情を把握すること


 第2章以降では、『戦術』にあたる「品揃え」「売り場」「集客」「接客」「分析・体制」「オムニチャネル」にフォーカスを当て、さらに詳しくポイントが記されています。

 ここでは一例として、「品ぞろえ」における重要なポイントをご紹介します。

「品ぞろえ」における重要なポイント
・商材のカテゴリーを絞ることで、専門店化させ、商品の「両×数×幅」を充実させること
・商品の値付けは「1000円・3000円・5000円」など片手で考えられる数字に決めていくこと
・一番売りたい商品は、価格帯を真ん中にし、高価格と低価格の他の商品と共に売ることでお客様に選んでもらうよう工夫すること

 このようにEC運営の基礎となるポイントを整理。この本を活用することで、これからECをはじめる方は、より短時間で高い成果を期待できるのではないでしょうか。

本書籍の構成は以下の通りです。

第1章:売上アップに取り組むための「戦略・計画」の14鉄則
第2章:ライバルに負けない店をつくる「品ぞろえ」の11鉄則
第3章:繁盛店はこうして作る「売り場」の41鉄則
第4章:あらゆる手段でお客様を呼び込む「集客」の19鉄則
第5章:“おもてなし”が店をさらに強くする「接客」の16鉄則
第6章:成長のための改善サイクル「分析・体制」の11鉄則
第7章:次の成長市場で生き残る「オムニチャネル」の7鉄則

 ECサイトの売上アップに繋がる『戦略』と『戦術』について学ぶことができる一冊です。各章のテーマに沿って、成功に繋がる考え方や業界の法則、具体的なアクションなどのノウハウが記されています。
 
 また、一度読んで終わりではなく、使うべき時に、振り返りながら実際の店舗運営の場で活かせるように、ページ右上に「本店」「楽天」「Amazon」「Yahoo!」など、それぞれの出店形式のタグ書かれ、自分の店舗に関連する記述を見つけやすいよう工夫されています。

 8200社を超えるECサイトを支える中で「いつも.」が見出した、貴重なノウハウ「5年後も使える鉄則」が学べるだけでなく、本全体を通して、読み手であるECサイト運営者への思いやりを強く感じることができる事も本書の特徴です。
 
 売上を伸ばしたい方、「戦略」と「戦術」を改善したい方など、EC事業を伸ばしたい皆さまには、予習にも復習にも活用できる教科書として、お役立てください。


著者

ECのミカタ編集部

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