【書評】自店舗はどのタイプ?!ECのタイプ別に効果的な施策を学ぶ

ECのミカタ編集部

 ますます好調になるEC業界で、「売れるネットショップ」となって成功するために必要なものとは、いったい何でしょうか?
 「マンガで納得! インターネット販売 売れるネットショップ開業・運営」(以下、本書)は、自社やユーザーのポジションを正しく捉えたうえでの「集客・接客・追客のステップ」と「自店舗の特徴に適した施策」が成功の鍵であるとし、それらについて、漫画や図、画像などを多用することで、わかりやすく説明しています。

自店やユーザーの「ポジション」を掴むことが重要

 本書では、様々な場面において、自店やユーザーの「ポジション」を理解し、そのポジションに最も適したアクションを行う事が大切であると説明しています。

 自店のポジションを把握できると、例えばどのような販促施策を打つべきかが明らかになります。販促施策には、大きく3つ『集客』『接客』『追客』に分けることができ、店舗のユーザー状況によって、注力すべき販促施策が異なります。間違った施策をしてしまった場合、かえってお客様の離脱を招いてしまうということもあります。

 EC店舗の運営で重要な「ポジション」について、本書内の「すごろく理論」と「EC4タイプ理論」をご紹介しながら、説明していきたいと思います。

「すごろく理論」

 検索対策や商品アップ作業、メールマガジンの執筆など、何から手をつければ良いのかわからず困っている方もいる程、ネットショップが売れ続けるために行うべき販促施策は数多くあります。
 
 実は、数多の施策は以下のように大きく3つに分類することができ、シンプルに考えることができます。

・『集客』お客様を店舗に集める広告など
・『接客』品揃えやページの改善や商品の説明
・『追客』再び買ってもらえるようにするリピート促進

 検索対策は『集客』、商品アップ作業は『接客』、メールマガジンの執筆は『追客』というように、あらゆる施策が『集客』『接客』『追客』のどれかに当てはまります。これら3つの施策は、ネットショップのユーザー層に合わせて実行することでより高い効果を発揮します。では、ネットショップのユーザー層とはどのようなものでしょうか?

 ネットショップのユーザーは4段階に分けることができます。まだ店舗を知らない「潜在客」、何かのきっかけで店に訪れた「来店客」、ページを見て納得して商品を購入した「購入客」、商品に満足してリピート購入した「継続客」です。

 「潜在客」から「継続客」まで、ユーザーを育てるため、すごろくのように、1つ1つユーザーの段階に合わせて施策を行う必要があります。
 どんなに素晴らしい追客の施策があっても、そもそも集客ができていなければ、使う機会すらありません。まずは集客施策で潜在客に店の入り口を見せ、「来店客」に育てていく事がスタートです。
 
 また、『集客』『接客』『追客』の施策は「メルマガを出したら、いつもより注文が多くなった」といった「勘」で判断するのではなく、「クリック率」「購入率」「リピート率」のような「数値」で効果検証を行い、改善していく必要があります。ただし、それぞれの数値の相場は取り扱う商品や状況で異なるため、自店舗にはどのような特徴があるのかを正しく把握することが大切です。そこで自店舗の傾向を捉える指標となるのが、次に説明する「EC4タイプ理論」です。

「EC4タイプ理論」

 ネットショップは、どの店でも同じやり方で成功できるという事はなく、それぞれのタイプに合った集客や販売の成功法があります。

 では、そもそもネットショップはどのように分類されるのでしょうか。商品の購入には、検索を経由する「指名買い」とメルマガ等で勧められて購入する「衝動買い」の2パターンがあります。これらの購入パターンの多いか少ないかで、ネットショップを4パターンに分ける事ができます。効果的な施策を行うためにも、自社のタイプと特徴を正しく捉える必要があると言えます。

 ネットショップのタイプは『有名ブランドタイプ』『ニッチタイプ』『総合タイプ』『オリジナルタイプ』の4つに分類することでき、特徴はそれぞれ以下のようになっています。

▼『有名ブランドタイプ』
有名ブランド商品・型番商品が中心。多くの商品を取り扱い、個々の紹介文は短く、ショップのレイアウトはAmazonのようにシンプル。

▼『ニッチタイプ』
マニア向けなどの、ごく限られた客層向けか、ウェディング用品など人生の一時期でのみ購入する商品が中心。

▼『総合タイプ』
有名商品・無名商品が混在しているか、無名ブランドながら幅広く商品を取り揃えている。商品数は多く、カタログ通販に近い。

▼『オリジナルタイプ』
オリジナルブランド商品が中心。商品数は少なく、それぞれ力を入れて案内する。知名度がないため、開店しただけでは売れない。作りこんだ商品説明と集客が生命線となる。

売れるネットショップとして、ECで成功するには

 『集客』一つとっても、商品数やユーザーターゲットによって取り組むべき施策は異なります。自店舗のタイプを理解せずに、施策を行うことは危険です。例えば、『オリジナルタイプ』の店舗であるにも関わらず、とにかく商品を増やしてしまうと、コンセプトや強みが曖昧になってしまい、かえってお客様が離れてしまうというような事が起こってしまうからです。

 自店タイプを理解し、適切な施策を行いながら、『集客』→『接客』→『追客』のステップを踏み、お客様を「継続客」まで育てていく事が成功の鍵と言えます。

 本書は、ネットショップ運営の根幹となる部分から、具体的な施策までが細かく書かれている充実した深い内容でありながら、漫画や図、画像を多用することで、非常に読みやすくなっています。これからECを始める人はもちろん、今までECのノウハウ本を読んでも実践できなかった方や、自社の施策が適切なものか確かめたいという方には、是非ご一読いただきたい一冊です。


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