英国に「楽天ブロックチェーン・ラボ」を設立する意図

ECのミカタ編集部

「ブロックチェーン」とは何?

 仮想通貨といえば、Bitcoinなどが有名だが、そうした仮想通貨が行き交うプラットフォームとして注目されているのが、ブロックチェーンである。

 楽天株式会社(以下、楽天)は、英国・ベルファストに「楽天ブロックチェーン・ラボ」を8月22日に開催する予定だ。この「楽天ブロックチェーン・ラボ」は、ブロックチェーン技術に特化した研究開発組織で、フィンテックおよびEコマース分野における同技術の応用可能性を研究していく。

 「ブロックチェーン」とは、簡単に言えば、取引履歴だ。たとえばBitcoinなどの仮想通貨は通貨を管理する、日本銀行のような発行元がないのが特徴で、「ではどのようにビットコインが管理されているのか」となる。それは、すべての取引履歴がこのブロックチェーンと呼ばれる台帳に記録されている、と考えれば良い。

電子決済プラットフォーム「Bitnet」の知的資産取得

 楽天は、「楽天ブロックチェーン・ラボ」の設立に先立ち、ブロックチェーンを活用して電子決済プロットフォームを提供するBitnet Technologies,Ltd.(以下、Bitnet)の知的資産を取得した。Bitnetから楽天に移籍するスティーブン・マクナマラ氏がCTO(チーフテクノロジーオフィサー)として、ファーガル・ダウニーがエンジニアリングのヴァイスプレジデントとして、組織を率いる。「楽天ブロックチェーン・ラボ」は、楽天の執行役員であるフェルナンド・パウロ氏が率いるテクノロジーディビジョンのエコシステムサービス部が管轄する。

 楽天のグループエグゼクティブヴァイスプレジデントで、CIO(チーフインフォメーションオフィサー)兼CISO(チーフインフォメーションセキュリティーオフィサー)としてテクノロジーディビジョンを率いる平井 康文氏は以下のように述べている。

「『楽天ブロックチェーン・ラボ』の新設により、Bitnetの優れた知的資産と開発における深い知見に、楽天のフィンテック分野におけるリーダーシップやイノベーションを追求する企業姿勢が組み合わさり、金融やEコマースの決済のあり方に革新をもたらすとともにブロックチェーン技術の可能性を切り拓く端緒となることを期待しています」

 さらに、「楽天ブロックチェーン・ラボ」のヴァイスプレジデントを務めるフォーガル・ダウニー氏は以下のようにコメントしている。

「楽天が、ブロックチェーンの研究拠点をベルファストに新設することを喜ばしく思います。楽天にはブロックチェーン技術を活用できる様々な可能性があり、『楽天ブロックチェーン・ラボ』は新しく革新的なソリューションを生み出す場となるでしょう」

 楽天は今後も、フィンテック分野におけるグロービス規模でのイノベーションを推進し、顧客に世界水準のサービスを提供していく。

 日々進化を遂げている楽天だが、遂にブロックチェーンの分野にも幅を広げていく。ブロックチェーンにより、EC決済のあり方も変化し、店舗にとっても顧客にとってもより利便性が高いものに変わっていくはずだ。さらに、今回のニュースがEC業界に新しい風を吹くこととなるだろう。


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