定額制音楽配信サービスの利用実態は?選ぶ決め手は?(インプレス総合研究所調べ)

ECのミカタ編集部

 インプレスグループでIT関連メディア事業を展開する株式会社インプレスのシンクタンク部門であるインプレス総合研究所は、定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)の利用実態調査を実施し、その調査結果を発表した。今回は、インプレス総合研究所の調査をもとに、ユーザーはどのような音楽サービスを求めているのか考えていきたい。

様々な定額制デジタルコンテンツ配信サービス

 最近、動画・電子書籍・電子雑誌・音楽などのデジタルコンテンツの配信サービスにおける、定額制サービスが注目を集めている。8月3日にAmazonが電子書籍の定額読み放題サービス「Kindle Unlimited」を開始したり、8月4日には楽天が定額制音楽聴き放題サービス「Rakuten Music」を開始したことは記憶に新しいだろう。

 特に、音楽分野では、2012年に携帯電話事業者により「dヒッツ」や「うたパス」が提供開始され、2015年には国内事業者による「AWA」や「LINE MUSIC」などに加え、「Apple Music」や「Google Play Music」もサービスを開始した。このように、作品毎に課金するのではなく、月額の料金を支払うことで利用し放題となる定額サービスが最近ではトレンドとなりつつある。

定額制音楽サービス利用率は?メインで利用しているサービスは?

定額制音楽サービス利用率は?メインで利用しているサービスは?▲定額制音楽配信サービスの利用率

 定額制音楽配信サービスの利用率は、「現在利用している」が9.1%、「過去に使用したことがある」が16.5%であり、両者を合わせた定額制音楽配信サービスの利用経験者は全体で25.6%となった。性年代別にみると、現在の利用率は男性20代が13.3%で最も高く、その他の年代を見てみても、女性より男性の方が利用率が高い傾向があり、10-30代をピークに高年代では利用率が低くなる傾向のようだ。

 現在サービスを利用しているのが9.1%、全体でも25.6%ということで、一見サービス利用率はそこまで高くないように見える。しかし、MMDLabo株式会社による定額制サービスの利用経験の調査では、「動画」は22.1%、「電子書籍」は15.3%であったという。ゆえに、動画や電子書籍の定額配信サービスに比べると、音楽の定額配信サービスは需要が高いことがわかる。

 数年前から音楽業界では、CDではなく配信が主流になっているので、定額制配信サービスの需要が他のサービスに比べ高いと考えられる。そして、書籍や動画などのサービスでは、未だに直接の購入やレンタルも主流であり、音楽に比べると定額配信サービスがまだ定着していないと言えるだろう。

▲メインで利用している定額制音楽配信サービス

 定額制音楽配信サービスを現在利用していると回答した人に対する利用実態の詳細調査によると、現在メインで利用しているサービスは、Amazonがプライム会員向けに提供している「Prime Music」が36.2%で最も高いことがわかった。「Prime Music」はプライム会員であれば追加料金なしで国内外のアーティストの楽曲を楽しむことができるため利用者が最も高くなっていると考えられる。また、性年代別では、男女共10、20代で「LINE MUSIC」の利用者が最も多く、その他の年代では「Prime Music」の利用者が最も多くなっているようだ。

 10、20代で「LINE MUSIC」利用者が多いということから分かるように、パソコンだけではなく、スマートフォンから気軽に利用できるということが、定額制音楽配信サービスではこれからさらに重視されるのではないだろうか。

サービスを選ぶ決め手は?スマホ対応が重要?

サービスを選ぶ決め手は?スマホ対応が重要?▲メインで利用するサービスを選んだ理由

 サービス比較経験の調査によると、半数のユーザーは有料あるいは無料で他のサービスの利用経験があり、複数のサービスと比較して利用するサービスを決めているということだ。また、現在メインで利用しているサービスを選んだ理由では、「月額の利用料金が安い」、「好きなアーティストの楽曲が配信されている」、「オフラインで再生できる」、「楽曲の数が多い」などの要因が上位に挙げられている。

 また、定額制音楽配信サービスを利用し始めて良かったと感じる点では、約半数の人が「知らない曲に出会えることができた」や「聞きたい時にすぐ聞くことができる」と回答したようである。一方、不満に思う点では、「好きなアーティストの曲が配信されていない」がやはり最も高く、「毎回のパケット通信費」という項目も不満が高いということがわかった。

 利用料金や好きなアーティストの楽曲が配信されているということが重視されるのは、当たり前のことかもしれないが、やはり最近ではスマートフォンの普及により、オフラインで再生できるということがより重視されているようである。そして、スマートフォンでの利用が増えたということでパケット通信費という項目も重視されているようだ。

 様々な分野で定額制配信サービスが盛んになっている昨今の状況で、今回は音楽に焦点を当てたが、音楽という分野では、サービス内容の充実はもちろんだが、スマートフォンでの利便性が特に重視されているように感じた。スマートフォン所有率が年々高くなっているという現状を考えても、スマートフォンに対応したサービスが、今後さらに求められるようになるだろう。また、定額制配信サービスは、料金が一定なので、内容に加え、サービスがより洗練されていくことが予想される。定額制配信サービスの今後の動向に要注目である。


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