各世代のEC利用率は?世代で異なるユーザーのニーズ【総務省統計局調べ】

ECのミカタ編集部

 総務省統計局は、世帯におけるインターネットを通じた商品やサービスの購入、つまりネットショッピングの内訳について、2015年1月からの調査結果を発表した。今回は、ネットショッピングの実態及び、世帯属性別の特徴について考えていく。

ネットショッピングを利用した世帯の割合は?

ネットショッピングを利用した世帯の割合は?▲ネットショッピングを利用した世帯の割合の推移(二人以上の世帯)

 まずはネットショッピングを利用した世帯の割合について見てみる。調査によると、二人以上の世帯においてネットショッピングを利用した割合は、調査が始まった2002年は5.3%だったが、2015年には27.6%とおよそ5.2倍となっている。

 そして、2015年と2014年を比較してみると、割合が2.5ポイントの上昇となっているなど、2002年からネットショッピング利用世帯の割合は年々増加しているようだ。また、経済産業省が発表した2015年の「電子商取引に関する市場調査」によると、2015年のBtoC市場規模は13.8兆円であり、2014年の12.8兆円から前年比7.6%増加しているということで、国内EC市場規模も利用者のニーズと共に拡大しているのである。

世帯別の支出に差はある?

世帯別の支出に差はある?▲世帯主の年齢階級別1世帯当たりの年間のネットショッピングを利用した支出総額(二人以上世帯)

 次に、世帯別の支出がどうなっているか見ていく。二人以上の世帯における2015年1年間のネットショッピングを利用した支出総額は、1世帯当たり平均で103,716円となったそうだ。そして、これを世帯主の年齢階級別にみると、50代が155,916円と最も高く、60歳未満では15万円前後となっている。

 一方、60歳以上では、それ未満の世帯に比べ支出総額が低い。このように差が出たことの要因は、ネットショッピングを利用した世帯の割合の違いによるものなのだ。世帯主の年齢階級別の利用において、40歳未満では42.2%と最も高く、この割合は年齢層が高くなるにつれ低下していて、70歳以上では11.1%とおよそ1割に過ぎない。

 つまり、年齢層が高くなるにつれ、ネットショッピングそのものの利用率が低下していて、世帯当たりの平均が共に下がっているということである。では、ネットショッピングを利用した世帯に限定した1年間の支出総額はどうなっているかというと、70歳以上も387,804円となっていて、最も高い50代の407,988円とほぼ同水準の支出となっているようだ。

 高齢層ほどネットショッピングを利用している世帯は少ないが、ネットショッピングを利用している世帯に注目してみると、支出総額は他の世代とあまり変わらないので、高齢層をターゲットにしたEC事業展開も十分に有効なのだ。

支出先は各世代で違う?

支出先は各世代で違う?▲ネットショッピングの項目別支出割合(%)(二人以上の世帯)
注1「宿泊料」「運賃」「パック旅行費」の合計 注2「書籍」「音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト」「デジタルコンテンツ」「チケット」の合計 注3「医薬品」「健康食品」の合計
注4「自動車等関係用品」「上記に当てはまらない商品・サービス」

 では、二人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した支出総額の内訳はどうなっているかというと、「旅行関係費」が21.8%と最も高く、次いで「食品」が14.3%、「衣類・履物」が10.7%と続いている。旅行先の選定や宿泊・ツアーの予約などがECで気軽にできるようになり、活用されているということだろう。

 また、時期別にみると、「旅行関係費」は夏休み期間の8月、「食料」は年末の12月、「家電・家具」はボーナスシーズンの12月と7月、「贈答品」はお歳暮やお中元シーズンの12月と7月の支出が高くなっているようだ。

 そして、世帯主の年齢階級別支出の各項目において、「旅行関係費」は60代で24.6%と最も高く、次いで50歳代が23.8%となっていて、世帯主が職場からリタイアする前後でこの項目は高くなっている。

 一方、「衣類・履物」は、40歳未満が14.2%と最も高く、60歳代が8.8%、70歳以上が7.7%と、若年層と比べると5〜6割程度となっている。また、40代未満の利用内訳においては、子供用の衣類などの割合が高く、これらを含めインターネットで衣類の購入が多い傾向がある。このように、支出先に関しては世代による差異があるようだ。

 また、先ほどの調査で明らかになったように、ネットショッピングを利用している世帯の1年間における支出総額がおよそ40万円ということなので、それと項目別支出割合のデータを合わせれば、各項目における支出を予測することができるのだ。それぞれの項目でどの程度支出をしているか把握することは、より適正な価格設定の参考にもなる。そして、価格でユーザーとのギャップを小さくできれば、商品の購入にもつながるだろう。

 冒頭で触れたように、世帯別EC利用率は年々増加しているので、ユーザーのニーズを満たすため、そしてさらなる事業拡大のためにも、今回出された調査結果を参考にし、支出や動向を先読みした展開をしていただきたい。


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