世界の消費者○○%が海外から商品を購入【ピツニーボウズ調べ】

ECのミカタ編集部

 グローバルeコマースの分野において、世界中に革新的な製品やソリューションを提供しているPitney Bowes Inc.(以下、ピツニーボウズ)は、「第3回年次ピツニーボウズ・グローバル・オンラインショッピング調査」の結果を発表した。本調査は、13カ国の成人約1万3000人を対象にECを行う際の認知、習慣、傾向を調査したものであり、今年は、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、韓国、英国、米国に加えて、シンガポール、香港、メキシコを初めて調査対象とした。

日本は発展途上?越境ECの利用率

 日本でもそうであるように、世界中でも94%の消費者が国内のECサイトを積極的に利用している。そしてそのうち66%が、過去1年に外国からもオンラインで商品を購入したとの結果がでた。特に、シンガポール(89%)、オーストラリア(86%)、香港(85%)では外国から商品を購入する消費者が多く、一方で、日本(34%)や米国(45%)のような国は“越境ECへの信頼”という点ではまだこれからという印象を受ける。

 越境ECを促進する要因のひとつとして、ピツニーボウズが「In-store Global. Online Local(世界の実店舗で購入し、地元でオンライン購入する)」と表現する現象に、海外の実店舗で買い物をしたことのある消費者63%が参加していることがわかった。この現象は、消費者が海外旅行中に実店舗で購入し、その後、同じ外国の小売企業からオンラインで購入するというものであり、韓国、中国、インドの消費者のほとんどは、海外旅行の後、頻繁にまたは必ずその小売企業のECサイトを訪問すると答えている。

 また、消費者は海外の商品をオンライン上で購入する際に、「該当の小売企業のECサイトへと直接アクセスし買い物をするのか、それともマーケットプレイスで買い物をするのか」という問いに対し、約半数が「国内からであれ外国からであれオンラインショッピングの全てまたはほとんどをマーケットプレイスを通じて行っている」と回答した。

 反対に世界の消費者の約4分の1は、国境をまたぐオンラインショッピングの全てまたはほとんどで小売企業が直接販売するECサイトにて買い物を行っている。この結果から小売企業は、今後、消費者へと存在感を発揮していくための戦略や、複数チャネルを利用して多くの消費者にとって利便性の高い環境を作ることが求められるだろう。

モバイルによるECの変化

 世界的に見てもモバイル機器(スマートフォン、タブレットなど)の普及は、ECへと大きく影響している。ECにおけるモバイルの利用は、商品を購入するという行動に限らず、商品検索や荷物追跡などにも積極的に利用されているということがわかった。例えば、米国では商品の購入を完了するためにモバイルを使用している消費者の割合が33%に留まっているが 、購入後の商品追跡は47%と“購入”という目的よりも上回っている。これは、モバイルならではである“アプリケーション”が大きな役割を果たしているといえるだろう。

 そして商品検索に関しては、マーケットプレイス(62%)、検索エンジン(43%)、小売企業のサイト(39%)が検索ツールとして頻繁に利用されている一方で、香港(26%)、オーストラリア(24%)、シンガポール(22%)のような国では、電子メールのやりとりを利用して商品を見つけるといった動きがみられる。

 また興味深いことに消費者の5分の1近くは、ソーシャルメディアチャネルを通じて商品を発見しており、特に香港(45%)、メキシコ(32%)、インド(30%)、シンガポール(30%)でそのような動きが多い。

 モバイルの普及により、消費者がECサイトを利用する際の行動に変化が見られる。アプリケーションによる荷物追跡、ソーシャルメディアチャネルによる商品検索というのも、モバイルならではの動きといえるだろう。2017年に向け、モバイルによるECサイトの利用動向というのはひとつ注目なのではないだろうか。

決済方法の充実は消費者に何をもたらしたか

 本調査では、外国から商品を購入する消費者の過半数が決済方法として選んだのは1つに限定されず、国によって様々であった。そんな中でも、クレジットカード(45%)はオンライン決済で最も好まれる方法であることがわかった。次いで、消費者が1カ所に複数の決済アカウントを保存できるeウォレット(例えばペイパルや支付宝)は、国境をまたぐショッピングのもう1つの人気の決済方法(34%)として特定された。

 国によって選択される決済方法が様々であることを考えると、ECサイトの決済方法を制限してしまうことは、消費者の選択の自由が奪われECサイトを離脱する原因に繋がりかねない。 特に海外に向けたECサイトは、今後も引き続き決済方法を充実させる必要があるだろう。

 また、消費者に決済方法を選択する際の最重要要素について尋ねると、購入の手数料・総コスト(33%)、購入の価値(25%)、購入保護プランの提供(25%)が挙がった。決済方法の充実はもちろんだが、ただ提供するだけでは消費者に選ばれるECサイトにはなれない。

 今やECにおける国境というのはなくなりつつある。それは、マーケットプレイスの充実やモバイル機器の普及、更には決済方法の自由など様々な要因から成り立っている。2016年は越境ECに関して明らかに多くの可能性をみることができたが、2017年はどれほど進化していけるだろうか。国内ECサイト全ての活躍が、EC業界の飛躍へと繋がっている。


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