【前編】中国3大電子決済を同時決済「nihao pay」

ECのミカタ編集部

 訪日外国人が増加してきた現代、ECでも多言語対応や海外仕様の決済方法の導入などの対策を行う店舗も増えてきた。特に中国のユーザーへの対応として、中国3大電子決済と呼ばれる「銀聯(Union Pay)」「支付宝(Alipay)」「微信支付(We Chat Payment)」を導入するEC店舗は多い。

 しかし、中国3大電子決済のうちいずれか1つは導入していても、全てを導入している店舗は中々ない。もし、その全てを導入することができれば、中国のユーザーは日本のECでより買い物をしやすくなるだろう。その、もしもの話が「nihao pay(ニーハオペイ)」というサービスにより実現する。

 「nihao pay」の真相を知るべく、AURFY JAPAN株式会社の隰 欣氏と智 穎氏にお話を伺った。

中国全体の81%が3大電子決済サービスを利用

 「nihao pay」は、中国3大電子決済サービスである「銀聯(Union Pay)」「支付宝(Alipay)」「微信支付(We Chat Payment)」のオンラインとオフライン決済をまとめて提供することができるサービスである。

 まず「銀聯(Union Pay)」とは、2002年中国の銀行カード連合組織として、国家主導のもと80の金融機関連合によって設立されたデビット・クレジットカードである。カード発行枚数は45億枚を超え、中国大陸において保有率No.1のカードだ。なお、2014年の銀聯カードの世界決済額は41.1兆元(日本円:約782兆円)となる。さらに、VISA、MASTER等と比較すると手数料が安価なため、中国ユーザーに好まれる。

 続いて「支付宝(Alipay)」とは、中国最大の第三者オンライン決済システムであり、ユーザー数は8億人で、一日の取り扱い件数は1億580万件に上る。2014年のAlipay決済総額は8兆8,161億元(日本円:約167兆5,060億円)に達している。さらに、モバイル端末による決済総額は7兆7,660億元(約147兆5,540億円)と、モバイル経由で非常に多く利用されているようだ。

 最後に「微信支付(We Chat Payment)」とは、中国大手IT企業テンセントが提供する中国最大のSNS、無料インスタントメッセンジャー「微信(We Chat)」の決済機能だ。We Chatのユーザーは中国国内に7億人、中国国外に1億人を誇る。また、アクティブユーザーは6億人(テンセント2015年IR)で、約2億人がWe Chatを利用している。

 We Chat Paymentは、オンライン決済とアプリ決済はもちろん、タクシー料金や公共料金の支払い、店舗におけるスキャン支払いなども可能である。また、企業や店舗は公式アカウントが作成でき、中国に帰国したユーザーに情報を発信することもできる。智氏は「We Chatは日本で言うと『LINE』。ただし、日本ではLINEでの決済は主流ではないと思いますが、中国ではWe Chat Payで決済を行うことが主流です。」と話した。

 これらの3大電子決済を利用する人は、中国全体で81%だ。そこから分かるように、中国では財布を持たずにスマートフォンで決済を行うことが一般的になっている。日常の買い物、レストラン予約、タクシーを呼ぶことすらも全てにスマートフォンが利用され、そこで3大電子決済が活用されているのだ。

3大決済システム同時決済はnihao payだけ

 nihao payの最大の強みは、以上のような中国3大電子決済を全て提供できることだ。これまで日本ではいずれか1つの決済を導入する店舗は多かったが、その場合、それ以外の決済を利用するユーザーは購入につながりにくい。しかしnihao payならば、全てのユーザーがスムーズに決済できるようになる。nihao payは日本円で決済できるため、偽替リスクもなく、日本国内銀行口座で決済金の受け取りが可能だ。

 さらに、オンラインとオフラインの両方で決済ができることも魅力であるだろう。以前からオフラインの店舗でも電子決済が行われることはあったが、専用の端末機が必要となることが多く、端末機の操作が手間であったり、故障等で利用できなくなることもあるため、好まない店舗も多かった。しかしnihao payは、スマートフォンやタブレットを利用してQRコードを示せば決済ができるので、そういった煩雑さがない。オンラインとオフラインの情報を連動することも可能であるため、EC店舗と実店舗を構える店舗には有利となるだろう。

 実際にこのnihao payを、飲食店・レストラン向けトータル管理システム「TableSolution(テーブルソリューション)」を展開する株式会社VESPER(ベスパー)が、レストラン予約管理システムとして国内で初めて導入した。

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 今後も訪日外国人は増えていくものと考えられ、日本で魅力を感じれば感じるほどに、海外で日本のECサイトで日本商品を購入する傾向は増していくだろう。海外ユーザーが増加していくことを見据え、nihao payのような海外ユーザーがよりスムーズに決済をできるサービスを導入し、より買い物がしやすい環境を整えることが必要なのではないだろうか。


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