次世代購買体験を見据えて、楽天と筑波大学が共同研究

ECのミカタ編集部

 ECが登場する前は、店舗に出向いて買い物をすることが当たり前であった。それが、ECが登場したことにより、自宅に居ながら好きな時間に買い物をすることができるようになった。人々の「購買行動」は時代と共に変わっていくのだ。そんな、変化する未来の購買行動を見据えて、楽天株式会社と国立大学法人筑波大学が共同で研究を開始した。

楽天と筑波大学が共同で研究する目的

 楽天株式会社(以下、楽天)と国立大学法人筑波大学(以下、筑波大学)は、インターネットを活用した新しい店舗システムのプロトタイプ開発と実店舗における実証に向けた「次世代購買体験をつくる店舗システムの研究」を共同で開始することとなった。これにより、筑波大学構内に共同研究拠点「未来店舗デザイン研究所」および「未来店舗デザイン実験室」を開設した。

 今回の共同研究の目的は、最先端のインターネット技術を活用した新しい店舗デザインに基づいたユーザー体験、特にIoTやAI技術を活用した店舗システムのプロトタイプの開発である。最終的には「楽天市場」に出店する実店舗に、本研究で開発した店舗システムを提供することを視野に入れている。研究拠点では、筑波大学芸術専門学群と大学院人間総合科学研究科感性認知脳科学専攻の約30名と楽天技術研究所の開発者など非常勤の研究員4名が初年度の研究に着手する。

2010年から次世代eコマースのために研究

 筑波大学は、実験的な課題検証を行う過程で得られた学術的知見を実際のビジネスの現場で試験的に応用することで研究面および社会に貢献することを目的に、企業との共同研究を進めている。楽天とも2010年より次世代eコマースサービスのためのユーザーインターフェース開発の共同研究を行ってきた。

 また、楽天は店舗と購買者の双方に対して新たな価値を提供するための研究を進めている。インターネットを活用した新しい店舗システムの研究には、利用者の感情を定量化し、客観性を用いて評価する研究である感性・プロダクトデザイン研究が欠かせないと考えていた。こういった背景から、今回、感性・プロダクトデザイン研究の第一人者である筑波大学 芸術系長の山中 敏正教授の研究室と楽天は、共同で研究を開始することに至った。

AIがもたらすECへの影響

 今回の共同研究では「IoTやAI技術を活用した店舗システム」に力を入れていくそうだが、近頃、ECではAI技術の活用が進んでいる。例えば、株式会社WACULが開発したWebサイト分析の人工知能「AIアナリスト」では、人工知能の改善提案を一度でも実装したWebサイトのうち成果が出た案件の割合が60%に達したというデータがある。こういったデータからも、EC店舗におけるAIの活躍が予測できるのではないだろうか。

「AIアナリスト」の特徴とは?

 煩雑な作業や人の手が回りきらない部分をAIに任せることにより、浮いたリソースをユーザーを喜ばせるための施策や商品開発に充てることができる。さらには、ユーザーへの接客面でもAIの活躍が期待されている。接客にAIを活用することで、対応漏れなどの機会損失を減らし、膨大なデータを分析・反映して、ユーザー一人一人が気持ち良くショッピングをできる環境を整え、顧客満足度の向上にもつながる。こういった点でも、楽天と筑波大学の共同研究は注目される動きだろう。


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