【前半】海外初Inagoraがタオバオと提携。新戦略発表会で語られたこと

ECのミカタ編集部

 本日、中国向け越境ECプラットフォーム「豌豆プラットフォーム(以下、ワンドウ)」を運営するInagora株式会社(以下、Inagora)は、「資金調達および新戦略発表会」を行った。今回の発表会の内容は前半・後半に分け、前半である当記事では「資金調達」「新戦略」の詳細について紹介したい。

日本と中国の架け橋Inagoraが駆け抜けた一年

日本と中国の架け橋Inagoraが駆け抜けた一年

 はじめに、同社 代表取締役 翁 永飆氏より、この一年を振り返るプレゼンテーションがあった。

 現在、東京・北京・上海・香港にオフィスを構えるInagoraでは130名のスタッフが活動しており、日本においては60名のスタッフが日本企業をフルサポートしている。 ワンドウは、日本企業が簡単に商品を中国へ販売できる、そして中国の消費者が日本の商品を気軽に購入することができる越境ECアプリであり、この一年で取り扱いブランド数は約1,500ブランド、販売商品は約1万SKU、月次流通総額は10倍に成長したとのことだ。

 このワンドウの大きな特徴としては、まず日本の商品に特化して中国の消費者向けて独自にサービスを展開しているという点だろう。また、“情報の越境”として、越境ECだからこそ必要な情報もしっかりと届けることに注力している。しっかりとした情報を中国の消費者に伝えていくことは、その商品や企業に対する信頼感を生み出すだけでなく、日本でどれほど人気を集めている商品なのかという企業のブランドやポジショニングを理解してもらうことに繋がってくる。

 ではどのような方法で情報を伝えていくのか。ワンドウでは、その商品の使い方や良さを紹介する動画コンテンツや関連する記事を作成し、 様々な角度から商品に対する情報を提供することで購入につなげている。ただ商品を購入してもらうのではなく、エンターテイメントのように楽しくショッピングをしてもらえるプラットフォームがワンドウなのだ。

 また、Inagoraはワンドウにおいて物流と決済をワンストップで提供しているため、日本企業は一貫した越境ECを行うことができる。ここまでサポートが整いながら、初期費用、固定費は0円。日本企業による越境EC促進に大きく貢献しているといえるだろう。

総額約47億円!今年3度目となる資金調達の使い道

総額約47億円!今年3度目となる資金調達の使い道代表取締役 翁 永飆氏

 続いて翁氏は、資金調達について語った。

 実は、Inagoraは既に今年の2月と5月に大型の増資を行っており、今回で今年3度目の資金調達となる。日産自動車や三越伊勢丹など20を越える大手企業が共同出資している国内最大級のファンド株式会社WiLや、中国大手投資会社のVentech Chinaなどから出資を受けた今回の調達資金は2100万ドル(約23億円)となり、総額にして約47億円となった。

 今回調達された資金は、グローバルECコンサルタントの人員増強やコンテンツ制作部隊の人員・設備の増強、中国現地マーケティング強化、更には中国事業開発体制・システム強化等に活用するとのことだ。

「ワンドウ」新戦略「越境EC2.0戦略」とは

 そして話題は新戦略となる「越境EC2.0戦略」に移った。「越境EC2.0戦略」とは、Inagoraが商品を供給する日本と商品を販売する中国との間に介入し、双方にそれぞれのネットワークを構築する新しいビジネスモデルとなる。

 「越境EC2.0戦略」によって日本企業は、中国消費者の購買行動に大きな影響を与えるKOLや専門アプリなどを活用することで、中国における日本企業やその商品のブランディングをより効果的なものすることができる。

 また中国販売者にとっては、日本の商品在庫を可視化することできるために商品供給源の確保が安定的であるということだけでなく、ワンドウが制作したコンテンツがそのまま利用できるため手間がかからないといったメリットもある。このようにしてワンドウは、日本・中国双方がより簡単な方法で越境EC行えるプラットフォームに進化し続けているのだ。

「越境EC2.0戦略」

 また、日本国内向けのEC支援システムと連携しスムーズな在庫連携などを可能にすることで、日本企業がわざわざ中国で在庫を抱えずとも日本国内で在庫を一元管理して越境ECを行うことが出来るようになる。最近では、Hamee株式会社のネクストエンジンとの連携が話題となった。

 こうしたシステム連携を活用しているのが、アパレル総合企業であるMARK-STYLER株式会社(以下、MARK-STYLER)だ。MARK-STYLERは、日本で17ブランドを展開し、自社ECサイトでは常時1万商品を販売しており、商品数が多いのが特徴だ。そのため、中国に在庫を持って行くのは不可能であり、ワンドウのサービスを活用することで簡単に越境ECを行うことができる。

 「ショッピングに国境はない」を掲げ、中国と日本の架け橋となるInagora。明日公開の後半では、海外初となるInagoraとアリババグループ「淘宝全球購(タオバオグローバル)」の業務提携について紹介したい。


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