成功の裏側〜Eストアーネットショップ大賞 受賞店舗に聞く

ECのミカタ編集部

3月18日(土)、ヒルトン東京にて発表された「ネットショップ大賞2016GRANDPRIX」。ネット通販総合支援サービスの株式会社Eストアー(以下、Eストアー)を利用する店舗の中から、受賞店舗が発表・表彰された。2016年に輝きをはなち、成功を勝ち取ったショップについて詳報する。

立ち上げから短期間で驚愕の売上を叩き出した大型新人

立ち上げから短期間で驚愕の売上を叩き出した大型新人

【最優秀新人賞1位】
協和医療器 ONLINE SHOP [カテゴリ:美容・健康]

青森に本社を置き、長年にわたり病院に向けて医療機器などを販売してきた協和医療器。そのなかで、病気になってからの治療ではなく、病気になる前の予防の段階に注目。「一般のお客様に需要があるのではないか」とオンラインショップをスタートさせた。BtoBからBtoCへ。立ち上げにあたっては、社内稟議を通すために悪戦苦闘したが、Eストアーの丁寧なサポートに助けられたという。
協和医療器 ONLINE SHOPは、有名女優が愛用していることで話題になった「水素水」関連商品を取り扱っていたこともあり一気にブレーク。株式会社協和医療器 東京支社エリアマネージャーの橋本充尋氏は「医療費の高騰や健康寿命への注目といった社会背景が大きい」と、この一年を振り返る。“健康”に関するセンシティブな商品を扱うが、クレームは全くないという。「例えば水素水なら、真偽がウワサになるような効果・効能は一切うたいません。その商品をきっかけに、しっかりとした生活習慣を身につけましょう、とお伝えしています」と橋本氏。ショップの店長は、健康管理のスペシャリストである“健康管理士”の資格をもち、お客様の質問や相談に対応。一時の流行に流されず、真摯な対応を積み重ねていることがうかがえる。「商品の性質上、シニアのお客様 からの電話での質問やお問い合わせがとても多くあります。お電話で1時間お話をされる客様もいらっしゃる。例え売上につながらなくても、それが私たちに求められるニーズだと思っています。デジタルの時代だからこそ、アナログでの対応を大切にしていきたい。これからはさらにアフターサービスに力を入れていきます」。そう語る橋本氏。
最大の利点である、医療機器取り扱い企業という信頼感。そしてその信頼を裏切らない正しい情報提供と丁寧な対応。流行が過ぎ去ったあとの2017年、その真価が問われる正念場となりそうだ。

マニアックなユーザーの心を捉える生真面目さ

マニアックなユーザーの心を捉える生真面目さ

【最多レビュー賞1位】
エアガン市場 [カテゴリ:おもちゃ・ホビー・楽器]

エアガンや電動ガン、ガンパーツ、ミリタリーグッズやサバイバルゲームアイテム。そのごくごく限られた市場でひときわ輝きを放つのは、株式会社BTEが運営するエアガン市場だ。1年間で1万1千800件以上ものレビューが寄せられる同ショップ。「商品説明がなくても、レビューがたくさんあれば商品は売れます!」と同社の代表取締役 田中知治氏は断言する。専門性が高い商品だからこそ、商品レビューは商品情報の補足でもあり、書き込まれたショップの評価が信用となり他のお客様の購入を後押しする。「レビューは進化する」というのは田中氏の名言だ。マニアックなファンが、ショップ側も知らないような商品のカスタマイズ法などをレビューしてくれる、リピーターはリピートするにつれて、より気の利いた情報をレビューしてくれる、というのだ。
レビューを書くことでポイントを得られるというインセンティブもあって、レビュアーがリピーターとなる好循環がうまれているようだ。顧客数が限られる商品だけに、「顧客満足」に対する意識が非常に高いこともリピーターを増やす要因に違いない。「検品や在庫管理は徹底しています。最低限、残念な思いはさせないように、誠実に真面目にコツコツとやっています」と田中氏はいう。手元に商品が届いたときに期待を裏切らないように。そのときと同じ印象になるような商品写真を心がける。商品名や説明文・写真は時代に合わせてブラッシュアップし続ける。そして悪いレビューがあればすぐに工場に伝え、次のロットから改善を図るという。
Eストアー 代表取締役 石村賢一氏は、表彰式の壇上で「『Eストアーのサービスは安すぎる』と田中社長に怒られた」と、田中氏との裏話を披露していた。「Eストアーはちゃんとやれば売れるカートです。入れるべきところにきちんと文字を入れ、基本をしっかりやれば必ず売れます」と田中氏は熱く語る。

こだわりの逸品を消費者ニーズに合わせてお届け

こだわりの逸品を消費者ニーズに合わせてお届け

【最高一日売上賞1位】
厳選特産品専門店 匠本舗 [カテゴリ:グルメ・ドリンク]

カニやおせちを中心とした商品ラインナップの厳選特産品専門店 匠本舗。年末一週間のみで、1年の総出荷量の7割の商品を出荷する。最高一日売上金額ではもはや敵なしといった様相。不動の地位を支え続けているのは、いくつもの戦略の積み重ねだ。
例えば、京都や銀座といった日本各地の料亭・会席料理店などが監修するオリジナルのおせち。料理人のこだわりを、一般的な消費者のニーズにマッチしたかたちに仕上げる橋渡し役をショップが担っている。春夏秋にはおせちを試食していただく“主婦会”を開催。ターゲット層のリアルボイスを収集している。ショップを運営するスカイネット株式会社 代表取締役 和田浩史郎氏は「改善できることはすべてやってきた」と自信をのぞかせる。広告ではメディアミックス戦略をとり、テレビ・新聞・ラジオで展開。コールセンター用のシステムを独自に構築し、お問い合わせや注文の電話が入ったときにどの広告を見ているのかがわかる仕組みが作られている。適切な電話応対を可能にするのはもちろん、各メディアの効果検証を正確に得られることで、PDCAを実践できているのだろう。その一方で、リピーターによる自社カタログからの注文も多いという。冷凍カニを食べる習慣がない関東のお客様も解凍に失敗しないよう、食べ方説明の書類を同封するなど、細かな配慮をしている成果だろう。
年末一週間に出荷が集中する同ショップで否が応でも注目が集まるのは、その出荷体制についてだ。2016年の年末には、商品を配送会社の全国のベースごとに70に仕分け、台車に積み分けた状態で出荷したという。過去のお届け状況からの配送エリアの分析や、自社便の用意も行なってきた。しかし物流の状況は厳しさを増す一方だ。物流危機と呼ばれる昨今の問題に、匠本舗がこれからどう立ち向かい、乗り越えていくのか。多くのEC関係者がかたずを飲んで見守っていることだろう。

競合乱立分野でも独自のファン作りに成功

競合乱立分野でも独自のファン作りに成功

【年間最優秀賞】
からだのレシピ 公式オンラインショップ [カテゴリ:美容・健康]

健康やダイエットを気にする人に人気の酵素。モールで生酵素を販売していたからだのレシピは、約1年半前に公式オンラインショップをオープンさせた。Eストアーの石村氏は「からだのレシピさんのようなショップが成功するのは珍しい」という。世の中にあまたある酵素関連商品。こういったアイテムを扱っていると、モールでの価格競争に巻き込まれ疲弊していくケースが多いだろう。そんななか、同ショップはいかにしてファンを獲得していったのか。株式会社ジプソフィラ 代表取締役 八木英士氏がキーワードとして掲げるのは、誠実さと独自性だ。
「自分がお客様の立場だったら、こうしてもらったら嬉しい、こういうサービスがあったら嬉しい、ということを一つひとつやってきた」という。人の温かみが感じられるお手紙を添える。メルマガは広告ではなくお客様との会話として送る。お客様のレビューには丁寧に返信する。「モール店に比べ、本店は自分たちでファンを作らなければいけません。類似品が多くあるなかで、他店でできないことは誠実さです」と八木氏は語る。
同ショップのサイトはファッション誌のポータルサイトかと見まがうデザイン。30〜40代の女性をターゲットとして、読んで楽しめるコンテンツを作っているという。ターゲット層に響くプロモーションとしてSNSにも力を入れる。「効果を実感していただいたお客様の声や、どれだけ話題になっているかという人のコトバは信じられるのです」と八木氏。ダイエットを目的に購入している方も多いため、喜んでSNSに投稿してもらえるための仕掛けもある。商品が写った写真に、「#生酵素チャリティ」と書いてInstagramかTwitterに投稿すると1食分の食事を発展途上の国に寄付するというもの。CSRを兼ねたこのキャンペーン。おしゃれなお客様がインフルエンサーとなり、情報が拡散され購入につながる仕組みだ。こういったSNSの効果的な活用は、これからの時代に欠かせない要素となりそうだ。

適切なEC支援サービスと真面目な取り組み

受賞したショップが共通して語ること。それはEストアーへの感謝だった。丁寧なサポートとアドバイス、かゆいところに手が届くシステム。どのショップもEストアーに信頼を置いていることがわかる。それと同時に、「誠実に」「丁寧に」「真面目に」という類の言葉がどのショップからも語られるのが印象的だった。
対面販売以上の信頼関係をお客様と築いていく、消費生活の変化に対応していく。そのためには、信頼できるEC支援サービスを導入し真摯に取り組むこと。そして、そこからさらに高みを目指すためにはどうするのか。そのヒントが、今回の受賞ショップの取り組みの中に見つけられるのではないだろうか。


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