楽天 2017年第1四半期決算発表 国内ECの推移と今後の戦略

ECのミカタ編集部

楽天株式会社(以下、楽天)が2017年第1四半期の決算を発表した。国内ECからFinTech関連、自己株式取得など、ボリュームのある発表だが、今回は国内ECに注目して見ていきたい。楽天の国内ECにおける今後の戦略としては、ユニーク購入者の育成、ジャンル別戦略の強化、モバイルC2Cへの投資、日本郵便との提携などを挙げている。その理由や狙いはどこにあるのか。掘り下げてみたい。

 楽天が2017年5月11日に2017年第1四半期の決算を発表した。国内EC流通総額は7,775億円で、前年同期比+13.0%の伸びを見せており、国内ECの好調ぶりをアピールした形。国内ECの売上収益は894億円(前年同期比+25.5%)となっており。堅調な推移をみせている。

 営業利益は179億円となった。この数字は前年同期比でみると-5.3%という数字だが、前回発表の四半期決算では-19.3%だった。それ以前も二桁代のマイナス推移だったので、この数字は大幅な改善が見られたと言える。

 楽天市場単体では、注文件数が前年同期比11.5%の増加で、ユニーク購入者数前年同期比9.2%の増加、そして広告収入も15.0%増加となった。楽天市場単体での営業利益はプラスに転じているとした。懸念されていた1回あたりの注文単価の下落だが、「そろそろそこを打つ見込み」という三木谷社長のコメントもあり、今後の市場動向にも引き続き注目していきたい。

「モバイルCtoC事業」への先行投資が徐々に効果を発揮

「モバイルCtoC事業」への先行投資が徐々に効果を発揮

 2016年の営業利益マイナス推移は、楽天グループ内のサービスを使えば使うほどポイント還元率が上がる、スーパーポイントアッププログラムへの投資によるものだとしていて、その効果が徐々に効いてきている形だ。「スーパーポイントアッププログラムは漢方薬のようなもの。じわじわと効果が出てくる」という三木谷社長のコメント通りの動きになっているように感じる。

 2017年も営業利益は前年度比に対してマイナスではあるが、これはRakumaやFRIL等のCtoC事業に対する先行投資によるもので、この数字は織り込み済みだとした。Rakumaは流通総額が前年同期比の2.6倍。FRILは買収時(2016年9月)に比べ2017年3月は流通総額が3.1倍に伸びているとしていて、先行投資がじわじわ効果を発揮していると言えるのではないだろうか。

「日本郵便との提携」と「ジャンル別戦略の強化」で高まるユーザーの利便性

「日本郵便との提携」と「ジャンル別戦略の強化」で高まるユーザーの利便性

 4月からスタートした日本郵便との提携も注目を集めている。初回配達時に荷物を受け取ったユーザーに対して「楽天スーパーポイント」を付与するという新たなサービスだ。配送の効率化や不在再配達の削減はもちろん、このサービスを利用する出店者には、特別運賃が適用され、配送料が抑えられるため、ユーザーにも優しいシステムになっている。こういったサービスの拡大も、じわじわと利用者を拡大する施策となるだろう。社会的意義も大きい。

 広告収入は前年同期比で15%の堅調な増加を見せている。また、2017年7月には「爽快ドラッグ」と「ケンコーコム」の合併を予定していて、効率的なオペレーションと楽天市場流通総額の拡大を実現したいとしている。「爽快ドラッグ」と「ケンコーコム」の売上収益はLOHACOなどの競合大手を上回る数字を出しており、さらなる強化を図る狙いだ。

地盤の強化が新たな世界への挑戦を加速させる

地盤の強化が新たな世界への挑戦を加速させる

 国内EC自体が、業界全体での好調だという点はあるにせよ、大手らしくしっかりと着実に地盤を固めてきている印象のある楽天。今回の発表でも世界へ向けた動きや、FinTechの動向などの報告はもちろんあったのだが、まずは国内ECの基盤をしっかりと整えた上で戦っていこうという姿勢が見て取れる。これはEC業界全体に良い影響を及ぼしていると言って良いだろう。まだまだ国内ECにおいて、やれる事があると気づかせてくれる四半期国内ECの決算だったように思う。

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