EC業界News1週間まとめ〜楽天の2017年第一四半期決算に見る企業の変貌と、彼らとの向き合い方

石郷“145”マナブ

こんにちは。
メディア編集部 石郷です。

今週読まれた記事はこちら。
楽天 2017年第1四半期決算発表 国内ECの推移と今後の戦略
https://www.ecnomikata.com/ecnews/14543/

配送料が値上がりする今こそ、物流費の値下げを。
https://www.ecnomikata.com/original_news/14360/

【第1回】オムニチャネル時代で変わるコンタクトセンターの役割|
https://www.ecnomikata.com/column/14519/

楽天市場で父の日特集スタート!今年のトレンドは「共感」
https://ecnomikata.com/ecnews/14554/

顧客心理から見えてくるファッションECに必要な要素とは【ADDIX調べ】
https://www.ecnomikata.com/ecnews/14564/

JECCICA「ECデザイン大賞」発表!ファンを熟成する店はここが違う
https://www.ecnomikata.com/ecnews/14605/

【比較してみた】Amazonフレッシュvsネットスーパー(イトーヨーカドー、マルエツ等)どう違う?
https://ecnomikata.com/ecnews/14484/

DeNAトラベルが「ビットコイン(仮想通貨)」に関する調査を実施|
https://www.ecnomikata.com/ecnews/14611/

楽天決算(2017年度第一四半期)振り返り

楽天決算(2017年度第一四半期)振り返り

今週、注目されたのは、楽天の2017年度第一四半期の決算だろうか。
 
 見て見ると、売上収益は、2016年度第一四半期では1803億円で、2017年度第一四半期は2121億円となり、 前年同期比+17.6%となっていて、Non-GAAP営業利益は、2016年度第一四半期で271億円2017年度第一四半期は439億円で前年同期比+61.8%となった。

 売上収益と営業利益をジャンルごとに振り返ると、国内ECは2016年度第一四半期では712億円、2017年度第一四半期は894億円となり、前年同期比+25.5%となっていて、さらに、営業利益でいうと、2016年度第一四半期が189億円 2017年度第一四半期は179億円で-5.3%となっており、昨年同期比が-19.3%だったことを踏まえると、大幅に営業利益が改善傾向にあることを示しているという。

楽天が買収した会社などで効果的に相乗効果を生み出す

 思うに、楽天というと楽天市場の印象が強いが、より多様性に合わせてスマートに変化して来ている印象がある。国内ECにおいては事業の形が整理整頓されていて、楽天市場、トラベル、GORA、ビューティ等でマーケットプレイス事業を展開しながら、ブックス、爽快ドラッグ、ケンコーコムなど直販ビジネスも並行していき、昨今のトレンドであるCtoCにもラクマ、フリルなどで抑えている。

 楽天市場だけではない多様性に応えるラインナップを用意して、ポイントなどで相互に良い働きかけを及ぼそうというわけで、結果、これが楽天市場における出店店舗になるものと考えていそうである。

 トレンドのラクマ、フリルもその投資先として価値あるものとして楽天は位置付けていそうであるし、スーパーポイントアップはこうした複数の事業を相互に結びつける上で重要。それゆえ、トレンドとそれらを結び助けるポイント事業に投資を注力しているようである。

ケンコーコムと新たに加わった爽快ドラッグで、直販ビジネスにも勢い

 その中で、楽天カードが好調で2017年第一四半期での売り上げ収益は371億円で前年同期比+14.9%、営業利益は78億円で前年同期比+10.3%といずれも好調に推移していて、2017年4月にカード会員数は1,400万人に到達、5年間で二倍以上の増加となっている。先ほど説明したEC間においてのシナジー効果を高める努力を推し進めつつ、ここに好調に推移するフィンテック事業を絡ませて、さらにその効果を最大化しようという、その予感を感じさせる。事実、楽天市場流通総額における楽天カード決済比率は継続的に拡大中で、2017年3月時点で51.6%となっている。

 楽天市場での細かな中身を見ていくと、注文件数は前年同期比;11.5%で、ユニーク購入者数は前年同期比+9.2%と安定的に増加していて、大事なのはこうした楽天グループの中におけるシナジーという新たな戦略に合わせた方向性に移行していく姿勢を見せている店舗においてはある一定の効果を得ていると言えるだろう。

堅実な経営に高い信用、ただ、大事なのは何か?

 ある意味、堅実で安定的な経営が進められていて、磐石なものになりつつある印象はある。ただ、あくまでも個人的な印象だが、先ほど触れたLOHACOの約1.7倍といったところでなんの意味があるのかという思いもある。僕はLOHACOの魅力は、直販の小売としてというより、メーカーとお客様との間に立って、いかに違ったマーケットを生み出そうか、というアスクルの漸進的な姿勢にあるように思っていて、数字の問題ではない。

 数字の理論にとどまらず、合併してEC業界にどんな新風を送り込もうとしているのか、その志のほうが大事なのではないか。また、楽天がいまや会社のスケールは大きく、かつてにはなかったメリットを出店店舗に送り込んでいるのは、企業としては賞賛に値する。それと同時に、もう楽天も20年前とは違ったフェーズに来ているということでもある。しかし、大事なのはこれによって、楽天がかつてとは違った企業に変貌を遂げていく中で、店舗は、その楽天とどういう向き合い方をしていけばいいのかをもっと、突き詰めて考えていくべき時期にもあるように思う。

 生意気ながら思うのは、今こそ、全国各地にいるECコンサルタントは、変貌を遂げる楽天を見て、これからのあるべき姿を学習し、自ら店舗ごとに当てはめて考え、今まで以上に親身に、より店舗の気持ちに寄り添って説明し続けていくことが大事なのではないかと思った次第だ。旧態依然で生きていけないのは、店も同じだ。

 さて今日はこの辺で。
笑顔あふれる一週間でありますよう。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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