EC業界News1週間まとめ〜ヤマトとラクスル提携に物流の未来/セブン&アイとアスクル握手の舞台裏

石郷“145”マナブ

こんにちは。メディア編集部の石郷です。
今週話題になったニュースはこちら。

Amazon、2017年プライムデーのプレミアム体験とは?開催を正式発表〜昨年との違い
https://www.ecnomikata.com/ecnews/15016/
【速報】アスクル、7&iHDと業務提携!1時間単位指定でセブンプレミアム商品による料理キットが届く
https://www.ecnomikata.com/ecnews/15107/
SHOPLISTに続くCROOZの次なる一手を発表〜新通販サイトSHOPZONEとは?
https://www.ecnomikata.com/ecnews/15091/
【特報】ヤマトホールディングス、ラクスルと資本提携へ〜シェアリングエコノミー第二章?
https://www.ecnomikata.com/ecnews/15124/

ヤマトとラクスル提携には物流の未来が見え隠れ

ヤマトとラクスル提携には物流の未来が見え隠れ

 今週注目した記事は、ヤマト運輸がラクスルと提携をしたニュースで、間違いなく、シェアリングエコノミーの波が押し寄せているなというわけです。

 そんなに来ているの?と思われる人もいるかもしれないので、整理してみると、まずランサーズが「pook」というサービスを開始しました。これはスキルのシェアリングエコノミーってわけで、欲しいと思うスキルがあって、それを求めるスキルがあり、またそれがスマホによって、近くにそのスキルの掛け合わせが実現するとすれば、結びつけてしまおうというわけです。

 依頼する人とスキルを持った人を直接結びつく、この感覚が今までにはない新しい仕事の在り方なんですね。依頼の内容は、ヨガレッスン、ネイル・ヘアメイク、家庭教師、家事代行など多岐に渡り、これによって日常の生活が豊かになるというわけです。ヨガレッスン教室に先生がいて・・・のような発想は昔になっていくことになるでしょう。

楽天もまた民泊事業に熱いまなざし

楽天もまた民泊事業に熱いまなざし

 また、楽天の関連会社でLIFULLという会社は、引越しする際に参照したことがあるであろう「ホームズ(現:LIFULL ホームズ)」の運営会社で、実は、ここにはまだ空きの部屋が存在するので、これを民泊事業に繋げるんです。LIFULLは楽天と一緒に、楽天LIFULL STAYという会社を作って、言ってみれば、短期間、泊まりたいという人と、泊まってもらいたいという家のオーナーとを直接結びつけると事業に乗り出しました。

 これから海外からの旅行者も増えてくるでしょうし、ピンポイントで、空き部屋が使われ生かされていくのであれば、それは依頼する側も、依頼される側もメリットが大きいんです。細かな業者が存在しない分だけ、サクッと結びつけます。

 そんな中で、ヤマト運輸が注目したのは、ラクスルのハコベルというサービスで、これもまさに荷物を届けたい人がいて、その近くでちょうどその荷物を運べる運送人がいれば結びつけてしまうわけです。実際、もう多くの人に市民権を得た「メルカリ」もシェアリングエコノミーで、売りたいものと買いたい人が介在して、商品を購入する。今やネットショップを使う前にまず「メルカリ」を使うというのですから、ネットショップの未来に大きく関わってくるのです。

セブン&アイHDとアスクルの電撃的な提携劇

セブン&アイHDとアスクルの電撃的な提携劇

 続いて、アスクルとセブン&アイ・ホールディングスの提携して、IYフレッシュという新しいサービスを提供する話題が注目を集めました。これは、あらゆるジャンルで登場してきたセブンプレミアムの商品を一つの料理というくくりでまとめて、そこにサイト上でレシピも用意して、キットで販売するというものです。

 販売する場所はLOHACOで、これによりアスクルの物流網を生かした、Amazonフレッシュに見られる生鮮食品に強いイメージがつくことになるでしょう。また、これはセブン&アイ・ホールディングスが説明していて、なるほどなと思ったのですが、セブン&アイ・ホールディングスはある種、オムニチャネルに関しては苦戦していると思っていて、自らの財産をオムニチャネルに生かしていく在り方はこういう風な連携でも実現できるということなんです。お互いの弱みと強みを伸ばす上で、この提携は意味があるように思います。

 ここの背景には、働く女性が増え、また料理などに取り組む男性も増えていることもあり、時間短縮で料理ができないかという根本的な課題があったのです。何と何とを組み合わせて作れば、料理ができてしまうというきっとになっていれば、時間短縮は望めます。現に、このジャンルにおいて大きく先行するのは「Oisix」で「Kit Oisix」は累計出荷数が600万個に及ぶほどで、いかにそのニーズがあるかがわかります。

アスクル「LOHACO」は普通の小売とは違う存在

 しかも、これを前日までに注文すれば、翌日の配達は1時間単位で指定できることになっており、お客様にとって苛立ちを生み出しやすい「待ち時間」を最小限に食い止めることができます。これができる背景には、もともとLOAHCOで1時間単位で届けるHappy On Timeというサービスをやっているので、ある意味、ここの部分に関しての信用はあります。ここの価値を最大化しようという意味合いもあると思われ、その先には、少なからず食品というジャンルにおいてこの物流の強みを生かしている、Amazonフレッシュの2時間単位のお届けを意識しているのではないかと思います。

 ただ、単純にアスクル、Amazonに対抗であるとか、と書きそうなのが、一般的なところですが、おそらくアスクル自体はそのようなことはそこまで考えていないように思います。むしろ、これは想像ではありますが、アスクルの本当の狙いはこの取り組みをすることによって、より発送量が増えますから、その分物流に関してのビッグデータが手に入ることになります。自らBtoBで培って来た物流の強さを生かし、こういったビジネスを取り入れることで、BtoCにおけるデータが蓄積されれば、自ずとそれはAIなどの活用によって、物流の観点から顧客満足度の向上が見込めそうに思え、そのような視点で見ていくことの方が大事なのではないかなと思います。

 今まである既成概念は、テクノロジーの進化と共に、覆されていくように思います。どんな企業もここまで生き残って来ているわけですから、その強みを今一度見直し、その強みを次なるテクノロジーと結びつけることで、どんな未来が描けるのか、そこにECの未来もあるように思います。

というわけで今週はこの辺で。
笑顔あふれる一週間でありますように。
また、来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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