人手不足解消に向け、佐川急便と旭川中央ハイヤーがタッグ。貨客混載事業を開始

ECのミカタ編集部

 佐川急便株式会社は、旭川中央ハイヤー株式会社と、11月1日から乗合タクシーを活用した貨客混載事業を開始した。

 「貨客混載」はいま物流業界だけでなく、EC業界や小売、食品関係に至るまで多くの場面でその単語が浮上しているホットワードと言えるだろう。地域交通や物流事業者の生産性向上に有効とされており、注目が集まっている。

 国土交通省は9月1日から乗合バスだけでなく、過疎地域においては貸切バス、タクシー、トラックなどにも貨物を載せられる対象を広げ、規制緩和を図っている。

 その制度をタクシー業界でいち早く活用したのが旭川中央ハイヤーと佐川急便のタッグだ。11月1日のから乗合タクシーを活用した貨客混載事業を開始。タクシー会社と運送会社が連携し乗合タクシーを使った貨客混載や戸別配送の実施は全国初の案件となる。

 旭川中央ハイヤーの乗り合いタクシーは、JR東旭川駅と約20キロ離れた米飯(ペーパン)地区(「東桜丘」「瑞穂」「米原」「豊田」の4地区を総称した地名)間を、住民の予約に応じて平日10便、土日7便運行している。今回計画している配達エリアは旭川市米飯地区、東旭川駅周辺となっている。

 旭川中央ハイヤーは後部座席に荷物置き場を設けた14人乗りのワゴン車を新たに導入した。午前中に東旭川駅近くにある佐川急便の営業所で荷物を受け取り、予約のない時間帯に運転手が荷物を配送先まで運び、再配達にも対応する。

評価されるべき問題解決に向けた姿勢と取り組み

 ドライバー不足やラストワンマイル問題は依然として深刻な状況ではあるが、規制緩和によって過疎地域の中小企業と大手配送会社が共存を目指していける仕組みが作れるようになってきた。佐川急便の貨客混載は新潟県の北越急行が運行するほくほく線を使ったものなどもある。

 一方で、旅客会社と運送会社のメリットが折り合わなければならないため、大きく展開できているわけでもないといった問題も存在する。そうした問題を含め「やってみなければ分からない」ことも多いので、今回のような動きには大きな意義があるだろう。

 貨客混載による新たなビジネスも生まれてくるだろう。物流業界の人員不足はECの台頭が引き金となって起こしている問題ではあるかもしれないが、その先にはきっと新たな展開が待ち受けている。問題解決に向けた取り組みはEC業界としては歓迎すべき事象だ。我々EC事業者もユーザーも一丸となって動いていくことが問題解決に向けての活路となるのだと思う。

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