アスクルが2017年8月~11月の四半期報告書を発表、その中身は?

ECのミカタ編集部

アスクルが2017年8月~11月の四半期報告書を発表、その中身は?

アスクル株式会社(東京都幸徳豊洲3丁目2番3号、代表取締役CEO:岩田彰一郎、以下「アスクル」)は、第55期第2四半期(平成29年8月21日~平成29年11月20日)の四半期報告書を公表した。本記事では同報告書のEC事業の内容を取り上げる。

EC部門のBtoB事業は前年同期比4.2%増

まず同社のEC部門におけるBtoB事業については、新規のユーザーが着実に増加しており、前期から引き続き、取り扱い商材の拡大や、販売促進施策が功を奏し、順調に売り上げに寄与しているとしている。それを裏付けるように売り上げは、前年同期と比べて増収となった。

商品の種類でみると、リアル店舗などで実際に利用される日用消耗品や消耗紙、オフィスで利用される飲料や生活用品が成長を牽引したとの同社の分析だ。

また同社が注力しているMRO(ネットで、企業が日常的に購入する消耗品などの発注から納入までを効率化すること)商材については、医療・介護向けの商材が売れ、前年同期比で59億3,400万円増収(前年同期比4.2%増)の1,478億5,400万円となった。

「AVC」日高が本格始動したBtoC事業

「AVC」日高が本格始動したBtoC事業

次にBtoC事業(LOHACOと傘下の株式会社チャームの合計)についてだ。売上高は、前年同期比で1億5,000万円増収(前年同期比0.7%増)の209億1,300万円だった。

主力事業の『LOHACO』については、火災の影響もあり前年同期比で減収となったが、「ASKUL Value Center日高(AVC日高)」が本格的に稼働を始め、順調にその痛手から回復してきている。取扱い商品についても、メーカーなどと協業して、同社のオリジナル商品の開発にも一層力を入れるとしている。

『マーケットプレイス』の今後に期待

『マーケットプレイス』の今後に期待

EC部門の売り上げに寄与した要素としては、2017年の7月に子会社化した株式会社チャームの存在が光る。またEC部門のサービス全体を見ても、同社独自の配送サービスである「Happy On Time」や「置き場所指定配送」「段ボール改修」などがユーザーから高い支持を得ている。

これらのサービスでユーザー側の利便性が上がったのはもちろん、配送効率も向上して、収益に寄与していると言えるだろう。同社はこうした点も他社との差別化ポイントになるとしている。

さらに、BtoC事業の新たな収益源として位置付けている『マーケットプレイス』は、出店者がすでに113ストアにまで拡大しており、今後に大いに期待がかかる。

固定費がやや圧迫するも営業利益は24億7,200万円

両事業を合計したEC事業の売上高は、687億6,700万円(前年同期比3.7%)となり、売上総利益は、404億7,300万円(前年同期比9.2%増)となった。販売費と一般管理費については、地代家賃等が増加し、前年同期比14.7%増の380億円となった。また、売上高販売比率については、固定費の増加もあり、前年同期比2.1ポイント増加の22.5%となった。

この点につき同社は、『LOHACO』の売上拡大と労働生産性の改善、コスト削減などを行い、連結会計年度末に向けて低下していくことを見込んでいるとしている。これらの結果、第2四半期連結累計期間のEC事業における営業利益は24億7,200万円(前年同期比36.9%減)だった。

予期せぬ火災の影響が拭えなかったものの、注目されるMRO商材や『マーケットプレイス』といった新規事業や独自の配送サービスなどが功を奏し、堅調な内容となった。さすが同分野での開拓者であり、トップクラス企業であるアスクルらしい底堅さを感じる。

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