問い合わせ管理ツールとは?業務を効率化するための常識集

福島 れい

なぜ問い合わせ対応が重要なのか?


問い合わせ対応とは?
 電話やメール、問い合わせフォーム、チャットなどEC店舗には様々な形でお客様からの問い合わせが届く。問い合わせ対応とはこれらの問い合わせに柔軟に対応し、顧客満足度を高めることと言えるだろう。問い合わせをするそのお客様のなかにはお得意様もいれば、はじめて購入する方、場合によってはいたずらということもあるが、手元の情報をしっかり管理し、活かすことで質の高い、効率の良い問い合わせ対応が実現する。

問い合わせ対応を効率化する
 EC店舗においては、出荷や集客、仕入れなど担うべき業務は多く、特に少数精鋭で運営する店舗においては業務の効率化が必須である。問い合わせ対応に関してもできるだけ手間や時間を削減したいと考えることだろう。しかし、顔が見えないとは言え、対応しているのはお客様。スピード感を持ちつつ、正確な対応が必要だ。

 効率化を考える際に課題となりがちなこととして、1件の問い合わせで取扱う”情報の量”が挙げられる。問い合わせとひと口に言っても、1件の問い合わせで取り扱う情報は、住所や氏名、年齢などの”顧客属性”やいつ・何を・どこで・どのくらい問い合わせや購入があったかといった”履歴”、家族構成や”趣向性”などまで含めるとその量は膨大なものになる。これらの情報を属人化させず、いつでも誰でも対応できるような状態で管理することが、結果として素早く・漏れなく・的確な問い合わせ対応を実現することになるのだ。

EC店舗への問い合わせは 土日・夜 にも
 仕事が休みの日、特に土曜日や日曜日に買い物をする人は多い。またスマートフォンが普及し、帰宅中の電車やバス、就寝前のベッドの中など場所を選ばず手軽にネットショッピングを楽しむ人も増えている。買い物の場所や時間を選ばないということは、問い合わせも時間を選ばないということを意味する。つまり、EC店舗が休日の間も問い合わせは止まらず、対応が必要になるのだ。かといって、コスト面を考えると問い合わせ対応のためだけに人手を割くのもためらわれることだろう。営業時間外の問い合わせという観点でも、できるだけ人の手を介さない対応体制を整えておくべきだろう。

対応が遅れると?
 問い合わせ対応の遅れは、EC店舗の評価に直結するといっても過言ではない。「連絡が遅い」や「返信がない」など問い合わせ対応に関する不満は店舗の評価を大きく下げることになるのだ。一説によれば楽天市場の人気店の多くは、基本的に問い合わせの対応は6時間以内に行っており、中には5分以内に対応を終える店舗もあるという。そうした状況を踏まえると、問い合わせ対応のスピードは店舗を評価する1つの基準となっていると言えるだろう。

 しかし、店舗が拡大、多店舗展開をすれば問い合わせの件数も増加し、重複対応や対応漏れなどのミスが発生する可能性が高まる。いつ、誰が、どのような対応をしたのかを含め、問い合わせ情報の管理体制が、店舗の評価を左右することとなる。

One to One対応も重要
 メールテンプレ―トを活用した返信やマニュアル通りの電話応対など全てのお客様に対し、同一の対応を行っているという店舗も少なくないだろう。ベテランから新人までスタッフの熟練度合いに関わらず、一定の質を担保できるという意味では、テンプレートやマニュアルは有効な手段と言えるが、EC店舗においてお客様との最大の接点ともいえる問い合わせ対応を、接客の場と捉える店舗も増えている。ありきたりな対応ではなく、お客様によって対応の内容を変える、一言添えるなど店頭で購入するような細かな気配りが、お客様の心を惹きつけるのだ。

問い合わせ対応を効率化するサービス


 EC店舗に宛てた問い合わせは、メール、電話、チャットなどが考えられる。それぞれの特徴を見てみよう。

メール共有・管理ツール
 各種モールや独自ドメインなど多店舗展開を行うと複数の代表アドレス宛に問い合わせのメールが届くようになる。これらのメールを”一元管理”するのが、ここでいうメール管理だ。複数のアドレスに宛てて届いたメールを、複数のスタッフで対応していると、対応漏れや重複対応が発生するのは当然とも言える。問い合わせ件数が1日に10件を超えるようになったら、業務効率化とミス防止、そして今後の規模拡大まで見越してメールの一元管理を検討すべきだろう。

 代表的なサービスとしてメールディーラー(提供:ラクス)やメールワイズ(提供:サイボウズ)などがあり、メールの共有や対応状況の管理ができる豊富な機能を備えている。顧客満足度の向上、メール対応業務の効率化、対応の質の標準化など、メールを一元管理することによって得るメリットは大きい。

メール共有・管理ツールのサービス資料一覧はこちら
https://ecnomikata.com/document-request/list.php?gid=5&cid=18

コールセンター
 電話での問い合わせを効率化する方法の1つとして、外部のコールセンターに任せるという手がある。コールセンターで担う対応は大きく分けて、「通販受注センター」「電話代行」「カスタマーセンター」の3種類がある。

 通販受注センターでは、注文内容の変更や注文のキャンセルなど、商品の注文に関する問い合わせに対応する。チラシやカタログなどからの注文対応も通販受注センターに含まれる。「電話代行」は繁忙期や人手が不足している時期等、電話対応まで手が回らないといった時、代わりに電話を受けてくれるもの。”折り返し連絡する”という対応のみになるが、電話がつながらない状況に比べ、お客様の満足度は高くなる。「カスタマーセンター」では、商品の成分や機能について、発送のタイミングなどお客様からの様々な問い合わせにマニュアルに沿って回答する。電話業務に時間をかけたくない場合にはカスタマーセンターの活用が有効と言える。

 また、コールセンターの利用にかかる費用は「人員体制」と「対応時間」、「業務の内容や複雑さ」によって変わるため、受託会社に問い合わせてみるのが良いだろう。

チャットシステム
 メールや電話より手軽な問い合わせ方法として活用してもらおうとチャットを活用するEC店舗が増えている。お客様はチャットボックスに入力するだけで問い合わせができるため、疑問や不安を残さず解消し、購入に至る確率が高まるのだ。メールや電話での問い合わせに追加して導入するのもよいだろう。

チャットシステムのサービス資料一覧はこちら
https://ecnomikata.com/document-request/list.php?gid=6&cid=110


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

福島 れい の執筆記事