不在再配達解消へ、各社のこれまでの動きとイオンの戦略

ECのミカタ編集部

イオンが宅配ロッカー?真相は?

 物流業界が抱える問題の一つに、不在再配達がある。不在再配達は、配達員・倉庫スタッフ・オペレーターなど、業界全体に負担がかかるだけでなく、配送車の排気ガスによる環境汚染、道路混雑による渋滞など、一般市民の生活にも影響をもたらしている。

 そのため不在再配達問題は、物流業界で改善していくことはもちろん、国全体で解決への糸口を探すことも重要となってきている。

 本日6月24日朝のニュースでは、イオン株式会社が運営する大手スーパーマーケット「イオン」が、自社が運営するネットスーパーでの不在再配達を軽減するべく、顧客の玄関に宅配ロッカーの設置を行うという内容のものが報道された。

 実はイオンはこれまでにも、不在再配達をなくすべく「置き楽」という、顧客が不在の場合でも玄関先に商品を留め置きすることができるサービスを開始している。

イオン「置き楽」とネットスーパーの取り組み

 イオンの「置き楽」とは、イオンのネットスーパーを利用する顧客の、「何時に帰宅できるかわからない」「配送時間を待つのが面倒」といった声に応えて誕生した。

 どういったサービスかというと、顧客がネットスーパーで商品を注文するときに「置き楽」のサービスを申請することで 不在であっても在宅であっても商品を玄関先に留め置きしてもらうことができる。

 これにより、顧客は配達の時間に縛られることなく商品を手にすることができ、配達員も往復して同じ配送先を回ることなくスムーズに業務を行えるので、身体的にも精神的にも負担が軽減されるはずだろう。

 このように、商品配達時に玄関先へ商品を留め置きしてくれるサービスは日本生活協同組合連合会(以下、生協)の宅配でも利用されていたり、また、楽天株式会社の「楽天マート」でも利用されている。

 「これから暑くなるのに、玄関先に商品を留め置きするのは怖い。」という人も多いかもしれないが、そうした部分もネットスーパー各社は、長時間効果を発揮する保冷剤の開発などでフォローしており、確実に物流の機能のレベルは上がってきている。

 物流の機能でいえば、日本通運株式会社(以下、日通)が長時間生鮮食品を輸送する際に利用している”魔法の氷”にも、物流の進化を感じる。

日通の魔法の氷とは?ネットスーパーは進化するのか

 日通の魔法の氷とは、生鮮食品を長時間輸送する際に用いられる「sea snow」といった、人口塩水を雪状に凍らせたものであり、通常の保冷剤よりも温度が変化しにくく、食品の鮮度を保ってくれる。

 ネットスーパーでは保冷剤が使用されることが一般的だが、保冷剤が長時間食品に直接触れると、食品が傷んでしまう場合がある。こうしたことを防ぐためにも、ネットスーパー各社は様々な試行錯誤を繰り返しているわけだが、日通の取り組みからも学べることがあるはずだ。

 今回報道されたイオンの宅配ロッカーは、従来の玄関先に商品を留め置きする際に利用する簡易タイプの保冷箱ではなく、本格的な宅配ロッカーの設置が行われるというもの。

 もしイオンが宅配ロッカーの設置に乗り出すとなれば、大手小売りでこのような取り組みを行うのはイオンが始めてということになる。

 イオンが食品配送で新しい歴史を作るのか、今後も追っていきたい。


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