2016年度のBtoC-EC市場規模は15兆円越え【経済産業省調べ】

ECのミカタ編集部

 経済産業省が、「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」の結果を発表した。ECサイトを運営されている方にとって、この調査資料は市場動向の把握に重要な意味を持っているので、気になっていた方も多いかと思う。

 今回はBtoC-ECの分野について触れてみる。タイトルにもある通り、2016年のBtoC-EC市場規模の全体は15兆1,358億円という推計結果となった。前年の13兆7,746億円から金額は1兆3,612億円増加し、伸び率は9.9%となった。2015年は前年比で7.6%と伸び率が低下した。2016年の伸び率は9.9%とやや増加し、BtoC-ECの市場規模拡大に勢いが戻った感がある。

 2010年の市場規模は7兆7,880億円であり、6年間で約2倍に拡大した計算になる。この間の我が国のインターネット人口はほぼ横ばいであり、また個人消費が大きく増えたわけでもない。

 そのような中、順調にBtoC-EC市場が拡大した要因は何だろうか。ネット上での販売商品の多様化、市場参加者(=売り手)の増加、 物流事業者による宅配時間の大幅な短縮化、スマートフォンの普及、SNSによる情報流通量の増大化等が挙げられる。そのような要因によって人々のライフスタイルにネットショッピングが着実に浸透した結果と言える。

アプリなどの普及で急激に伸びたECにおけるスマートフォン利用

アプリなどの普及で急激に伸びたECにおけるスマートフォン利用

 上記はインターネット利用時の端末に関する統計データである。スマートフォンの利用が急激に拡大していることがよくわかる。スマートフォン(54.3%)は自宅のパソコン(56.8%)に次いで2番目に利用されている端末であるが、その差が徐々に狭まってきており、2015年末は僅か2.5%の差となっている。

 特にスマートフォン利用者が多いのが「衣類・服飾雑貨等」の分野。女性や若年層といったファッション・アパレルに高い関心を持つ消費者層が、スマートフォンのヘビーユーザー層と重なっているためと考えられる。

 アパレル事業者等によって提供されるスマートフォン専用の通販アプリやコーディネートアプリもプラスの影響を与えているものと推測される。

 また「医薬品」についても、インターネット販売が解禁されたことを受けて、大手ドラッグストアがスマートフォンユーザーの需要開拓に取り組んでいる動向が見られる。そのような取組がスマートフォン比率の上昇につながっていると考えられるだろう。

 金額ベースで捉えれば、消費支出額が大きい高年齢層によるPC経由での購入が、依然として市場規模の大きなウエイトを占めていると推測されるが、徐々にこの年代にもスマートフォンの利用が進行している。そのため、このような層が積極的にスマートフォンでECを行えば、自ずとスマートフォン経由のBtoC-EC市場規模も拡大するであろう。

複合的な成長の要因を読み解き、自社の商品に置き換えられるか

複合的な成長の要因を読み解き、自社の商品に置き換えられるか

 今回はBtoC-ECに関して要点に触れてみたが、資料にざっと目を通すだけでも、やはりまだまだ伸びしろがある分野だと感じる。それは資料にもある通りBtoCだけに限らず、BtoBの分野、CtoCの急激な台頭、越境ECの伸び率とGDPの関係、決済周りのインフラ整備、など業界成長の要因は多岐にわたる。

 これらの複合的な要因を一つ一つ読み解いて、自社のサービスに置き換えて考えてみることで、先を見据えたEC事業の展開が打てるのではないだろうか。

 現状の好調な事業に胡座をかいていては、すぐに置いていかれてしまう。このECという成長産業において、次の一歩をどこに向かって踏み出すのか。まずはじっくりと腰を据えて今回の資料を読み込んでみることで、見えてくるECの未来があるのだと思う。

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