DeNAがKDDIへモール譲渡、新生「Wowma !」で何が変わる?

ECのミカタ編集部 [PR]

KDDI株式会社 バリュー事業本部 金融・コマース推進本部長 勝木 朋彦氏
 1989 年 3 月第二電電株式会社(現KDDI株式会社)入社。2007年4月同社コンシューマ事業企画本部金融ビジネス部副部長。2008年6月株式会社じぶん銀行取締役。2013年10月KDDI株式会社新規ビジネス推進本部オープンプラットフォームビジネス部長。その後、現職。

KDDIコマースフォワード株式会社 代表取締役社長 八津川 博史氏
 2000年に株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)入社。2007年にDeNA子会社である株式会社エアーリンク(現:DeNAトラベル)取締役オンライン事業部長に就任。2014年、株式会社モバオクの代表取締役社長に就任。2015年10月からはDeNAのEC事業本部ショッピングモール事業部長を兼任。12月より現職。

 1999年、「ビッダーズ」として産声をあげた DeNAショッピングが、KDDIに譲渡され、KDDIコマースフォワードが運営する「Wowma!」(ワウマ!)として、新たな一歩を踏み出した。何が変わるのか、KDDI勝木氏、KDDIコマースフォワード(KCF)八津川氏に、緊急取材を試みた。

DeNAの遺伝子はそのままに、 刷新

勝木氏: 我々は約10年前からauユーザー向けに「auショッピングモール」をやっていました。我々は送客の立場で、DeNAはシステムや中身の部分をお願いしていました。しかしそのDeNAが同じく運営する「DeNAショッピング」も存在していて、店舗さんは対応が難しく、激化するショッピングモールの中で、店舗さんには負担にしかならないと考えたのです。

八津川氏: 我々も、事業成長を主語で考え、それがわかりにくく非効率で、またマーケティングの観点で言えば、同じ商品を、DeNAショッピングとauショッピングモールで、それぞれ広告出稿するなどCPCが悪い課題感があり、一つになる必要がありました。

 ただ、DeNAのeはEコマースで、創業者の南場は「Eコマースがやりたくて起業した」という話もあり、私もその南場とともに、ショッピングモール事業の立ち上げ時にいた張本人。誰より思い入れを持って育ててきた事業をこのような形で、預かることは、大きな決断でした。

勝木氏: 確かに、我々が会社を用意した時に、社員は大半がDeNAから来てくれた人達。彼らはDeNAを退社して、こちらの会社に来るという決断をしてくれたという意味で、覚悟もあったでしょうし、本当に感謝しています。だからそこに集まった社員で一 つになって意識高く「Wowma!」ブランドを推進していく、その気持ちはKDDIもKCFも、非常に強くあります。

 だから、店舗さんからは遂に本気になったねと言われます。KDDIは3800万人の顧客がいるので、そこに大きな経済圏もあり技術のアセットもありそれらをフルに活かすことが出来れば、その化学反応も過去とはレベル感は違うでしょう。

KDDIのライフデザイン構想の要「EC」

KDDIのライフデザイン構想の要「EC」

勝木氏: もう一つ。ライフデザインという構想があります。KDDIが向き合って来たのは、通信という境界線の内側での話。でも、お客さんはそんな風に線を引いておらず、色々便利にサービスを受けたいはずだから、我々はライフデザインを提供していく企業体に変わらないといけないと考えたのです。

 既に電力小売り事業「auでんき」の他、ネット銀行など、経済圏はできつつありました。ただ、これからの方向性としては、顧客体験価値を売りたいということ。電気やエネルギーや金融などはコントラクト型で、重要事項を聞いて署名し、契約を取るといった無機質なものです。ショッピングはそうじゃなく、たのしみを作り出せるメニューです。

 また、全国にauショップがあり、そのカウンターは、ネット銀行の口座開設、ショッピングをはじめとして、経済圏が確立されるほど、腰を据えて生活にまつわる窓口になれる。通信業者がそう考えることに違和感を持つかもしれません。でも、それが時を経て、常識になります。例えば、コンビニに最初おでんが並んだ時にはなぜ?そう思ったはずなんです。でも、今や誰もそれを言う人はない。

 「Wowma!」のwowという言葉の中には「買い物ってワクワクドキドキできるもの」ということが根底にある。体験価値を売ろうという話の、体験価値という言葉もそういう意味で、驚き、感動、気持ちに働きかけるサービスとして、磨き上げたいです。

 Wowを具体的に言うなら、まずはMDのラインナップと、商材のバリエーションを強化していくことです。お客さんに対して、どう表現していくのかというところでいえば、グルメのカテゴリーの店舗における、「勝ち抜きグルメバトル」「超肉祭」などがそうですね。去年の5月から、カテゴリーマスター制度を実施していて、これはカテゴリーごと、段階的に専任を用意するものなのですが、この部分に共感する有名店舗の出店も増え、イベント性が生まれ、良い循環が生まれています。その他、丸井とはファッションジャンルで業務提携し、商品を出品していただくことになっていますが、他のジャンルでも続々同じような動きがあります。

勝木氏: 買い物は、いつまでに何個買うみたいな、仕事のタスクのように感じてもらいたくない。エンタメ要素が大事。だから、見せ方にもこだわります。とあるジャンルで、グループ会社の仕組みを使って、商品の見せ方を変える工夫も近々公開されます。

店舗さんといつもそばに寄り添って

勝木氏: 商品不足に関しても、ない商品はない位の状況にまで持っていきたい。全auのユーザーにご満足いただいて、どのショッピングに行っても、ご満足いただけるというフェーズになることは、最低限の条件ではないかと思っています。

 そして、流通総額を増やす工夫をしたい。広告面ではCPC型広告も地道にやり始めていますが、ただ広告メニューを提案するだけでは、収益的な部分が前面に出てしまうと思います。それよりは、商いの数を増やすことを、第一にしたい。店舗さんが「こういうセグメント分けにしたい」といったことを、広告メニューだけでなく、開発メニューの中で、どう具現化していくか、で商いは増えます。我々の強み、店舗との距離感が近いという部分は、こう言うところで発揮されると思っています。

勝木氏: そして、KDDIの会員を生かして、「Wowma!」が一層、大きなものになっていきます。その連携はいくつか考えていますが、例えば、「auSTAR」という長期契約の方がお得になる会員があり、そこでは、2年更新時にお届けするギフト券がつきます。これらを使う先として、「Wowma!」を効果的に使えるような設計にしています。auユーザーには、確実に2年ごとの更新の機会が訪れるわけですから、それを「Wowma!」での購入につなげる動機付けにする。そんな風にして、auからの誘導と、ライフデザイン構想が織り混ざって、必ずや今出店する店舗の力になれるはずです。

 向き合ってきてくれた店舗の思いに報いるために、一丸となって取り組みたい。そしてグループのシナジーを生かして、あの時このモールを選んでよかったと言ってもらいたい。

「Wowma !」3つのポイント

1、複数のモールが「Wowma !」で一つになり注力できる環境に。
2、KDDIのライフデザイン構想で「Wowma !」の楽しさを演出する。
3、「au STAR」等でauユーザーからの流入も見込まれる。

<ECのミカタ通信 2017 SPRING vol.13より抜粋>

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