【第一回】~顧客心理から明るい未来を語るマドンナ~

児玉 達郎 (こだま たつろう)

初めまして!
株式会社ダーウィンズの児玉達郎と申します。

弊社は通販会社様の支援に特化した、コンタクトセンターとして、
札幌、徳島、東京の3拠点、400名のオペレーターで
サービス提供しております。

今回、連載コラムとして、コールセンターの実践の中で、
作りこんできた販売心理学をご紹介させて頂きます。

題して、
『心理的に見る、最高の販売員の特徴』

接客、コミュニケーション、マーケティングなどの分野で、
少しでも皆様のお仕事のご参考になると幸いです。

購入時のお客様の心理状態

一般的に、モノを買いたいと思うとき、
「買おう!」と心が動くまでの流れ(購買心理)があります。

購買心理とは、
「明るい未来で感情が先に動き、情報で理由づけしていく」
です。

例えば、洋服を買いに、お店に行った際、
置いてある服をパッと見た瞬間に、

「あ、このジャケットだと自分が着ているジーンズに合うな」
「このワンピースなら今週末のパーティーに丁度良さそう!」

といった、明るい未来が想像できると、感情が動いて、

「価格はいくらだろう?」
「サイズは私の体型に合うかしら?」
「色違いはどうだろう?」

といった情報を収集して購買に至ります。

もちろん、最初から価格、ブランド志向、
という方も中にはいらっしゃいますが、
一般的に、日本人の約70%が、このプロセス(感情→情報)で
購買決定すると言われています。

なので、通販のセールスにおいても、
商品特徴を話す前に、まずはお客様の感情を
盛り上げて商品への関心を高めることが大事なんです。

フューチャーペーシング

以前、とある有名な大手通販会社の、
コールセンター責任者様にお話を伺う機会があり、
質問してみました。

「売れるオペレーターの共通点は、何かありますか?」

 そうすると、返ってきた答えはこうでした。

「ストーリーを話せる人ですね」

当時の私はあまりピンときてなかったのですが、
それから、私もお客様とオペレーターとの
会話をたくさん聞いていくにつれ、確信しました。

この「ストーリー」という部分こそ、
お客様の明るい未来を語ることであり、
それによって感情を動かし、購入へと至っていたのです。

ちなみに、後で知りましたが、
この概念、マーケティング用語として、

「フューチャーペーシング」

と紹介されていました。


「フューチャーペーシングのペーシングとは相手の体験を
 共有するという意味であり、フューチャーペーシングは
 お客様に良い未来を見せるという意味になります。
 つまり、お客様に『この商品を買うとこんなに素晴らしい
 未来が待っています』『こんなに良いことがあります』
 ということを示すのです。」
 (出典:「勝手に売れていく人の秘密」清水 康一朗)


あの有名な“マーケティングの神様”、
ジェイ・エイブラハムが提唱している手法でした。

会話に人を登場させる

では、電話でのコミュニケーションにおいて、
お客様に明るい未来を語り尽くすには
どうしたら良いのでしょうか。

オペレーターに指導する際、よく活用しているのが、

『会話に人を登場させる』

ということです。

「仕事をしていてわかる、世の中で一番おもしろいこととは、
 人間の本性ではありませんか?仕事の話でも、技術や物のこと
 となると、聞き手の興味はごく簡単に失われます。ところが、
  話題が人間や人間性などになると、ほとんど失敗しようがないのです。」
 (出典:「話し方入門」 D・カーネギー)


通販のコールセンターですと、お客様の身の上話を引き出したり、
商品愛用者のお声を紹介したり、とすることは大変有効です。

そうすることでお客様の感情に、少しずつ変化が起こり、
会話が進むにつれて、やがてそれは大きな感情の高ぶりとなって、

「今日は話聞いてくれてありがとう、定期コースで買うわ」

といったお客様側から、喜んで購入してくださることに繋がります。

明るい未来を語って、お客様の感情を盛り上げること、
販売においては欠かせない要素です。

雨の日、駅の階段

では、お客様とオペレーターとの
『会話に人を登場させる』と、
どのような違いが出るのでしょうか?

サプリメントをご案内するトークを例に挙げます。

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【オペレーターのセールス・トーク】

このグルコサミンをお飲みになられたお客様から、
「飲み始めて、3ヶ月くらいで○○○が和らいだわ」
というお声をいただきました。

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会話に人(=お客様の声)が登場しています。


しかし、トップオペレーターは一味違います。
いわゆる、キラートークをもっています。

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【トップオペレーターのセールス・トーク】

このグルコサミンをお飲みになられたお客様から、
「雨の日の駅の階段の上り下りが、楽になったわ」
という嬉しいお声をいただきました。

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この違い、いかがでしょうか?

トップオペレーターが語る「明るい未来」は、
情景が浮かんでくるかのような内容です。

お客様の感情を盛り上げるプロ集団として、
美容と健康に携わる女性の憧れであってほしいとの願いから、
当社ではオペレーターを、「マドンナ」と呼んでいます。

これから、全5回、マドンナとの悪戦苦闘の中で、
学んできた、「最高の販売員の特徴」
について、語り尽くします!


次回も是非お楽しみに!!


著者

児玉 達郎 (こだま たつろう) (Kodama Tatsuro)

通販支援に特化した前職において、コールセンターを設立。営業・現場を指揮し、立ち上げた案件は200社以上。2015年ダーウィンズの東京コールセンター長に就任。現在も現場の第一線でコールセンター全てを取り仕切る。また、欧米では、IBM・BMW・コカ・コーラなどが採用するPCM(心理学)認定トレーナーの資格を持ち、オペレーターに対する心理学講習などで離職率を下げる一方、顧客に合わせたコミュニケーションの取り方を教えることで、通販企業の販売率向上に貢献。クライアント先のコールセンターで8時間に渡るセールス研修、PCM認定トレーナーとして外部の心理学セミナーなど、実績多数。

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