百貨店売上8カ月連続マイナス、その要因はECの成長?【日本百貨店協会調べ】

ECのミカタ編集部

 日本百貨店協会によって、「平成28年10月 全国百貨店売上高概況」が発表された。これによると、総額は8カ月連続マイナスであるという。その詳細と原因はどのようなものなのか。ECとの関連を考えながら解いていく。

百貨店、売上高8カ月連続でマイナス

 10月の売上高総額は、前年同月比3.9%減、8カ月連続でマイナスだ。一方で購買客数は45カ月連続で前年を上回っており、8.6%を記録している。

 地区別の売上高で見てみると10都市計(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡)が3.8%減、10都市以外計が4.1%減と、全体的な傾向は変わっていない。しかし売上規模の大きい東京地区の不振が全体の足を引っ張っているという状況だ。

 商品別に見てみると、気温が高めだった上旬の影響が響いてるからか、衣料品は6.5%減という結果に。改善傾向にはあるが、紳士服は5.4%減、婦人服は7.1%減と未だに課題が残っている。一方の化粧品は好調を継続しており、5.4%増加している。

百貨店、売上高減少の要因

 日本百貨店協会はこの結果になった要因を5つに分けて発表している。

①天候
 日本の南海上で太平洋高気圧の勢力が強く、暖かい空気が流れ込みやすかった。そのため、東・西日本では気温が高くなり、特に西日本では月平均気温が平年差+2.0℃に。これは1946年の統計開始以来最も高い結果である。また、西日本では曇りや雨の日が多かったため、月間日照時間がかなり少なかった。

②営業日数増減
30.9日(前年同月比±0.0日)

③土日祝の合計
11日(前年同月比+1日、日曜1日増)

④入店客数増減(回答店舗数で見る傾向値/前年同月比/有効回答数134店舗)
増加した:35店、変化なし:39店、減少した:60店

⑤10月歳時記(秋物商戦、秋の行楽)の売上(同上/有効回答数98店舗)
増加した:4店、変化なし:59店、減少した:35店

百貨店とEC、お互いのメリットを理解する

 百貨店の売上が8カ月減少している要因の1つとして、ECの普及も挙げられるのではないだろうか。

 経済産業省より発表された2015年度の「電子商取引に関する市場調査」の結果によると、2015年のBtoC-EC市場規模は13兆7746億円、前年比7.64%増となっている。年々EC市場は成長してきているのだ。その中で人々は、実店舗での買い物とネットショッピングの使い分けを行っているはずだ。

 ECのメリットといえば、買い物の時間を問わないことや購入した商品が自宅まで届けられるという点だろう。そのため、昼間仕事をしていてなかなか買い物ができないビジネスマンなど、店が開いている時に買い物をすることができない現代人は、ECを利用する確率が高い。特に消耗品などの日用品は急に必要な場合が出てくる。

 現在、ECにおいて即日配送などのスピード配送が進化してきているため、日用品はECで購入されるのではないだろうか。日本百貨店協会が発表している商品別の売上高において、家庭用品は10カ月連続マイナス、食料品は8カ月連続マイナスという結果が出ていることからも読み取れるだろう。

 一方実店舗のメリットは、自分の目で見て、専門家の話を聞いて、実際に商品を触って購入を決定することができる点だ。そのため、ECサイトの写真だけでは購入決意できない商品が百貨店で購入される。その証拠に、日本百貨店協会が発表している商品別の売上高では、化粧品が19カ月連続でプラスの成績を収めているのだ。化粧品は直接自分の肌で試して、色味なども自分の目で確認して購入する場合が多い。そういった品は結果的に実店舗で購入される傾向があるのだ。

 また、爆買が収束していることも要因と考えられる。海外のお客様を意識しつつ、国内におけるマーケットの多様化に対応していくことが、今後求められていくのではないだろうか。

 ECも百貨店も、人々が生活していく上で必要不可欠である。 EC、百貨店がそれぞれの道を開拓していくためには、お互いの販売形態のメリットを把握することが重要だ。ECサイトにおいては、消費者が何にメリットを感じてECで購入するのかを理解する。そうすることで、どのような商品をどのように魅せたら消費者に響くのかが見えてくるはずだ。

 百貨店は、ECの要素を上手く取り込んでいき、リアル店舗で補えない部分をフォローすることが必要になってくるだろう。結果、それが百貨店の売り上げを伸ばすことにも繋がっていくはずだ。


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