中国SNS 500万件のクチコミから見るインバウンド需要「トレンドExpress調べ」

福島 れい

上位20商品中7商品が「コスメ・美容用品」

 ホットリンクグループの株式会社トレンドExpressは、中国のSNS上の口コミをもとに2016年における訪日中国人によるインバウンド消費動向を調査し、「2016年訪日中国人消費動向まとめ」を発表した。

 2015年12月末から11月上旬までの約1年間において中国のSNS上で「日本で買った」と書き込まれた口コミ数は 5,106,658件に上る。商品別では、 1位「雪肌粋ホワイト洗顔クリーム」、2位「サンテボーティエ」、3位「クリアターンホワイトマスク(ヒアルロン酸)」となり、上位20商品のうち、7商品が「コスメ・美容用品」カテゴリーだった。

 カテゴリー別のランキングでは、 2位「衛生・健康用品」カテゴリー、3位「医薬品」が続く結果となっている。このように肌に触れる、口に入る商品カテゴリーが上位にランクインしていることから、中国人消費者は日本商品に”安心・安全”であることを求めていることがわかる。


 また、今後需要の高まりが期待される商品カテゴリーとして「ベビーキッズ用品」と「カルチャーグッズ」がある。昨年、一人っ子政策が廃止され、すべての夫婦で二人目の出産が可能になった「二人っ子政策」の施行により、子供の増加が予想されている。そこで、今年「ベビーキッズ用品」カテゴリーで「買った」という口コミがあった商品を集計すると、 1位「メリーズ」2位「moony」となり紙オムツが特に人気を集める結果となった。

  SNS上には、『実は日本語の成分表示なんてよくわからないけど、みんなが花王がいいというからそれにしよう(メリーズ)』『日本の産院の助産師が推薦!着色料・香料・防腐剤全て不使用!(ベビーバーユマドンナ)』などといった声が上がっており、「安心」「高品質」に加え、「口コミ」が商品購入の決定要素になっていることが伺える。


 「カルチャーグッズ」の需要が高まると考えられるのは、 “90后(ジウリンホウ)”と呼ばれる90年以降生まれの若者世代の存在があるからだ。 Expressの調査によると、これらの世代は趣味性が高く、個人の好みが強く出る商品をお土産に購入する傾向がある。この世代が訪日旅行の中心になってくることを考えると、「カルチャーグッズ」の購入が増加することも想像できる。

 2016年に人気を集めた「カルチャーグッズ」カテゴリー商品は、1位「キティ―ちゃんグッズ」、2位「ガンダムプラモデル」3位「レゴブロック」が続く結果となり、これらの商品には一定の口コミがついていることから安定したファン層が形成されつつあることが伺える。

 中国人が買い物をするにおいては、口コミが重要な判断基準になっていると言われる。今回の調査では、「商品表示が読めなくても、口コミで評判がいいから購入する」という声もあり、口コミがいかに重要な価値を持つかうかがい知ることができる。訪日中国人が日本で購入した商品を帰国後に改めて購入する越境EC需要も期待されており、中国進出を考えるEC事業者にとっては、ぜひ参考にした情報と言えそうだ。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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