スタートトゥデイ、第3四半期決算を発表。売上向上の鍵

ECのミカタ編集部

株式会社スタートトゥデイ(以下、スタートトゥデイ)は、平成29年3月期 第3四半期決算を発表した。アパレルECサイトとして人気が高い「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイだが、その業績はどう推移しているのだろうか。

ユーザーとのコミュニケーションを大切に

 第3四半期累計期間における日本国内の衣料品・アクセサリー市場は、国内消費の停滞感を受け、緩やかな減少基調となっている。雇用・所得環境の改善傾向こそ持続しているものの、世界経済及び日本金融市場の先行きに不透明感が漂っていることもあり、景況感や消費者マインドの改善には至らず、個人消費は依然足踏みが続いている状況だ。

 そういった中、スタートトゥデイは、「ZOZOTOWN」のユニークユーザー数拡大及びコンバージョンレート(ユニークユーザーの購買率)向上のため、ユーザーとブランド双方にとって魅力的なサイト作りにより一層注力してきた。

 具体的には、ショップの新規出店を加速させ、第3四半期連結累計期間においても、多様化するユーザーのニーズに対応できるよう積極的に新規出店を行った。また、ブランドクーポン等のプロモーションを効率的に実施したことに加え、平成28年3月期下期にリプレイスを行ったCRMシステムを活用し、ユーザーと積極的にコミュニケーションを取っていった。さらに、平成28年11月には、支払期限を注文日から2ヶ月後とする後払い決済手段サービス「ツケ払い」を導入することで、決済手段の拡充にも取り組んでいる。

第3四半期決算の詳細

 決算の結果、第3四半期連結累計期間の商品取扱高は148,090百万円(前年同期比32.3%増)、売上高は53,694百万円(同42.2%増)、差引売上総利益は48,659百万円(同39.7%増)となった。主力の受託ショップと比較して差引売上総利益率(対商品取扱高)が高いZOZOUSEDの伸長、その他売上高(送料収入、有料会員収入等)の増加により、差引売上総利益率(対商品取扱高)は32.9%と前年同期と比較して1.8ポイント上昇した。

 販売費及び一般管理費は29,367百万円(前年同期比27.2%増)、商品取扱高に対する割合は19.8%と前年同期と比較して0.8ポイント低下した。人件費率(対商品取扱高)が高いZOZOUSEDの伸長により人件費率(対商品取扱高)が5.3%と前年同期と比較して0.2ポイント上昇したものの、広告宣伝費及びポイント販売促進費を合算したプロモーション関連比率(対商品取扱高)は1.9%と前年同期と比較して0.9ポイント低下したことが要因となる。

 以上の結果、第3四半期連結累計期間の営業利益は19,291百万円(前年同期比64.3%増)、営業利益率(対商品取扱高)は13.0%と前年同期と比較して2.5ポイント上昇した。また、経常利益は19,433百万円(同63.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は14,117百万円(同78.1%増)となった。なお、事業別内訳は以下の通り。

【事業別内訳】
■ZOZOTOWN事業 
 商品取扱高142,901百万円(前年同期比41.0%増)売上高47,820百万円(同44.6%増)
・受託ショップ 
 商品取扱高133,485百万円(前年同期比39.7%増)売上高38,405百万円(前年同期比40.6%増)
・買取ショップ 
 商品取扱高145百万円(前年同期比71.9%減)売上高145百万円(前年同期比71.9%減)
・ZOZOUSED 
 商品取扱高9,270百万円(前年同期比76.8%増)売上高9,270百万円(前年同期比76.8%増)

■BtoB事業 商品取扱高
 商品取扱高4,522百万円(前年同期比57.3%減)売上高988百万円(前年同期比62.2%減)

■フリマ事業
 商品取扱高666百万円

■その他(有料会員収入、送料収入、代引手数料収入、ツケ払い手数料収入等)
 売上高4,885百万円(前年同期比137.7%増)

 今回の結果を見る限り、市場の停滞に反して、スタートトゥデイは商品取扱高・売上高共に好調に推移している。その中でもやはりZOZOTOWNの好調さが光る。ユーザー視点を重視し、利便性が高いサービスを次々と展開しているZOZOTOWNだが、一方で有名店舗の出店が目立ち、それ以外の既存店とどう共存していくか、また実店舗とのバランスをどう取るのかといったところは課題になるかもしれない。このままの戦略で拡大を続けるのか、新たな展開を見せるのか、いずれにせよアパレル業界、EC業界を変化させつつあるスタートトゥデイの動きに引き続き注目だ。


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