ラクーン予想!アジア圏で「anello」に続く流行バッグ

ECのミカタ編集部

今、アジア圏で日本メーカーのバッグが熱いことをご存知だろうか。株式会社ラクーン(以下、ラクーン)は、大流行した「anello(アネロ)」のバッグを例に、次に流行るバッグを予想した。バッグに限らず、アジア圏で日本のアイテムがどのようにしてブームを巻き起こしているか、その裏側を紹介する。

シンガポール経由で情報が伝達、ブームを引き起こす

 東アジアでは、代表的な親日国である台湾を中心にブームが広がり、台湾の人口は約2,000万人の中、2016年には年間400万人以上が日本を訪れた。その際に、目にとまった日本の商品がそのまま台湾で流行することがある。また、台湾ではブログカルチャーが発展しており、日本旅行に来た人気ブロガーがブログやSNSで商品を紹介して人気になることが多い。

 また、東南アジアでの広がり方は少し異なり、シンガポール経由で情報が伝わり、ブームが起きる。シンガポールは日本への好感度がとても高い親日国であり、インドやベトナム、タイにも近いため、東南アジアのハブとして機能している。そんなシンガポールで日本のアイテムが人気になると、親日国を中心に東南アジア諸国にブームが広がっていくのだ。

昨年度合計約280万本売れた「anello」の魅力

昨年度合計約280万本売れた「anello」の魅力anelloのバッグ

 そんなアジア圏で大流行した「anello」を製造・販売しているのは、株式会社キャロットカンパニー(以下、キャロットカンパニー)である。キャロットカンパニーは、「使いやすさ」や「機能性」にこだわったものづくりを追求しており、それが色濃く反映された大ヒット商品が「anello」シリーズだ。

 「anello」は2005年に誕生し、2014年頃から「口金リュック」が話題になり、日本、そして海外でも注目されるようになった。ラクーンの越境ECサービス「SD export」でも国内はもちろん、台湾や香港などの東アジア、タイやマレーシアなどの東南アジアからも注文が入る。この価格帯のバッグは年間数万本ほど売れればヒット商品と言われる中、「anello」は昨年度シリーズ合計約280万本を売り上げた。実際に、ラクーンの卸・仕入れサービス「スーパーデリバリー」でも、これまでのヒット商品と比べてひと月あたり約10倍の注文が入っている。

荷物の多い女子学生の間でブームに

 「anello」の口金リュックは、中身がすぐに分かるガマ口のような取り出し口、背負ったまま物を取り出せる背面ファスナーなど圧倒的な機能性を兼ね備えている。また、オシャレなデザインと3,000円から6,000円という手頃な価格設定も人気の秘密である。

 そういった「anello」は、ここ数年でじわじわと日本国内で人気が広がり、最初は荷物の多い女子学生の間でブームとなり、次第に荷物の多いお母さんや自転車通勤のサラリーマン等にも広がっていった。そして、その人気から街中のあらゆる雑貨店、外国人観光客が立ち寄る土産物屋等でも多くの「anello製品」が並ぶようになった。

 さらに、ヒットの裏側に台湾ブロガーの存在がある。日本好きの台湾ブロガーが来日した際、あるいはネットや雑誌で見かけた際に「anello」を購入し、ブログやSNSに投稿したことがヒットの理由とも言われている。

 そして、2016年には「anello」の売上が「SD export」のバッグ・財布部門における台湾への年間総輸出額の27%を占めた。台湾で人気に火が付いた商品は、同じ言語圏の中国にもブログやアプリを経由して飛び火し、中国で人気になれば、東南アジアで次々にブームの連鎖が始まっていく。また、「anello」の人気は親日国であるシンガポールにも伝わり、ベトナムやタイなどの東南アジア諸国にも広がっていった。

次なる流行するバッグは「mis zapatos」!

次なる流行するバッグは「mis zapatos」!mis zapatosのバッグ

 今、「anello」の次にヒット作になると言われているバッグが「mis zapatos(ミス サパト)」。このバッグは、「面白い!新しい!カワイイ!」を合言葉に独自の製品づくりを行っている大阪のファッションブランド株式会社ターンオーバーである。

 「mis zapatos」は、取っ手から足が生えたような独特のデザインが目を引く個性派アイテムである。「anello」が抜群の機能性を備えていたように、「mis zapatos」はInstagram映えする抜群のデザイン性を備えている。また、手に取りやすい価格設定と個性的で目を引くデザインから日本国内でブームの兆しを見せている。そのため、「mis zapatos」を取り扱う国内の雑貨屋や土産物屋の数は徐々に増加している。

 さらに、そのInstagram映えするフォトジェニックなデザインから既に一部の台湾ブロガーがブログやSNSで紹介している。そして最近では、台湾本土でも「mis zapatos」を販売している雑貨店を見かける。

女性の心を掴んだデザインと利便性

 こういったように「mis zapatos」は「anello」との共通点も多く、今後台湾で人気に火が付く可能性が高いと考えられる。この特徴的なデザインという強みは「anello」の人気とは喧嘩せず、今後も人気を集めていくのではないだろうか。「SD export」でも2月末に「anello」の正規代理店である台湾の小売店から、大口注文の問い合わせが入った。今後、さらに台湾を中心に東アジアで話題になれば、シンガポールなど東南アジア諸国にもブームが広がる可能性もある。

 ラクーンは、今後も台湾から広がるアジア圏での日本ブームが、インバウンド消費を活性化することを考え、「SD export」では今後もこのようなアジア圏の日本ブームを上手く取り込み、ますます事業を発展させていく。

 今回紹介した「anello」や「mis zapatos」は、女子学生から大人の女性まで幅広い人が持てるようなデザインとなっており、女性の心を掴んでいる。その「anello」が台湾のブロガーの目に止まり、ブログやSNSに投稿され、話題となった。もちろん、ブロガーの影響力は強いが、おそらく、それだけがブームのきっかけではないだろう。商品のデザイン性や利便性の高さもまた、女性に受け入れられたからこそ、ブームに火がついたと言っていいだろう。商品力なくして、ヒットはあり得ないのである。テクニックにとらわれることなく、しっかりとした商品づくりの姿勢もまた、注目したいところだ。

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