スキルをシェアする為の企業に変貌!ランサーズ新戦略発表

石郷“145”マナブ

クラウドソーシングのレベルが上がる

 テクノロジーの進歩に伴い、スキルもシェアリングのあり方も多様化して、それによって、社会構造も変化していくのだろうか。その中で、きっとフリーランスの考え方も変わっていくように想う。先ほど開催されたランサーズ株式会社の戦略事業発表会の中で思った。

 ランサーズは、この発表会の中で、市場が拡大し、依頼の多様性やより専門性高い業務が求められていることを受け、まず一つ目の発表、新しいクラウドソーシング「Lancers Top」を夏をめどに開始すると記者会見で語った。「Lancers Top」は、よりクラウドソーシングのレベル感を上げていくもので、「Lancers」より専門性の高い、トップレベルのスキルをもったフリーランスのエンジニア、クリエイターを対象に非公開求人案件をマッチングさせるという内容になっている。

 「Lancers」では依頼相手は匿名、場所はオンライン、利用基準は誰でも可能としていたが、「Lancers Top」では、依頼相手は実名で行い、場所はリアルでも良いとしており、利用基準に関しても、レジュメ(職務経歴書などで判断)、スキル(実際の実力を見極め)、面談(人と向き合えるかという総合力の重視)を行うことで、付加価値高く提供できるようにしていくという。またその仕事の価格帯は、「Lancers」では基本的に自由としていたのに対して、「Lancers Top」は、職種、仕事内容によるが、最低報酬額を設定することがある、としている。

 また、あわせて、二つ目の依頼、総合型スキルシェアリングサービス「Pook」β版の事前登録を開始し 、6月にリリースすることについても明らかにした。「Pook」は、位置情報を活用して、今自分に近いところにいる人に対して仕事を依頼できるスキルシェアリングサービスだ。スマホをベースにしており、今いる場所に基づき、地図上に、相手の現在地が表示されるようになっている。スキルの内容は、パーソナルトレーナー、ヨガインストラクター、ネイリストなど幅が広い。

 また、関連会社として、デジタルマーケティング事業強化に向けて、「QUANT株式会社」を設立し、新成長戦略「オープンタレントプラットフォーム構想」の推進に努めていくとしている。

 これまででもランサーズでは、「Lancers for Business」で、デジタルマーケティング支援事業を行ってきた。考え方としては、ランサーズにおけるトップクリエイターがチームとなることで、企業に対して付加価値を提供し、また、これまでのノウハウを生かし、特許のテクノロジーを使って、個々の企業に合わせたマーケティング成果を向上させる提案をしていく。

より具体的で気持ちに即した、質の高い仕事のハーモニー

 その中では、コンテンツとクリエイターのマネージメントシステム「Quant」を提供するとしている。事実このシステムを通して、実に、2億を超えるユーザーと1000万を超えるコンテンツの分析をし、複数のマーケティングテクノロジーに関する特許を取得しているとしており、この蓄積されたノウハウを最大化させることになるだろう。

 たとえば、このライターはこういう読者に読まれ、どれだけの時間、閲覧され、この読者はどういうカテゴリーが読む傾向があるのか、などを活用して、依頼された企業に合わせた最適化をしていくことは、クライアントのマーケティングにすら貢献できるとしており、提供するレベルをワンランクあげたものとなりそうだ。

 僕が「ランサーズは単なるクラウドソーシングのレベルの枠を超えて、シェアリングエコノミーのきっかけを作っていく会社に変わっていくのですね」と、代表取締役社長 秋好陽介さんにお聞きすると、こんな言葉が返ってきた。「やはりクラウドソーシングだけでは、市場が限られていて、人数に限界があるが、ネットもリアルも垣根を越えて、スキルをシェアできるようにしていくことで、それとは比べ物にならない人の可能性を引き出し、もっと多くの人の働き方が変わっていく」と。

 確かにそうかもしれない。まさに一人一人には違ったスキルがあり、そのスキルをもっと解放されるべきだし、それらを必要とする人たちにすぐに結びつくことで、社会は活性化する。スマホの登場によって、いつでもどこでも人と人とが結びつけられる環境が生まれたことで、今までの仕事の概念は、確実に変わっていく。彼らが投資するテクノロジーで、そのフィールドが拡大し、まさにその動きは拍車がかかっていくだろうし、そういう社会になることを期待したい。

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記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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