ソフトバンクとヤフーがスマホ決済サービス『PayPay』の提供開始へ

ECのミカタ編集部

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ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)とヤフー株式会社(以下「ヤフー」)の合弁会社であるPayPay(ペイペイ)株式会社は、バーコードやQRコードを使って決済ができる新たなスマホ決済サービス『PayPay』の提供を2018年秋から開始することを公表した。

日本のキャッシュレス決済の普及を促進

今回の発表では、『PayPay』の提供にあたって、ソフトバンク・ビジョン・ファンドのポートフォリオカンパニーで、インド最大の決済サービス事業者であるPaytmと連携し、同社の顧客本位のテクノロジーを活用して日本におけるスマホ決済を構築しサービスを拡大していく方針であることもあわせて明らかとなった。

その背景として、日本国内において現金(紙幣・貨幣)で支払う習慣が根強く、現在のキャッシュレス決済比率は20%にとどまっている点を挙げている。政府がキャッシュレス決済比率を2025年までに40%、将来的に世界最高水準の80%にすることを目指してキャッシュレス化を推進する中(出典「経済産業省『キャッシュレスビジョン』」)、ソフトバンクとヤフーは日本のキャッシュレス決済の普及を促進し、利用者と加盟店の双方に利便性の高いサービスを実現するため、2018年6月に合弁でPayPay株式会社を設立し※2、今秋から「PayPay」を提供することとしたのだ。

なお、連携を実施するPaytmは、インドでデジタル決済のエコシステムをリードし、バーコードやQRコードベースのテクノロジーを開発している企業だ。3億人以上のユーザーと800万の加盟店にシームレスなモバイル決済サービスを提供していく計画であるという。

「Yahoo!ウォレット」スマホ決済機能の代替へ

「Yahoo!ウォレット」スマホ決済機能の代替へ

PayPay株式会社とソフトバンク、ヤフー、Paytmは、ソフトバンクや口座数4,000万超の「Yahoo!ウォレット」の顧客基盤を活用した利用者の拡大、ソフトバンクが持つ営業ノウハウを生かした加盟店の獲得、Paytmの技術を活用した利便性の高いサービスの開発を進め、スマホ決済における「ユーザー数ナンバーワン」「加盟店数ナンバーワン」のサービスを目指す方針だ。

「PayPay」の提供開始に伴い、現在ヤフーが提供している「Yahoo!ウォレット」のスマホ決済機能は、今後提供を終了(時期未定)し、「PayPay」とYahoo! JAPAN IDを連携させ、「Yahoo! JAPAN」アプリから「PayPay」の機能を利用できるようにする予定となっている。

<PayPay概要>

◆1.開始時期:
2018年秋(予定)

◆2.利用方法:
「PayPay」専用アプリ、または「Yahoo! JAPAN」アプリから利用可能

◆3.利用可能店舗:
全国チェーンの店舗から、各地域の小規模店舗まで幅広く利用できる予定(詳細は後日発表予定)

◆4.主な特長:
・クレジットカード、電子マネーの2種類から支払い方法を選択できる
・店舗側がレジ付近などに提示したQRコードをユーザーがアプリで読み取る方式(ユーザー読み取り方式)と、ユーザーが提示したバーコードやQRコードを店舗のレジでスキャンする方式(店舗読み取り方式)の2つを提供

◆5.加盟店向けの施策:
・ユーザー読み取り方式は、QRコードを店舗に掲示するだけで、大きな負担なく低コストかつ手軽に導入でき、店舗側が負担する決済手数料を開始から3年間無料とする
・今後、店舗にユーザーを集客するためのさまざまな施策を実施予定

日本のキャッシュレス化促進の牽引役となるか

日本のキャッスレス化が諸外国に比べて遅れている点は各方面から指摘されてきた。一方で国内のECプラットフォームをはじめ金融機関などと連携する形で百花繚乱といった形で決済手段やそれに付随したサービスが提供されている。

当面、こうした決済手段の多様化は進むものと思われるし、ユーザーがECやオムニチャンネルで決済を行う場合でも、より多くの決済手段に店舗やECサイトが対応することは買い物体験の向上からも望ましいことだ。同時に、あまりに多くの決済手段や規格が乱立することは、ユーザーや利用する店舗等にとっても煩雑になり、かえって日本でのキャッシュレス化の流れを遅らせることにもなりかねない。

今回の公表は、Yahoo!をはじめ、巨大なプラットフォームとしてECをはじめとした広範なサービスを展開するソフトバンクとヤフーが、より本格的にキャッシュレス化を進めるための大きな一手とも言え、より深化する同分野において、どこまで牽引役となれるか、勢力図の変化とあわせて、その行方を注視したい。

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