天猫(Tmall)が『Tmall BeautySummit』を開催 中国市場でのコスメへの高い関心が鮮明に

ECのミカタ編集部

アリババグループの天猫(Tmall)は 2019年3月4日、今年5回目となる「Tmall BeautySummit」を上海で開催し、その内容を公表した。

天猫(Tmall)とは、アリババグループの事業のひとつだ。2008年にローンチした天猫は、消費者にブランド製品や高品質な消費体験を提供している。多くのグローバルブランドおよび中国ブランドや小売業者が天猫に店舗を開設。中国の調査会社Analysysによると、天猫は 2017年の流通総額において、中国最大のB2Cプラットフォームとなった。

15~19歳の「Z世代」に大きな可能性

2018年は、天猫に出店するブランドの80%が天猫で新製品を発売したという。また、天猫の美容製品の売上高は昨年比 60%超で、業界の平均成長率を上回った。

天猫および小売市場調査会社Kantarが同サミット中に共同発表した報告書によると、2018年の中国国内の小売市場全体のうち、天猫で販売された割合の増加率は、パーソナルケア製品が昨年比21%増で、化粧品全体の 21%を上回った。

また天猫における製品の浸透率は、パーソナル製品が最も高く 60%を上回る結果となった。浸透率の増加率はパーソナルケア製品および家庭用クリーニング用品が昨年比45%増で、消費財全体は昨年比40%だった。

同報告書では、15~19歳のZ世代の可能性を示したとしている。Z世代の女性は美容市場の新たな消費者で、他の年齢層の女性よりもハイエンドな口紅を進んで購入するとして上で、「これは化粧品会社にとってチャンス」だと指摘している。

今年中に世界の化粧品1,000ブランドの店舗を開設

今年中に世界の化粧品1,000ブランドの店舗を開設

天猫は同サミットにて、2019年中に国内外の化粧品1,000ブランドの店舗を開設する目標を発表した。この目標について同社は、高まり続ける中国人消費者のニーズに訴求したい美容ブランドから選ばれるプラットフォームになるべく、その地位を確立するための推進力となるものだとしている。

同サミットでは、グローバルの化粧品企業7ブランドと天猫が契約を締結した。トム フォード(TomFord)、グラムグロウ(Glamglow)、P&Gの新たな化粧品シリーズ Oriental Therapy、Cosme、日本の資生堂のd program、韓国のPrimera、スウェーデンのバーネゲン(Barnängen)の7ブランドが、2019年中に天猫で旗艦店を開設する。

また、美容ブランドの中国での成功を支援する新たな取り組みの一環として、1 月に正式に発表したワンストップソリューション「Alibaba Business Operating System」を紹介した。同ソリューションは、販売、物流、サプライチェーン管理、決済、マーケティング、クラウドコンピューティングおよびその他のサポートサービスのデジタル化を支援するものだ。

日本の各化粧品ブランドも大きな成果を上げた

同サミットにて、各カテゴリーの人気コスメ商品も発表され、資生堂のアネッサ、ユニ・チャームのソフィなど、日本ブランドも名を連ねた。

その中でもコーセーは 2018年9月に、天猫でコスメデコルテの店舗を開設した。わずか 10日で 13.7万人のフォロワーを獲得し、購入者の83%が90年代生まれだった。なおコーセーは現在、天猫もしくは天猫国際に6ブランドの旗艦店を開設している。

また資生堂の ELIXIR は 2018年4月に中国にて、日本で人気のアイクリームの販売を開始した。30日間のPV数は1億を突破し、売上数2万個以上を達成した。日焼け止めで人気のアネッサも、「ドバイ日焼け止めの旅」を天猫と共同企画し、ドバイでアネッサを体験できるイベントを実施した。

キャンペーン期間中は売上が600%増加し、わずか6分で1万個が売り切れるなど大盛況だった。資生堂は 2018年8月にNARS(ナーズ)の旗艦店もオープンさせ、現在天猫に10ブランドの店舗を開設している。

「チャンスを活かすために各ブランドと協力する」

「チャンスを活かすために各ブランドと協力する」

このように天猫は、2019 年中に国内外の化粧品 1,000 ブランドが店舗を開設することを目標として掲げ、出店ブランドの 80%以上が天猫で新製品を発表していることが明らかとなった。また美容製品の売上高は昨年比 60%超で、業界の平均成長率を上回る目覚ましい結果となっている。

今回の発表に際し、天猫のプレジデントであるJet Jing氏から次のようなコメントが出されている。

「天猫の18万のブランドから信頼され、ブランドのデジタル化の加速および中国での事業成長に貢献できることを光栄に思います。中国の消費活動はアップデートを続けており、様々な年齢層や居住地の人々が、高品質な美容製品を進んで購入しています。私たちは、このチャンスを活用するために、多くのブランドと協力できることを楽しみにしています」

天猫はまた、アリババの約7億人の中国国内の顧客、強力な技術サポートおよび精通した市場知識を強みとして、ブランドがカスタマージャーニー全体を管理するための最も効果的なプラットフォームとなったとしている。

高まる中国市場でのコスメへの関心、特に日本ブランドへの信頼度は高く、それら日本のコスメブランドが中国での展開をする上で、これからも「製品開発・認知向上・取引・配送からアフターサービス」に至るまで、オンラインおよびオフラインの両方において顧客にシームレスな体験を提供する有力なプラットフォームとして存在感を発揮することになりそうだ。


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