ヨーロッパ・イギリス(UK)のマーケット調査!売れる商品と消費者属性について

ECのミカタ編集部 [PR]

前回の記事(https://ecnomikata.com/original_news/13912/)で、越境ECや海外進出というと中国が目立っているが、ヨーロッパそしてイギリスの市場が大きな可能性を持っているということをお伝えした。今回の記事ではさらに深掘りをして、さらにイギリスの詳細な消費者事業や日本の売れ筋商品などを明らかにしていく。前回同様に、楽天出店だけではなくヨーロッパのEC事情にも詳しい株式会社アイ・オーダーから、イギリス現地支援をするTrade Japan(トレード・ジャパン)に追加調査を実施した。

現地発、イギリスのECユーザー情報

現地発、イギリスのECユーザー情報左:Josh Rouse(ジョシュ・ラウス)右:Patrick Kelly(パトリック・ケリー)

ーーイギリスのECユーザーのメインはどういった層ですか?
 イギリスでは信じられないほどの数の人が、オンラインショッピングを利用しています。2015年では、その数が人口の約90%にもなります。特に、16-24歳の若者になるとおよそ100%になります。また、男女間で特に利用差はありません。毎年、実店舗よりオンラインで購入する人が増えるにつれて、オンラインで購入されているアイテムの数も着実に増えています。


ーーイギリスのECユーザーに向けた集客手段としてはどのようなものがありますか?
 オンラインショッピング業界はとても競争的であるため、競合の中で目立つことが重要になります。つまり、オンラインショッピング上で、商品を安く提供するか、一番いいサービスを提供できるか、独特な商品をもっているかどうかです。

この3点のうち一つでも達成した場合に、オンラインショッピング業界での成功をつかみ取るいいチャンスがあることになります。顧客を集め、かつ維持するための明確なオンラインショッピングの戦略をもつことが重要です。リピーターを獲得することが必要不可欠であるため、顧客に対していいサービス、素早い配達、優れた商品を提供することが重要になります。


ーーイギリスのECユーザーが、一回の注文で使う費用は平均でどのぐらいでしょうか?
 一回の支払いは、ポンドで換算するとおよそ55ポンド(8000円※2017年7月時点のレート)になります。各UKの顧客は毎年オンラインショッピングで平均1174ポンド(約170,000円※2017年7月時点のレート)払っています。この出費は、毎年約10%ずづ増加しており、市場規模は確実に拡大しています。


ーーイギリスにおけるECの物流事情はどうなっていますか?
 イギリスは比較的小さな島国なため、配送のロジスティックスは、商品を24時間以内に顧客に届けることに意味があります。多くの企業は、顧客が夜遅くに購入しても、次の日に問題なく商品を届けるようにしています。アマゾンやAsos(大きなオンラインファッション卸売り企業)がイギリスに参入しているため、顧客は高いレベルのサービスをそれらの企業に期待しています。


ーーその他、イギリスのECユーザーと日本のECユーザーの特徴的な違いはありますか?
 イギリスの消費者はここ30年間オンラインショッピングを続けているため、イギリス市場はとても発展しています。イギリスの消費者は、高い価格の商品も含めてオンラインであらゆる商品を購入することに抵抗がありません。

これは、アマゾンがイギリス市場を独占したため、オンラインショッピングサービスの期待値がとても高く、イギリスの消費者が保護されているように感じます。このため、イギリスの消費者は日本の消費者と比べてオンラインショッピングに対して購入までのハードルが低いです。多くのイギリスの消費者は、基本的な商品と配達情報さえあれば購入を決定することが多く、日本ではお馴染みの“長いページ”は必要ありません。

「Made in Japan」はイギリスでも通用するのか

ーーイギリスのECユーザーに日本ブランド・製品は総合的にどのような評価をされていますか?
 イギリスでは、ヨーロッパの商品をアマゾン経由でオンラインで購入することが容易です。そのため、それらの商品はとても一般的になり、かなりありふれた商品となりました。

しかし、日本の商品はヨーロッパの商品と異なり、刺激的でかつ、魅力的です。これは、イギリスのオンラインでは検索して購入することが簡単ではないからです。あらゆる商品のカテゴリーを見ても、日本から購入された商品は、イギリスではとても興味深いものとして捉えられると思います。


ーーイギリスのECユーザーに人気のある日本ブランド・製品のジャンルは何ですか?
 日本の文化や製品はイギリスでとても人気です。すでにイギリス市場に参入している多くの日本のブランド企業は、オンラインやオフラインで製品をすでに販売し、成功を収めています。ユニクロは、おそらくイギリスで最も知られているブランド企業ですが、他のニッチな日本のファッションブランド企業も多数知られています。日本のビューティー・ヘルスケア商品に関しては、イギリスでは珍しく、魅力的でかつ、高いクオリティーを備えているため、とても人気です。

さらに、日本のビューティー商品は、より多くの天然成分が含まれているため、天然成分をとても好む現在のイギリスの消費者に対して、魅惑的な商品です。日本のデザインは、日本独特の文化や歴史からヒントを得ているため、家の中の商品もUKではとても人気です。


ーー大手以外で、イギリスのEC市場において成功している日本ブランド・製品はありますか?
 すでにアマゾンUKでよく売れている日本の商品が多数あります。いくつかの日本のブランド・企業は多くの商品を売っており、すでにアマゾンサイト内でトップ100のランキングに入っています。

売れている商品のタイプは、ビューティー・ヘルス、雑貨、ファッションブランド、ホーム、ガーデニングです。これらの多くの商品は、日本から直接船で送ることも可能ですが、イギリスの消費者からはあまり好まれるとは限りません。もし、日本のブランド・企業がイギリスで商品をストックできる環境を整えられたら、イギリスの消費者にとってかなり魅力的に映るとは思います。

日本企業がいざ進出する際に、注意すべきはやはり”タイムリーな対応”

ーー日本のブランド・企業がイギリスのECユーザーに向けて商品を販売する際、特に注意すべき点は何ですか?
 常に注意すべきなのが、商品の在庫があるのかということと、指定されたスケジュール内で配送できるかです。多くの日本のブランド・企業はアマゾンに自分たちの商品をリスト化し、日本から直接配送することを考えるかもしれません。

しかし、これでは商品を指定された時間に常に配送できるとは限らず、顧客に不快な思いをさせてしまう結果を招く危険性があります。(どんなブランドに対しても)私たちはイギリスに在庫を置いて、パートナー企業か物流サービス提供者を見つけて、日常的の物流やカスタマーサービスを彼らに任せることを薦めます。


ーー日本のブランド・企業がイギリスのECユーザーに向けて商品を販売する際、まず着手すべき点は何ですか?
 Trade Japanのような現地のコンサル企業と提携することです。私たちは、イギリス市場での日本のブランド・企業の商品を調査したり、イギリス市場での成功を収める機会があるかどうか確認することが可能です。日本のブランド・企業は我々に商品情報、推奨価格、一般的な企業情報を共有することが必要になります。現地パートナーはオンラインでの販売に関して専門的な知識があるため、イギリス市場(B2CやB2B)において、日本のブランド・企業の商品を売るためのベストな戦略のアドバイスが可能です。

気になる、イギリス市場のこれからは?

ーー今後、イギリス越境ECの市場はどの程度成長が見込まれますか?
 終わりない潜在的な成長をもった市場です。顧客の期待は、世界のどの国からでもオンラインでどんなアイテムも買うことができることです。顧客は、もっと越境ECを望んでおり、大通り沿いにある店では手にすることができないような新しくて、かつ魅惑的な商品に近づけることで喜びを感じます。ヨーロッパ本土に近いため、越境ECでの買い物は、すでにイギリスの顧客にとって日常的な買い物習慣の一部となっています。


ーー今後、イギリス越境ECの市場にどのような変化が予測されますか?
 すでにフランス、ドイツ、イタリアからオンラインで商品を注文することが普及しており、商品は2,3日以内で届きます。次の3年間で、私たちが注文できる国のリストは、大きく拡大していくでしょう。中国はすでに、イギリスの顧客にとってとても流行しているマーケットです。私はあるUKの顧客は日本から商品を注文し、別の顧客はアメリカやイギリスから商品を注文するかもしれない、といった各商品に対して同等のサービスレベルが実現されると期待しています。


ーーイギリスのEU離脱に向けた動きはECにも影響するでしょうか?
 EUから離脱することは顧客視点からですとインパクトはさほどないでしょう。イギリスの顧客はアマゾンやeBayを通して容易にヨーロッパ全土から商品を購入することがまだまだ可能です。これは、イギリスは大きなマーケットとして位置づけされ、ヨーロッパ企業はイギリスとの貿易はスムーズなまま維持されると確信しているからです。

ですが、販売側としては納付すべき税金については、イギリスがEU離脱後ヨーロッパとの貿易に関してやや複雑になるかもしれません。その一方で、複雑化ではなく逆に貿易しやすくなる可能性も秘めています。イギリスとヨーロッパの貿易の交渉が始まると、我々のビジネスの方法を改善できる可能性もあるからです。現時点ではまだEU離脱がいい影響を与えるか、悪い影響を与えるか言い切れません。


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