ヤフーがソフトバンクの連結子会社に PayPayなど非通信事業分野を強化

ECのミカタ編集部

2019年5月7日開催の取締役会の取締役会決議に基づき一任されたソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)の代表取締役社長執行役員兼 CEO の宮内謙氏において、ヤフー株式会社(コード番号 4689、東証第一部、以下「ヤフー」)の連結子会社化を目指してヤフーが実施するソフトバンクを割当先とする第三者割当による新株式発行(以下「第三者割当増資」)を引受けることを決定した。

ソフトバンクがヤフーに役員を派遣

今回の第三者割当増資の引受けにおいて、ソフトバンクはヤフーが発行する新株式 1,511,478,050 株の全てを4,565億円で取得する。ソフトバンクは現在、ヤフーの発行済株式総数(自己株式数を除く)の12.08%の割合の株式を保有しているが、ヤフーが後述する自己株式の公開買付けを完了し、かつソフトバンクがヤフーの新株式の取得を完了した後は、ソフトバンクはヤフーの発行済株式総数(自己株式数を除く)の44.64%を保有することになると見込まれる。

あわせて、ソフトバンクがヤフーに役員派遣等を行うことで、ヤフーはソフトバンクの連結子会社となる見込みだ。この場合、ソフトバンクグループの会計方針に基づき、ヤフーの業績を 2019 年4月1日に遡及して連結したものとして会計処理するため、ソフトバンクの2020年3月期の連結業績予想は、売上高4兆8,000億円、営業利益8,900億円、親会社の所有者に帰属する当期利益 4,800 億円となる見込みだ。なお1株当たり配当金は85.00円(うち中間配当金 42.50 円)を予定する。

◆【第三者割当増資の概要】

ソフトバンクは、以下の条件本第三者割当増資により発行される株式の総数を引き受けることを予定する。

①払込期日 2019年6月27日
②引受株式数 普通株式1,511,478,050株
③払込金額1株につき金302円
④払込金額の総額 金456,466,371,100円

「ヤフーとの協業関係を深化・拡大することが不可欠」

「ヤフーとの協業関係を深化・拡大することが不可欠」

ソフトバンクとヤフーは、以前から協業を深めてきていた。具体的には、「Yahoo! BB」を始めとする各種通信関連事業について業務提携契約を締結しているほか、イーコマースを中心に協業を進め、スマートフォン顧客向けのサービスを拡充し、シナジー効果の実現を通じて、通信とその関連サービスの総合的な価値を向上させるなど、他の通信キャリアとの差別化を進めてきた。

また2018年6月には、ソフトバンクとヤフーで合弁会社PayPay(ペイペイ)株式会社を設立し、バーコードや QR コードを用いたモバイルペイメント事業(PayPay)等、新規事業の拡大にも取り組んできた。

ソフトバンクヤフーの共同出資会社であるPayPayについては、こちらも第三者割当増資を行い2019年5月以降に、ソフトバンクグループ株式会社から460億円の出資を受け入れることを決定している。その増資によって、PayPayの資本金は920億円(資本準備金を含む)となる。

さらにソフトバンクとヤフーとの協業機会は非常に広いと認識している一方で、ソフトバンクとヤフーが身を置く厳しい競争環境において、技術開発等に係る戦略的な意思決定を迅速かつ緊密に行うことが不可欠であるとし、2018年8月 15 日、ソフトバンクとヤフーは、ソフトバンクがヤフー普通株式の一部取得(613,888,900 株(所有割合:12.08%))を行うことで、資本提携を通じた関係強化を行っている。

こうした資本関係の強化を受け、ソフトバンクとヤフーは、両社の企業価値の向上を目指して、様々な施策に関する協議を継続してきた。このような中、ソフトバンクとしては、競争環境の変化に対応するためには、Fintech(金融と技術の融合)等の非通信事業分野において、ヤフーグループとの連携をより深めることで、シナジー効果を最大化させ、相互の顧客基盤の拡大・充実を図るとともに、利用者に適したサービスの提供を加速化させていくことが極めて重要であるとの考えを持ち始めたという。

そしてその実現のため、ソフトバンクはまず、ヤフーとの協業関係を一層深化・拡大することが不可欠と判断し、2019年2月上旬よりヤフーを連結子会社化することも視野にヤフー普通株式の追加取得を行う検討を開始した。その後、ソフトバンクは、同月中旬にヤフーに対してヤフーを連結子会社化することも視野にヤフー普通株式の追加取得意向を有していることを伝え、ヤフーとの間で当該追加取得に関する協議を進めてきた。

その結果、同月下旬にソフトバンクとヤフーは第三者割当増資によりソフトバンクがヤフー普通株式を追加取得するなどして、ヤフーをソフトバンクの連結子会社とすることによって、ソフトバンクグループとしてFinTech等の非通信事業分野を一体的かつ積極的に推進し、両社が統合的な戦略に基づき経営資源を最適に配分し、シナジー効果を最大化することで、今後のソフトバンクとヤフーのさらなる成長・発展と企業価値向上に資するとの認識を共有するに至ったそうだ。

革新的なソリューションを提供していく

革新的なソリューションを提供していく

今後、ソフトバンクとヤフーはこれまでの取り組みからさらに踏み込んで、両社のサービス群、両社が有する国内最大級の顧客基盤およびその顧客基盤や IoT から得られる膨大な量と種類のマルチビッグデータを活用することで、個人のユーザーには一人ひとりのライフスタイルに合わせたより便利なサービスの提供を行い、法人の顧客には各産業分野における様々な課題を解決するとともに、事業成長を支援するような革新的なソリューションを提供していくとしている。

通信インフラの分野をはじめ、気鋭の企業としてその存在感を常に示してきたソフトバンクと日本のインターネット黎明期からその発展をともにしてきたヤフー。両社の連携はこれまでも行われてきたし、さらなる深化についても噂が絶えなかったが、今回第三者割当増資の形で、その確固とした基盤が築かれることになる。

ますます競争が激しくなるモバイル分野を前に、それ以外のPayPayなど非通信分野を強化することで全体の基盤を強化し、それらを通してユーザーへの訴求力を強め、新時代においてさらなる存在感を発揮することになりそうだ。

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