ECサイトに導入すべき決済サービスとは?決済方法や決済代行の仕組みを解説

ECのミカタ編集部

ECサイトに導入すべき決済サービスとは?決済方法や決済代行の仕組みを解説

ターゲットにあわせたオンライン決済サービスの導入は、利便性向上による売上アップや担当者の業務負担の軽減に役立ちます。商品やサービスを提供するECサイトにおいて、決済手段の充実度合いは事業成功の重要なポイントになるといっても過言ではありません。「新規ECサイトの立ち上げを予定している」「決済手段を追加したい」と考えている事業者は、今回の内容を参考にオンライン決済サービスの導入を検討してみてください。

ECサイトのオンライン決済システムとは

オンライン決済システムとは、ECサイトで購入した商品の会計をオンラインでおこなう仕組みのことです。ECサイトで取り扱っている商品やサービスを注文したユーザーがWeb上で支払いするためには、決済システムの構築が欠かせません。

また、ユーザーは自分にあう支払い方法を採用しているECサイトを選ぶ傾向にあり、決済サービスの不備による機会損失を避けるためにも、利用者の多い決済サービスは実装しておきたいものです。近年、現金不要の「キャッシュレス決済」の需要が高まり続けており、これまで一般的だったクレジットカード決済にくわえて、電子マネー決済やキャリア決済に対応するECサイトも増えています。

【比較用】ECサイトの決済サービスの種類

ECサイトの決済サービスは大きくわけて6種類あります。
それぞれのサービスを比較できるよう、特徴や仕組みを解説します。

クレジットカード決済


クレジットカード決済は利用者がもっとも多く、ECサイトには必要不可欠ともいえる決済方法です。カード番号などの項目を入力するだけで決済が完了する手軽さや、ユーザー側の手数料がないことなどが、利用者数の多さにつながっていると考えられます。

クレジットカード決済は注文完了と同時に決済されるため、未払いの心配がありません。また、クレジットカードによってはポイントが貯まったり会員特典が受けられたりと、ユーザーにとってメリットの多い決済方法となっています。

代金引換(代引き)


代金引換は商品受け取りの際に代金を配達員に支払う決済方法で、オフライン決済サービスの1つです。クレジットカードなどのオンライン決済は便利な一方で、セキュリティ面に不安を感じる人も少なくありません。その点、代金引換なら個人情報をWeb上に入力する必要がないため、ユーザーは安心して利用できます。

代金引換は一定の需要があるものの、EC運営者にとっては以下のようなデメリットがあります。
・入金までに時間がかかる
・手数料が高い
・管理リスクがともなう

代金引換の手数料をどちらの負担にするかはショップ側で決められますが、ユーザーの負担が大きくなると商品購入前に離脱される可能性もあり、慎重に考慮しなければなりません。

コンビニ決済


コンビニ決済は、コンビニで注文商品の支払いができる決済サービスです。クレジットカードなどの契約は不要で、身近なコンビニで支払いが完了する便利さから人気の高い決済方法の1つです。支払い方法は入金確認後に商品を発送する「前払い」と、商品が届いてから代金を支払う「後払い」の2種類。どちらの方法も購入者とのあいだに決済代行会社が入り、決済や入金の処理をおこないます。クレジットカードをもたない人をターゲットとするECサイトなら、導入しておきたい決済方法です。

キャリア決済


キャリア決済は、スマホなどの通信料金と一緒に商品代金を支払う決済方法です。クレジットカード情報などの入力は必要なく、特別な手続きなどもいりません。ユーザーは自分が契約している通信事業者(キャリア)を選び、IDとパスワード、暗証番号を入力するだけで支払いが完了します。

各キャリアによる決済サービスの名称は以下のとおりです。
・docomo…ドコモ払い
・au…auかんたん決済
・SoftBank…ソフトバンクまとめて支払い

ユーザーにとって便利なキャリア決済ですが、事業者側が負担する手数料はクレジットカード決済の1.2〜1.5倍程度かかるため、コストを考慮する必要があります。

PayPal


PayPal(ペイパル)とは、ECサイトとユーザーのあいだにPayPal社が入ることで、安全安心にオンライン決済ができるサービスです。ユーザーはクレジットカードや銀行口座の情報を登録した「PayPalアカウント」を作成し、決済時はIDとパスワードを入力するだけで完了します。

即時決済かつ出金のタイミングはECサイト側で決められ、入金サイクルが早いのも魅力。初期費用や月額費用は無料で、1件あたりの手数料のみで利用できるため、導入ハードルは低いといえるでしょう。

ID決済(バーコード決済)


ID決済とは、Amazonアカウントや楽天アカウントなど、ユーザーが普段使っているアカウントを利用した決済方法です。主要なID決済には以下のサービスがあり、アカウントにログインした状態で支払い手続きが可能になります。
・Amazon Pay
・楽天ペイ
・d払い
・PayPayオンライン決済

また、サービスによってはポイントが貯まったり支払いを一括にまとめられたりと、ユーザーにとってメリットの大きい決済方法といえるでしょう。

銀行決済


銀行決済は、商品注文後に事業者が指定する金融機関の口座に代金を振り込む決済方法です。オンラインショッピングの普及前から存在する決済方法のため馴染み深く、年配者や高齢者も安心して利用できる決済方法といえるでしょう。

また、同一銀行であれば手数料が無料になるため、ユーザーが普段から利用する銀行が指定されている場合、好んで選択される傾向にあります。ECサイト側のデメリットには入金までのタイムラグが発生することや、入金の消込作業が必要になることなどが挙げられます。

ECサイトにおける決済方法の割合

ここまでECサイトの決済サービスの種類を紹介してきましたが、実際にどのサービスがよく利用されているのか気になる人も多いのではないでしょうか。

以下は総務省が2019年に発表した、インターネットで商品を購入する際の決済手段の推移です。

引用:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201900_001.pdf 上記の調査によるとクレジットカード払いが75.7%で、ほかの決済方法と大きく差がひらく結果になりました。その他の割合をみていくとコンビニ決済が38.4%、次いで代金引換が24.0%、銀行・郵便局で決済が23.3%となっています。クレジットカード決済が半数以上を占めるものの、それだけではすべてのユーザーをカバーできないことが、こちらの調査結果から読みとれます。

ECサイトの決済方法を選ぶ際のポイント

ECサイトの決済方法の種類はさまざまありますが、すべてのサービスを導入するとコストの負担が大きくなるうえに、ユーザーが迷ってしまう可能性もあります。そこでECサイトの決済方法を選ぶ際のポイントを知り、導入するサービスの選定に役立てましょう。

ターゲットの年齢や性別


1つ目のポイントは、ターゲットの年齢や性別にあわせた決済方法を選ぶことです。年齢や性別により利用する決済方法は異なるため、取扱商品のターゲットにあわせて導入しなければなりません。たとえば、10代であればクレジットカードをもっている人は20代以降に比べて少なく、コンビニ決済の利用が多いといわれています。このようにターゲット層の動向を把握しておくことで、どの決済方法を選ぶべきかの判断が容易になります。

販売する商品の単価


一般的に購入金額が高いほど購入ハードルはあがり、安全に決済できるかどうかが重要視されます。購買率をあげるにはユーザーの信頼を獲得するほかなく、セキュリティ面での精査も必要になります。また高額商品の場合は、「分割払いの可不可」や「ポイント付与の有無」なども購入時の判断基準となるため、できるだけ多くの決済方法に対応しておくとよいでしょう。

定期販売の有無


ECサイトで扱う商品が定期販売の場合、継続的に請求できる決済サービスを導入する必要があります。決済サービスには「都度課金」と「継続課金」の2種類あり、定期販売対象の商品を扱う場合は継続課金できるサービスを利用しましょう。

継続課金は毎月自動で請求が可能になるオンライン決済で、さらに細かくわけると課金額が一定か変動するかによって導入サービスも異なります。ビジネスモデルに最適な決済サービスを導入できるように、事前にサービス内容をチェックしておきましょう。

手数料の金額


決済サービスを利用すると、代行会社や信販会社に支払う手数料が発生します。利用金額によってどの決済方法を導入するか決めるのもよいでしょう。

以下に、一般的な決済サービスの手数料をまとめました。
決済サービス/手数料目安(1件あたりの金額)
クレジットカード:4〜5%
代金引換:300円〜
コンビニ決済:130 円~/2.75%~
キャリア決済:5~10%
PayPal:3.60% + 固定手数料
ID決済:3〜10%

たとえ1件あたりの手数料が少額でも、販売金額があがればあがるほど負担が大きくなります。利用コストをしっかり考えたうえで、必要な決済方法の導入を検討しましょう。

決済代行サービスの仕組み

ECサイトの利便性を高めるために複数の決済方法を用いる場合、各決済機関との契約や管理が必要になります。しかし決済手段を増やすほど業務負担や人的コストが増え、EC運営を圧迫しかねません。そのような悩みを解消するのが決済代行サービスです。決済代行サービスは事業者と決済機関のあいだに立ち、導入審査や契約手続きをはじめ、運用開始後の入金管理などもおこなってくれます。決済代行会社ではECサイトに必要な決済環境の構築などもおこなってくれるため、専門知識がない事業者は検討してみるとよいでしょう。

ECサイトの決済代行サービス5選

最後に、ECサイトの決済代行サービスを3つ紹介します。

SBペイメントサービス


SBペイメントサービスは、ソフトバンクグループが提供する決済サービスです。オンライン決済をはじめ店舗向けや訪問販売など、対面販売での決済サービスが多彩にそろっています。決済手段はクレジットカード決済やコンビニ決済、キャリア決済、各種ID決済など幅広く対応。ニュースリリース配信やSNSマーケティングサービスがセットになった、「マーケティング支援プラン」もあり、売上拡大につながるサービスも提供しています。



GMOペイメントゲートウェイ


GMOペイメントゲートウェイ株式会社が提供する決済・金融サービスです。オンライン総合決済サービスには、法人向けの「PGマルチペイメントサービス」と個人事業主向けの「Epsilon byGMO」があります。クレジットカード決済やコンビニ決済などさまざまな決済手段をそろえており、導入前の提案サポートを受けることも可能。セキュリティガイドラインにも対応済みで、安心・安全な決済環境が構築できます。

ペイジェント


ペイジェントは、三菱UFJニコスとNTTデータの合弁会社です。豊富な決済手段を一括契約できるうえに、多くのECサービスと標準で連携しているため導入が簡単なところも魅力。接続方式も多く、機能が充実した管理画面で担当者の業務負担の削減にもつながります。また、締め日から入金までのサイクルが早いのも特徴で、通常9営業日・最短5営業日での入金が可能です。



DGフィナンシャルテクノロジー


株式会社DGフィナンシャルテクノロジーは、ECなどオンラインサービスからリアル店舗まで、幅広いチャネルを一元管理できる決済サービスを提供しています。マルチペイメントサービス「VeriTrans4G」では、ECなどオンラインサービスからリアル店舗まで、幅広いチャネルを一元管理できます。多様な決済手段が導入可能で、ECでの決済利用65%を占めるカード決済から最新のID決済まで対応しています。また、2018年3月までに、対応が求められているカード情報の非保持化対応かPCIDSS準拠にも対応。EC事業者に求められるカード決済での不正利用を防止する充実したセキュリティ機能をご提供しています。



ソニーペイメントサービス


ソニーペイメントサービス株式会社は、総合決済サービス「e-SCOT Smart」を提供しています。カード会社とのダイレクト接続により、高速データ処理が可能となっているため、利用者を待たせない高速レスポンスが可能となっています。そのため、カゴ落ちリスクが減り、機会損失も抑えられます。また、カード会社との接続に中継地点がないため、メンテナンスなどによるサービス停止が最小限に抑えられます。さらに、システムの二重化を図っているため、24時間365日のサービス提供を実現しています。その他には、カード情報を預けることができるため、情報漏洩リスクを回避できます。

まとめ

ターゲットにあわせたオンライン決済サービスの導入は、利便性向上による売上アップや担当者の業務負担の軽減に役立ちます。商品やサービスを提供するECサイトにおいて、決済手段の充実度合いは事業成功の重要なポイントになるといっても過言ではありません。「新規ECサイトの立ち上げを予定している」「決済手段を追加したい」と考えている事業者は、今回紹介した内容を参考にオンライン決済サービスの導入を検討してみてください。


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