accaはDXを“導入して終わり”にしない! 物流2024年問題解決におけるソリューション構築人材育成の重要性【セミナーレポート】

ECのミカタ編集部 [PR]

株式会社アッカ・インターナショナルSales Division Business Development section Head Creatorの林千博氏

去る2024年3月28日、ECのミカタでは EC業界特化・課題解決型のオンラインカンファレンスを開催。「物流の2024年問題」をテーマに、DXの遅れ、人手不足倒産、さらには物価高騰など、EC事業者にとっての「配送の危機」とは何かについて、専門家の皆さんにご登壇いただき、セミナーを行っていただいた。なかでも株式会社アッカ・インターナショナル(以下:アッカ・インターナショナル)の林千博氏のセミナーは、2024年問題と対峙し、迫りくる2030年問題にも切り込み、そして何より「最新機器を導入しているのに、なぜかDX(※1)が一向に進まない」――そんな“現場”の悩みに応えるものでもあった。

ここでは棚搬送型AGVを使用した高効率物流オペレーションの先駆者としての実績を持つアッカ・インターナショナルでシステム構築やコンサルティング業務などを行う林千博氏のセミナー内容をお伝えしよう。

※1:デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)=デジタル化

2024年問題最大の課題はBtoBの荷待ち

400以上のアパレルブランドを取り扱い、物流オペレーションを中心に、スタジオ、CS、システムを自社で構成し、一気通貫のフルフィルメントECサービスを行うアッカ・インターナショナル。社内のDX推進者としての豊富な経験をもとにコンサルタントとしても活躍している林氏によると、「2024年問題の本質をよく理解せず、『何をすればいいのか』『今からでも間に合うのか』と不安ばかりを募らせているEC事業者が多い」(以下、発言はセミナーより抜粋)という。

「国土交通省の2022年の資料を見ると、輸送量における6.5t以上のトラック構成比は69.2%ですが、11t以上のトラックの輸送量は前年比100%以上となっていますし、小型車や軽車輛の輸送量は前年より減少しています。つまり、 2024年問題は、BtoCではなくBtoBの配送が問題の根本にあるのです」

BtoBの配送問題の中でも大きな比重を占めているのが、実は「トラックの荷待ち」。国土交通省が2023年7月21日に創設した「トラックGメン」(ラック事業者への積極的な情報収集を行い、悪質な荷主に対し、法に基づく「働きかけ」や「要請」を行う専門部隊)の調査によると、主な違反原因行為で最も多かったのは「荷主等に起因する長時間の荷待ち(62%)」だった。
「長時間の荷待ちをさせられているドライバーは、作業ができないまま労働時間だけが増えていっているわけです。それが2024年4月1日を境に残業ができなくなれば、ドライバーにとっては死活問題。ですから、いかにこうした“長時間の荷待ち”をBtoBにおいて減らしていけるかということが、2024年問題の重要ポイントとなります。そのために、倉庫のDXが急務です」

2024年問題だけではなく、その先の問題もある

また2024年問題だけが大きく報道されているがために、「そこを乗り越えれば一旦は大丈夫」と捉えやすいが、もっと深刻な 「2030年問題」が6年後に控えている。全人口に占める65歳以上の高齢者の割合が約35%に達すると推計されており、あらゆる業種で労働人口が激減するといわれているのだ。特に顕著なのが、総人口の3分の1が高齢者という、物流業。ドライバーが見つからず倒産する会社も少なからずあると予想されるので、今からDXを進めて、荷待ち問題を解決する必要があるのだという。

2030年にはあらゆる業種で労働人口が不足し、運輸業界でも21万人が不足する見込み(画像提供:アッカ・インターナショナル)

なぜ、最新機器を導入しただけではDXが進まないのか

林氏が、最新機器を導入してもDX化が遅々として進まない企業のコンサルティングでさまざまな階層にヒアリングをすると、必ず耳にするフレーズがあるという。

「経営者の方は『現場サイドが協力してくれないので、単に導入しただけで終わってしまっている』という悩み。管理職の方からは『現場で扱える人間がいない』『そもそもDXの必要がないので、導入しても意味がない』、現場の方からは『導入したけれど、使い方が難しくてよくわからない』『AGVは、(何もしなくても)勝手に何でもしてくれると思っていた』という声ですね」

アッカ・インターナショナルでは、約5年前からDXを始め、大きな成果を得ている。その経験を踏まえたDX成功の秘訣は以下の通りだ。

(画像提供:アッカ・インターナショナル)

①担当者を選任
②担当者は現場から選抜した
③担当者が主導で環境構築した
④担当者は改善立案も行った
⑤次世代担当者を育成した

林氏は、5年前、システムを担当していた時にDX推進担当に選抜された。その時から一貫して、環境構築を主導してきた。

「中国から届いたAGVのコンテナを開けた時のワクワク感は、今でもおぼえています」

そこから毎日、毎日、AGVが動く状況を観察し続け、「もう1本動線があったほうがいい」「ストレートで行ける動線があったほうが効率的ではないか」など、改善点を考え続けた。そしてその改善案を、次のセンターができた時にブラッシュアップして導入。DXによって効率化が進み、どんどんセンターが増えていく中で次の担当者をアサインし、次世代の指導者を育成していったという。こうして、社内のDXは飛躍的に進んでいった。

約5年間で、アッカ・インターナショナルが導入したDX(画像提供:アッカ・インターナショナル)

こうしたDXが功を奏し、アッカ・インターナショナルでは2016年から2021年までの5年間で売上高が約5倍に上昇しているが、特筆すべきは入庫棚のKPIは約2倍であるのに対し、商品ピックのKPIは約4倍に上昇しているということ。またDXにより、24時間・365日稼働や、当日配送サービスが実現しているという。

2030年問題の労働人口減少に対しても、DXの効果は絶大だという林氏。現在、アッカ・インターナショナルでは、20代から40代の構成比が79.2%となっている。

「DXする前は、倉庫で募集すると『体力に自信がある』という人の応募がメインでした。でも今はAGVの導入で、早ければ15時にはピッキングが終わって帰れるので、お子さんをお持ちの主婦の方も増えていますし、女性の雇用率も65%にのぼっています。有給消化率が80%になったところも、DXの効果。やはり、DXを成功させることは企業の成長に直結しますし、2024年問題や2030年問題を打破することにもなります。それには“導入して終わり”ではなく、ソリューションを構築できる人を育てることが重要なのです」

DXは目的ではなく手段だということを認識し、その先にある課題解決のためには「導入して終わり」ではない人材育成の必要があるという点を、改めて考える必要があるだろう。

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林 千博(はやしちひろ)
株式会社アッカ・インターナショナル Sales Division Business Development section Head Creator
大手紳士服小売業の経験を活かしEコマース業界へ転職。外資系ECサイトの立ち上げや有名ブランドのスタジオ,物流責任者を経験し、2013年にaccaへ入社。入社後は、物流、システム、ディレクション、セールスを歴任し、accaのDX戦略を含め社内外プロジェクトの大半でプロジェクトマネージャーとして従事。
Eコマースにおけるバックヤード経験やプロジェクト経験、AGV導入責任者経験を活かし、現在はロボティクス化やDXソリューションの構築,倉庫業務オペレーションコンサルティングを行う。また、セミナー登壇を通し、フルフィルメント業界全体の認知度向上活動を行っている。


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