Amazonの新配送サービス「マケプレプライム」とは?

福島 れい

アマゾン アマゾンジャパン ディレクター セラーサービス事業本部 事業本部長 星 健一氏

 本日、アマゾンジャパンにて、メディアラウンドテーブルが開催され、Amazonマーケットプレイスの状況と、Amazonマーケットプレイスの2つの新しいサービス「マケプレプライム」 と「ディスプレイ広告」の発表が行われた。登壇したのは、アマゾンジャパン ディレクター セラーサービス事業本部 事業本部長 星 健一氏と、セラーサービス事業本部 技術推進本部 セラーフルフィルメント マネージャー 筒井 剛氏の2人。

日本から海外、海外から日本への出品が増加

 まず、星氏からAmazonマーケットプレイスの状況が語られ、日本から海外のAmazonへ出品する事業者が増加していること、また海外から日本のAmazonへ出品する事業者も増加していることが明かされた。日本から海外のAmazonに出品するアクティブユーザー数は数千社におよび、商材としてはチェキやお菓子の箱詰めなどユニークなものが多いという。海外から日本のAmazonへ出品する事業者については、ヘッドフォンやモバイルバッテリーなどを中心に2015年の実績で前年比約2.5倍の出品点数となっていることが今回初めて明かされた 。このような国を超えた出品が増加している背景として、FBAの各国展開や出品画面等のユーザーインターフェースを多言語化し、自国での販売が可能な仕組みを提供していることが挙げられる。その他、プライム会員数は世界全体で前年比1.5倍となっており、好調さが伺える。

自社配送商品に”プライムマーク”を

自社配送商品に”プライムマーク”をアマゾンジャパン セラーサービス事業本部 技術推進本部 セラーフルフィルメント マネージャー 筒井 剛氏

 今回発表された新しい配送サービス「マケプレプライム」については筒井氏より「FBAを利用できない商品、販売事業者もAmazonと同等の配送サービスを提供するもの」と説明があった。「マケプレプライム」とは、対象商品に”プライムマーク”が表示され、Amazonプライム会員であれば、配送無料で「お急ぎ便」として商品を受け取れるようになるというもの。これまでの”プライムマーク”と異なるのは、販売事業者が自社の配送の仕組みを活かして「お急ぎ便」を提供することにある。

 FBAの利用を勧めるのではなく、マケプレプレイスを提供する理由としては、大きく2つが挙げられ、1つは温度管理や大きな商品、賞味期限が短いなどFBAで取り扱いができない商品までをも”プライムマーク"の対象とできるため。もう1つは他の販売チャネルにおいて主力の売上を担う商品などについては、あえてFBAに預け在庫を分散させるよりもより最適な配送手段を活用できるようになるためだという。Amazonマーケットプレイスはあくまで販売チャネルの1つであり、各事業者ごとに最も成果が出やすい方法を選択できるというのは、かねてからのAmazonの強みだろう。

 マケプレプライムを利用する販売事業者のメリットとしては、自社で発送する商品に”プライムマーク”が表示されることで、プライム会員への商品の訴求や検索画面上での露出拡大が期待でき、その結果、FBAを利用した時と同レベルの売上まで拡大できることだ。夏より試験運用としてマケプレプライムを活用した医療機器、医薬品を取り扱う販売事業者では、導入前までは前年と同水準の売上で推移していたところから、売上が一気に拡大したという事例も紹介された。

マケプレプライムを試験導入した企業の事例

 なお、マケプレプライムの利用条件としては、「96%以上の商品で期日内配送を実現する」「94%以上の商品で商品の追跡ができるようにする」など基準が設けられており、高い配送クオリティを保ちつつ、プライムマークの対象商品を拡大していくことになる。

 本日紹介されたもう1つの新サービスは「ディスプレイ広告」だ。2億点の商品が出品されているAmazonでは商品が埋もれがちになる。そこでバナー広告を提供することで商品の露出を高め、商品の認知アップや集客の強化を図るというものだ。これまで商品の検索結果一覧に広告商品が並ぶことはあったが、今回バナーとなることで、販売事業者のロゴや商品コンセプトなどもアピールできるようになったことは新たな動きとなっている。

 近日アマゾンは、プライム会員向けのサービス展開を強化しているが、マケプレプライムもその1つといえる。プライムマークの対象商品が増加することで購入者の利便性は向上するが、その分、販売事業者はより迅速な発送作業が求められ、作業負担が増加しかねない。迅速な発送作業が行える仕組みづくりをしっかり行っていく必要があるだろう。マケプレプライムの導入企業、対象商品がどのような伸びを見せるのか注目だ。


記者プロフィール

福島 れい

ECのミカタ編集部に所属するバドミントンと和服、旅好きの記者、通称れーちゃん。ミニ特集「アパレルECの未来(https://goo.gl/uFvr2C)」等、これからEC業界がどんな風に発展していくのか。に注目しながら執筆しています。2017年の執筆テーマは、”私にしか書けない記事をタイムリーに”。

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