富士急ハイランドが中国国外初の『WeChat Payスマート旗艦遊園地』となる

ECのミカタ編集部

テンセント・ホールディングス・リミテッド(騰訊控股有限公司、本社 中国深セン市)のコミュニケーション・アプリ「WeChat」のモバイル決済サービス「WeChat Pay(微信支付、読み:ウィーチャットペイ)」が「富士急ハイランド」の全エリアに導入された。越境ECを通した訪日外国人観光客とのロイヤリティ構築にも期待がかかる。

世界で10.4億のアクティブユーザー

WeChatは世界で10.4億のアクティブユーザーを誇るコミュニケーション・アプリだ。そのサービスの一つであるWeChat Payにはすでに8億人以上のユーザーがおり、現在40を超える国と地域の事業主と中国人観光客をつなぐ重要な架け橋となっている。WeChat Payの導入は、中国人観光客へのマーケティング活動強化に直結するため、すでに日本でもドン・キホーテや新千歳空港でも導入がされている。

その、中国国内を中心に多くのユーザーを持つコミュニケーション・アプリWeChatのモバイル決済サービスである『WeChat Pay』が富士急ハイランドの全エリアに導入された。これにより、富士急ハイランドは中国国外で初の「WeChat Payスマート旗艦遊園地」となったことになる。

富士急ハイランドでは、多様な機能を備えたWeChatアプリ内のアプリ「Mini Program」を利用して様々なモバイルサービスを実現することで、中国人観光客により利便性の高い顧客体験を提供し、中国人観光客の増加と売上の向上を見込んでいるとのことだ。

富士急ハイランドでの体験のさらなる強化を目指す

富士急ハイランドでの体験のさらなる強化を目指す

WeChat Payスマート旗艦遊園地になることによって、富士急ハイランドではチケットやお土産物の購入から飲食に至るまで、園内全体でWeChat Payの利用が可能となる他、今後導入が検討される最短30秒で商品の購入が可能なWeChat Pay専用の無人レジを体験できるコーナーも設置される。

また、富士急ハイランド専用アプリWeChat「Mini Program」を開設し、中国人観光客にアプリ内でのeチケット販売やアトラクション待ち時間の確認が可能になる他、将来的には、パーク内のハンディ・ツアーガイド、カスタマイズされた情報発信などのスマートサービスの展開を予定しているそうだ。

さらにWeChat Payは、富士急ハイランドと共にWeChatのソーシャルネットワークとマーケティング力をさらに活用し、WeChatの中国人観光客インサイトに基づいた効果的なマーケティング・コミュニケーションとカスタマイズされた利便性他の高いサービスを提供することで、より多くの中国人観光客を誘致し、富士急ハイランドでの体験のさらなる強化を目指すとしている。

「より親密で継続的なコミュニケーションができる」

「より親密で継続的なコミュニケーションができる」

今回の富士急ハイランドの「WeChat Payスマート旗艦遊園地」化に際して、双方のキーマンは、次のように述べている。

富士急行株式会社 代表取締役 堀内光一郎 氏

「中国人観光客は日本の観光産業の継続的成長を握る原動力であり、富士急ハイランドの重要なお客様でもあります。中国人観光客に最も利用されている決済プラットフォームの一つであるWeChat Payと提携することで、中国人観光客によりカスタマイズした便利な顧客体験を提供することができます。これは富士急ハイランドの経営理念と合致しています。我々はWeChatの機能を最大限活用することで、中国人観光客とより親密で継続的なコミュニケーションができることを楽しみにしております」。

テンセント・ホールディングス・リミテッドWeChat Pay担当バイス・プレジデント 李培庫 氏

「富士急ハイランドの、中国人観光客という日々成長する市場にさらに注力し素晴らしい体験を提供するという目標は、WeChat Payが世界中で事業主の皆様をサポートし、中国人観光客の満足度を向上させる目標と合致しております。将来、我々はWeChat Payスマート・マーケティング・ソリューションの海外展開をさらに促進し、海外事業主の皆様と共に、中国人観光客にスマートかつ便利な消費体験をご提供いたします」。

越境ECでの好循環構築にも期待

テンセントによれば、日本は長年中国人に人気の海外旅行先となっている。日本政府観光局(JNTO)の2018 年1月16日発表のデータを引用した上で、2017年の訪日中国人観光客は前年比15.4%増の延べ 7,355,800人に達し、3年連続で訪日外国人観光客ランキング1位を占めているとしている。

その中でも、日本における代表的なテーマパークの一つである富士急ハイランドは、多くの世界記録を達成したアトラクションを備え、中国人観光客にも長年人気の観光地となっていた。一方で、富士急ハイランドでは、中国人観光客の急増に伴い、その顧客体験において、言葉の問題や支払い習慣の違いなどが課題となっていたのも事実だ。

そこで中国国内をはじめ、世界で絶大なユーザー数を誇り、訪日する中華圏の観光客にも馴染みの深い、WeChat Payを導入することにしたのだ。訪日外国人観光客は、来日により日本の商品を購入することでファンとなり、帰国後もECを通してリピート購入してくれるという越境ECでのロイヤル顧客化することが可能だ。

テーマパークはそうした好循環を生み出す格好の舞台であり、すでにハウステンボスなどでも越境ECを強く意識した施策を打ち出している。富士急ハイランドが今回実施した「WeChat Payスマート旗艦遊園地」化は、園内でシームレスな決済ができる点でも、さらに一歩踏み込んだものと言え、訪日中華圏観光客がいかにして購買行動を変化させるかについては、同様の施策を検討中の方にも注目のサービスとなるのではないだろうか。

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