「No.1表示」「体験談や使用者画像」「カウントダウンタイマーや在庫表示」は要注意! 2023年度通販広告実態調査報告書

奥山晶子

2024年3月、公益社団法人日本通信販売協会(以下、略称「JADMA」)は、前年度に行った調査・検討活動の結果を「2023年度通販広告実態調査報告書」としてまとめた。どんな広告表現が問題とされているかや、その事案例が分かる内容だ。問題となる広告の注意点をまとめたので、今後の広告展開の参考にしてほしい。

通信広告実態調査とは

通信広告実態調査とは、JADMAが設置している第三者機関「広告適正化委員会」の広告調査のこと。広告適正化委員会は通信販売に関する広告表現について情報収集及び評価検証を行っており、年に一度、実施した調査・検討活動の結果を報告書としてまとめている。

2023年度は、2023年10月にサンプル調査を実施。14名の大学生、大学院生に協力を仰ぎ、問題と思われるチラシ、SNS、Webサイト上の動画広告を収集して消費者保護の観点から広告表現の評価検証を行った。

調査概要

■調査対象エリア
関東及びその周辺エリア7県(群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、長野県)
■調査期間
2023年10月2日~同月15日
■調査員
消費生活アドバイザー等の資格を有する一般消費者
■調査方法
調査員1名につき広告収集に協力する2名の調査員協力者を配し、3名1組体制で調査期間に触れた全ての通販広告を収集。調査員の判断により、問題があると考えた広告を10件程度選定し、その内容の調査を行う。
■調査項目
①広告情報に関する調査(媒体の種類、商品種別)
②広告内容の適正性に関する調査(事業者情報、販売条件、問題の理由)

出典元:2023年度通販広告実態調査報告書(公益社団法人日本通信販売協会)

問題ある広告表示の要因は

収集された広告数1044件のうち、問題ありとして選定された広告は341件。広告媒体別の分類としては、SNS上の広告115件(33.7%)、Webサイト上の広告107件(31.4%)、新聞広告・雑誌66件(19.4%)などがあげられた。また、商材別分類の割合は食品・健康食品・医薬品126件(37.0%)、化粧品・美容器具98件(28.7%)、サービス62件(18.2%)となっている。

問題があるおそれのある広告については、以下引用図を参照されたい。

2023年度通販広告実態調査報告書より

割合の最も多かった「誇大な性能・効果効能表現」については、一般的に得られる範囲を超える効果効能や医薬品的な過剰な効果を訴求する等、合理的に考えられる性能や効果を著しく逸脱した表現が目立った。EC事業者は、景表法のみならず、健増法や薬機法等の関連法令についても遵守しているか、表現を今一度確認したい。

問題ある広告手法類型とは?

調査を通じて、特に問題ある広告手法が検討され、以下3つの類型にまとめられた。3つの類型はいずれもある種のフォーマットとして業界に伝播していることが懸念されている。

■類型1:不適正な比較広告・No.1表示
「○○ランキングNo.1」などあたかも公平な調査に基づく比較であるかのように表示しているケース。実際には、比較の根拠となる調査の内容が恣意的であることも多い。

特に、Webサイトや商品の印象に関する調査の結果をあたかも購入者や利用者の評価や満足度に関する調査であるかのように表示する例は注意が必要。調査の条件等を正確かつ分かりやすく記載する必要がある。

比較広告やNo.1表示については、「比較広告に関する景品表示法上の考え方(比較広告ガイドライン)」や「No.1表示に関する実態報告書」)などの行政が発行するガイドラインを参考にしたい(※1)。

※1 参考元:比較広告に関する景品表示法上の考え方(消費者庁)
  参考元:No.1表示に関する実態調査報告書(公正取引委員会事務総局)

■類型2:虚偽が疑われる商品の体験談や使用者の写真
実際にはそのような体験談や使用者の画像は実在しないフィクションであるにもかかわらず、あたかも真正の体験談や使用者の画像であるかのように表示していることが疑われるケース。

「イメージです」などと注記を表示しても、広告を目にする一般消費者にとっては体験談や画像がフィクションであることは想定できない。誤解を招かないよう分かりやすい記載がないと、不当表示に該当する恐れがある。

特に体験談や使用者の画像は訴求力が高い。ねつ造と受け取られないよう留意が必要だ。

■類型3:誤認を与えるカウントダウンタイマーや在庫表示
「本日受付終了まで○時間○分○秒」と記載したカウントダウンタイマーや、「残りわずか○個!購入を急いで」と在庫表示を記載しているケース。実際にはカウントダウンは無意味で期限がなかったり、販売状況に関係なく常に変わらない在庫数が表示されたりすると、不当表示に該当する恐れがある。

カウントダウンタイマーや在庫表示は、消費者に購入を焦らせることのある広告手法だ。よって商品やサービスの優良性や有利性を過剰に強調するものとならないよう留意しなければならない。

広告が問題にならないためにどうすべきか

JADMAはこの調査結果を受け、問題あると考えられる表示を行っている通販会社に対して改善希望を通知し、消費者に対しても調査結果を周知することで慎重な購買行動を取るよう求めている。

報告書内の「通販広告適正表示の評価項目」は、通販広告の適正な表示を行う上で必要な「商品内容に関する広告表示」「取引内容に関する広告表示」などがチェックリストになっており、項目別で確認が可能だ。それぞれのリスト項目がどの法律に関係するかや、不適切な例も明示されているため、今後広告の適正性を図るうえで参考にしてほしい(※2)。

また消費者庁では、今後特に「No.1表示」に関する調査を行うことが明らかにしている。このため、今後広告表現に対する規制がよりいっそう厳しくなることが考えられる(※3)。調査結果やチェックシートを元に、顧客にとって分かりやすい広告表現となっているかをより意識し、親切な取引を心掛ける必要があるだろう。

※2 参考元:「2023年度通販広告実態調査報告書」p31~(JADMA)
※3 関連記事:ニトリやエクスコムグローバルにも指摘 「No.1表示」消費者庁が実態調査へ〜景表法で法的措置事件の概要も公表


記者プロフィール

奥山晶子

2003年に新潟大学卒業後、冠婚葬祭互助会に入社し葬祭業に従事。2005年に退職後、書籍営業を経て脚本家経験を経て出版社で『フリースタイルなお別れざっし 葬』編集長を務める。その後『葬式プランナーまどかのお弔いファイル』(文藝春秋刊/2012年)、『「終活」バイブル親子で考える葬儀と墓』(中公新書ラクレ/2013年)を上梓。現在は多ジャンルでの執筆活動を行っている。

奥山晶子 の執筆記事