佐川急便が「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を開始 

ECのミカタ編集部

業界初「AI搭載の荷積みロボット」を実証実験する4社共同プロジェクトを発足

SGホールディングス株式会社(以下:SGホールディングス)、佐川急便株式会社(以下:佐川急便)、住友商事株式会社(以下:住友商事)、AIロボティクスソフトウェアの開発等を行う米国企業Dexterity, Inc.(以下:Dexterity)は、輸送力不足に対応する取り組みの一環として、「AI搭載の荷積みロボット」の実証実験を行う共同プロジェクト(以下:本プロジェクト)を発足した。

AIを搭載した荷積みロボットの開発・テストの実施

本プロジェクトは2023年12月より1年間の実証実験を行い、早期の実用化を目指す。概要については以下の通りだ。

◆期間
▷2023年12月から1年間
◆場所
▷Dexterityの米国施設(AI搭載の荷積みロボットの開発)
▷SGホールディングスグループ「Xフロンティア®(※1)」(実オペレーションの検証)
◆内容
▷Dexterity製の荷積みロボット(既存)をベースに、佐川急便が求める輸送品質や処理速度などの要件に合致するAIを搭載した荷積みロボットの開発・テストの実施
▷開発したAI搭載の荷積みロボットをXフロンティア®内の中継センターに設置し、実際のオペレーションを検証
◆費用
▷約6億円

実証実験によって、AI搭載の荷積みロボットが佐川急便の求める輸送品質と人手作業の代替として十分な機能を果たすことが確認でき次第、早期に実用化を進める。具体的には、今後新設される佐川急便の大規模中継センターなどへの導入を検討する予定としている。

※1:SGホールディングスグループの次世代型大規模物流センター

物流業界初の試みとなる本プロジェクト

本プロジェクトはSGホールディングス、佐川急便が、米国の物流業界でロボットの導入実績のあるDexterityの技術を生かし、Dexterityの日本代理店を担っておりかつ長年のパートナーである住友商事と協業する。

この新しい荷積みロボットには、Dexterityが有する米国の物流業界で培ったロボット技術に高度なAI技術を搭載し、佐川急便における物流オペレーションを学習させることで、佐川急便が求める輸送品質の実現を目指す。

人手作業の代替として、トラックの庫内に最適な荷積み作業ができるロボットの開発は、国内における物流業界で初めての試み(※)となる。トラックドライバーや積み込み作業者の業務負担軽減や荷役作業の省人化が期待されるだろう。

※国内の物流業界における人手作業の代替として、個々の荷物をトラックの庫内の最適な位置に積み込めるAI搭載の荷積みロボットの開発について。2023年12月14日、佐川急便調べ

◆Dexterityが開発したロボットによって荷積みされている様子(米国)

荷役作業の省人化が期待される

現在、物流業界は労働人口減少による労働力、輸送力不足といった課題を背景に、トラックドライバーの労働負担の軽減など労働環境の改善が求めらている状況だ。

しかし、荷積み作業はトラックドライバーや積み込み作業者が荷物のサイズ・形状・重さのほか、送り状の備考欄の記載内容や梱包資材の状態などを瞬時に確認する必要がある。さらに、軽くて壊れ物が入っていそうな荷物は備考欄を確認して手前に荷積みするなど、細心の注意を払わなければならない。

佐川急便では、将来的な労働力および輸送力不足に対応するため、以前より荷積みロボットの導入を検討してきたが、輸送品質を維持する人手作業の代替が困難であり、大きな課題となっていた。本プロジェクトは、そうした「積み荷作業」の作業効率化を実現させる存在として期待されるだろう。実証実験は1年間設けられているが、機能が確認でき次第、早期の実用化を進めるとしている。荷役作業の省人化がどのように普及するのか、本プロジェクトの動向に注目だ。


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