『三越伊勢丹』のEC戦略!管理コストを削減し、実店舗との連携をシームレスに。

野中 真規子 [PR]

株式会社三越伊勢丹ホールディングス(以下、三越伊勢丹ホールディングス)では、店舗とアプリで今まで以上にシームレスに連携することを目指し、サイトリニューアルを実施。

以前はフルスクラッチで構築していたため維持管理にコストと時間がかかっていたが、TIS株式会社(以下、TIS)をパートナーとし、クラウド型ECプラットフォーム『Salesforce Commerce Cloud』を導入することで業務効率を上げ、コスト削減を目指した。

今回は株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ テクノロジー推進部 部長 唐沢 猛氏に、導入経緯や効果、2社間の取り組みを伺った。

三越伊勢丹グループの百貨店事業や金融事業のシステム面を担当

三越伊勢丹グループの百貨店事業や金融事業のシステム面を担当

――三越伊勢丹ホールディングス様の会社概要をお聞かせください。

唐沢氏:三越伊勢丹ホールディングスは、国内外に約50店舗をもつ百貨店事業を中心に、不動産業、金融・友の会業の他、様々な事業を行っており、2019年度のグループ連結の売上高は、1兆1,192憶円となっています。その中で私が所属する株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズは、百貨店をはじめとするグループ会社および外部企業への情報システムソリューションやサービス提供を行っています。

三越伊勢丹(当時㈱三越と㈱伊勢丹)がEC事業を始めたのは2000年頃です。当時はお中元やお歳暮などギフトの販売が主流で、そこから10数年はリアル店舗の補完をするためのサイトという位置付けでした。

その後2011年に三越と伊勢丹が統合したことをうけ 、2014年にそれぞれのECシステムを統合しました。

ECサイトをフルスクラッチで構築した結果、システム改修コストが負担に

ECサイトをフルスクラッチで構築した結果、システム改修コストが負担に株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ テクノロジー推進部 部長 唐沢 猛氏

――『Salesforce Commerce Cloud』をご利用する前、どのような課題がございましたか?

唐沢氏:当時のECサイトはフルスクラッチで構築しており、裏側の業務システムも手作りしていました。それゆえに、いろいろなことがきめ細やかに実現できはするのですが、維持やメンテナンスにコストがかさんでいました。

ECサイトですから当然システム改修は必須ですし、常に新しいサービスを展開していく必要もあります。なおかつブランドの世界観を表すサイトデザインも頻繁に更新していかなければなりません。手作りゆえに、あらゆる面でやりたいことができる分、時間もかかっていました。

2019年にECサイトを構築して5年が経ったこともあり、リニューアルを検討する中で、パッケージを使えば品質が担保され、機能の範囲内でいろいろなことができ、なおかつもっと楽に運用できるのではないかと考えました。

――どのような経緯で『Salesforce Commerce Cloud』を知りましたか?

唐沢氏:グループ内で『Salesforce』の中でもCRM(リピーターの維持・育成)の仕組みを使用しており、他にEC系の仕組みもあると聞いて興味を持っていました。 実は三越伊勢丹のECサイトの前にも、カスタムオーダーのワイシャツやカジュアルギフトなどいくつかのECサイトも『Salesforce Commerce Cloud』で作ってきた実績がありましたので、安心感もありました。

そこでフルスクラッチのサイトをそのまま進化させるか『Salesforce Commerce Cloud』に変えるかの2択で検討しましたが、『Salesforce Commerce Cloud』を使えばコストや時間の削減ができることはもちろん、サイトをいくつも建てやすい点も大きなメリットだと感じました。

というのも、弊社は百貨店という名の通り本当にいろいろな商品を販売しているわけですが、社内では1つのECサイトの中で何でも販売している状態より、食品のみ、婦人服のみ、靴のみ、ワインのみ‥などカテゴリごとのサイトがあった方がいいのではないかという意見もあったのです。そこも視野に入れて、最終的に『Salesforce Commerce Cloud』を選びました。

TISを含め、8チームでスクラムを組みながらプロジェクトを進行

TISを含め、8チームでスクラムを組みながらプロジェクトを進行■伊勢丹新宿本店

――『Salesforce Commerce Cloud』導入に向けて2社間でどのような取り組みをされましたか?

唐沢氏:リニューアルの最終的な目標は、伊勢丹新宿本店 のコンテンツをEC化することでした。そこで実店舗とECどちらでも同じ商品が選べてどちらでも同じものが買える『シームレス』をテーマとし、相乗効果を生み出すための施策を『Salesforce Commerce Cloud』を活用しながら実行していくことにしました。

関わる人数が多いので、意見をまとめるのには苦心しました。例えば経理のシステムを変えるなら経理担当者と話せば進められますが、ECとなると集客、コンテンツ、商品登録、マーケティング、物流、など様々な部署との連携が必要になります。そこでTIS様にもご協力いただきながら、システムを作り上げる我々とそれぞれの部署との合計8チームで、スクラムを組みながらプロジェクトを進めていきました。

当時、軸に置いていたのは、UI/UXをどこまでよくするかというこだわりでした。ECサイトは裏側の業務を、なるべくコストをかけないように動かせるようにしないと意味がありません。一方で、社内外のスタッフから、百貨店としての世界観をもっと表現すべきだとの意見もありました。そこも汲み取りながら、着地するポイントを探っていきました。

繁忙期も安定運用、費用対効果の高い施策に絞れるように

繁忙期も安定運用、費用対効果の高い施策に絞れるように三越伊勢丹オンラインストア 【公式】
https://www.mistore.jp/shopping

――『Salesforce Commerce Cloud』を利用される中で、満足している点を教えてください。

唐沢氏:品質が高いパッケージですので、余計な障害が出なくなりました。以前はお中元やお歳暮など繁忙期でサイトの動きが遅くなったり、サーバーがスローダウンするなど苦労していたのですが、今は『Salesforce Commerce Cloud』の力を借りて、アクセスが増えるタイミングであらかじめリソースを増やす設定にすることで、問題なくこなせるようになりました。

1月1日にはリニューアル後初めての初売りもありましたが、これまでもスニーカーなど熱狂的なファンが殺到する商品にアクセス集中があった際も問題なく対応できましたので、今後も安心しています。

フルスクラッチよりもサイト構築は早く、新型コロナウイルスの影響でスケジュールは若干遅れましたが 、ほぼ予定通り三越伊勢丹サイトを2020年6月にローンチすることができました。もともと時間をお金で買う意識で『Salesforce Commerce Cloud』を選んだこともありましたので、コストに見合った効果が得られたと感じています。

フロントデザインの修正なども、スクラッチ開発の頃は元々の要求に対して作っており、直すことは想定されていなかったので非常に時間かかっていましたが、『Salesforce Commerce Cloud』はデザインの修正を行いやすい作りになっているので、時間が短縮できました。

また『Salesforce Commerce Cloud』に限ったことではありませんが、フルスクラッチだったサイトをSaaSに変えるということは、できないことが増えることでもあります。その代わりに維持メンテナンスにかかる時間を減らせたわけですが、社内では今まで構築に関して何でもリクエストできたところに制約がかかってきます。

これは逆にいうと、できないことの選別ができるメリットでもあります。弊社は百貨店であるがゆえに、いろいろなものを販売しているので、社内から何か1つの商品のためだけや、少数意見に応えるためだけの改修の要望があったり、数百万円かけても効果が出るのかどうか疑問に思えるようなリクエストもこれまでたくさんありました。

今はそこを選別しながら本当に費用対効果のあることに絞って進めていけるようになったので、『Salesforce Commerce Cloud』の導入は、ビジネスとしてのバランスを考えると良かったと思います。

【Salesforce Commerce Cloudの詳細を知りたい人はこちら】

複数のブランドを持つ企業に、『Salesforce Commerce Cloud』はおすすめ

複数のブランドを持つ企業に、『Salesforce Commerce Cloud』はおすすめ『Salesforce Commerce Cloud』を中心とした統合ECプラットフォームのイメージ

――TIS様と一緒にサイトを構築・運用されてきたご感想を教えてください。

唐沢氏:おかげさまで、新型コロナウイルスの影響以外では予定通りに進行し、大きな問題もなく感謝しています。弊社のサイトリニューアルは、TIS様でないと実現できなかったと思います。

我々が『Salesforce Commerce Cloud』に対して最初に魅力に感じていた、いくつかのサイトを立てやすいという部分は今も実感しているので、複数のブランドを抱えているような企業にはおすすめです。

プロジェクトで初期からご一緒したTISの西川様は、弊社の何千、何万とある商品に対して『Salesforce Commerce Cloud』をどのような形でフィットさせていくのかを、お客さまのニーズに合わせて考えてくださっています。靴ひとつとっても、弊社にはプロフェッショナルがいて、サイトへのこだわりもある。そこにシステムとしてどう対応していくのかを真剣に考えて取り組んでくれています。

TIS様にはコンテンツ管理などEC以外のデジタルマーケティング領域でも、本当にいろんなことでお力をお借りしており、これからも厳しいことをお願いすると思いますが、ぜひ応えていただきたいです。これからも様々な領域で一緒にやらせていただければと思います。

『Salesforce Commerce Cloud』の資料DLはこちら

グループ全体のビジネスを視野に入れたプラットフォームとして

――今後の展望をお聞かせください。

唐沢氏:三越伊勢丹グループでは、ECサイトだけでビジネスを成り立たせようとは思っていません。EC売上はコロナ禍で伸びたものの、グループ全体売上と比較するとまだまだシェアは小さく、百貨店売上におけるEC売上構成比は数パーセントです。

ですからECのビジネスというより、グループ全体のビジネスを考えて、シームレスをより意識しています。店舗にもスマホやタブレットなどのデバイスがあるので、そこで商品を購入していただくとか、動画でやり取りしながら商品を選んで購入していただき、決済のみをECで行っていただくとか、今までPOSはPOS、ECはECとなっていたシステムをAPI連携して、百貨店にあるものをどこからでも購入していただけるようにするなど。その一部を既に『Salesforce Commerce Cloud』で実現しているわけですが、今後もいろんなもののプラットフォームになれるようなサイトにしていきたいと考えています。

――ありがとうございました。2月には唐沢氏と、TISの座談会をウエビナー形式で開催されます。『Salesforce Commerce Cloud』の魅力や、2社の取り組みについてより詳しい話が聞けるチャンスなので、ぜひお申し込みを!

座談会のご参加はこちらから


記者プロフィール

野中 真規子

ライター。著書(電子書籍)『片付けられない、という「思い込み」をなくして、今すぐ片付けるための本』(ハウスキーピング協会)が好評発売中。ECのミカタにおいては、ECサービスのお話から伝わる本質的なメッセージを受け取り、拡散することが歓びです。

野中 真規子 の執筆記事