イオン、物流の2024年問題に対応する4施策を発表 サミット、マルエツ等も協調し取組強化へ

イオン株式会社は、社会課題である物流分野における「2024年問題」解決に率先して取り組むため、グループ共通施策として2024年春から順次、全国約3300店舗を対象に物流効率改善を前提とした店舗配送方式へと移行することを発表した。

最大約10%の配送効率改善への4施策を発表

イオン株式会社(以下、イオン)は、物流の2024年問題に起因するドライバーの労働力不足解消に貢献するため、4つの施策を2024年春から順次、全国約3300店舗を対象に展開することを発表した。この取組により、最大約10%の配送効率改善が期待できるという。
4つの施策については下記の通り。

①車両効率を前提とした納品時間枠の設定と、日別物量の平準化による積載率の改善
「朝便」「昼便」の区分を廃止し、一つの枠として車両は満載の状態で走ることを前提とする。また、曜日ごとの物量の平準化を前提とする方式へ移行し、車両積載率を改善。
②AIを活用した配送計画の最適化による必要車両数の効率化
交通状況や店舗別物流状況などをもとにAIで最適ルートを計算し、より少ない車両で配送。
③店舗荷下ろし時のドライバー付帯作業の削減
ドライバーが商品を売場まで引き込む納品方式を採用している店舗に対し、店舗荷受場での荷渡しを原則とするルールへ変更。(夜間納品などの例外を除く)
④モーダルシフトやエリア単位での共同配送のさらなる推進
長距離輸送においてドライバーの負荷軽減と脱炭素に貢献するモーダルシフト(鉄道貨物の利用など)をさらに強化。また、地域単位で小売各社の車両の余剰をシェアする取り組みを率先して推進し、各地域の物流リソース不足の解消に努める。

仕入、物流、販売の各ステップを一連の連続したプロセスと捉え、サプライチェーン全体の オペレーションを物流効率の視点で再設計することで、配送に必要な車両数の削減やドライバーの負荷軽減を図り、ひっ迫感が強まる様々な物流リソース不足の解消を目指すとしている。

サミット、マルエツらも持続可能な物流にむけて協調

今回のイオンだけでなく、首都圏に店舗を展開するサミット株式会社、株式会社マルエツ、株式会社ヤオコー、株式会社 ライフコーポレーションも2023年3月16日に、各社の協力による物流効率化を研究する『首都圏SM物流研究会』を発足し、持続可能な物流の構築に向け議論を進めてきたという(※1)。2023年10月28日時点で、先述した4社に加えて、株式会社カスミ、株式会社西友、株式会社いなげや、株式会社原信、株式会社ナルス、株式会社東急ストアが参加している(※2)。

主な取組内容については下記の通り(※3)。

■加工食品定番商品の発注時間見直し
加工食品における定番商品の店舗発注時間を前倒し
→お取引先様の夜間作業の削減および調整作業時間確保の実現
■特売品・新商品の発注・納品リードタイム確保
特売品・新商品の計画発注化を進める確定した発注データをもとに商品や車両の手配ができる環境を整備
→緊急手配等の作業負担軽減、積載効率および実車率の向上
■納品期限の緩和(1/2ルールの採用)
180日以上の賞味期間の加工食品における「1/2ルール」採用
→商品管理業務の負担軽減による⾷品物流効率化への貢献
■流通BMSによる業務効率化
卸売業と小売業間の受発注方式における標準化された流通BMSの導入
→高速通信による作業時間確保、伝票レス・検品レスによる業務効率化

小売業は、開店前や特売日前に物量が集中し、日別の物量差が最大2倍になるなどの物流波動が生じやすいことが課題の一つとして挙げられている。発注時間や作業負担等の見直しにより、物流の2024年問題に向けて各社取組を進めているようだ。

※1出典元:『首都圏SM物流研究会』の発足について(サミット株式会社、株式会社マルエツ、株式会社ヤオコー、株式会社ライフコーポレーション)
※2出典元:「首都圏SM物流研究会」への参加について(株式会社東急ストア)
※3出典元:「首都圏SM物流研究会」の取り組み(首都圏SM物流研究会)