【第4回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜CPI8円?業界に先んじたFB広告の工夫

土屋信博

【第1回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜なぜ、フリマアプリだったのか?
https://www.ecnomikata.com/column/10339/

【第2回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜差別化の鍵はユーザーニーズにあり
https://www.ecnomikata.com/column/10436/

【第3回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜前日比5倍!?急成長の2つの要因
https://www.ecnomikata.com/column/10866/

【第5回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化 ~効果の出るCMの仕掛け方
https://www.ecnomikata.com/column/11877/

株式会社Fablicの土屋と申します。
今回は、前回の続きで日本初のフリマアプリがどのようにして広まったか、初期の広告を使ったマーケティング、特にFacebook広告についてお話しできればと思います。

代理店より先にFacebook広告を開始

代理店より先にFacebook広告を開始初期のFacebook広告

当時、口コミのほかファッション誌のモデルをしていた方がブログでフリルの宣伝をしてくれるなど、フリルが認知される機会が増え流入数は順調に増えていました。ただ、CtoCのサービス自体が珍しく、まだフリマアプリというものが今よりも浸透していなかったため増加率はやや緩やかでした。どうしたらもっとサービスをスピードを持って拡大していけるのか頭を悩ませていました。

その時、ニュースサイトでFacebookがアメリカで広告の一般提供を開始したという記事を見つけました。その当時はプロモーションにお金がかけられる程資金に余裕がある訳ではありませんでしたが、これだと思い、出稿させてもらえないかFacebook社に直接連絡をしました。

直接連絡したことが功を奏してか、おそらく日本でもトップクラスの速さで広告を出稿させていただけることになりました。代理店の取り扱いもその頃はまだ始まっておらず、広告効果もまだ未確定の中、実施することになりました。
この決断ができたのは、この広告はいずれ各社がこぞって実施するメニューになるであろう確信とベンチャーならではの思い切りがあったからだと思います。

CPIが8円!

当時のFacebook広告はどの程度インストールされてるのか管理画面で計測ができませんでした。アプリ広告の効果測定には欠かせないSDKも当時はなく、インストール数はデイリーのダウンロード数との差分から測定するしかありませんでした。普通のクライアントであれば、効果もわからないメニューを実施するということはまずないのではないかと思いますが、弊社では「まずはやってみる」、そんな精神で広告を実施しました。

そして実施した結果、なんとCPI(Cost Per Install;DL1件当たりの獲得コスト)が8円という驚異的な数字を打ち出しました。今の獲得単価の平均の約60分の1という数字になります。
広告を運用している方であれば、この数値がどれ程驚くべき数値かわかっていただけるのではないかと思いますが、後にも先にもこのような驚異的なCPIは見たことがありません。
また、ダウンロードだけではなく出品数も比例して伸ばすことができた為、継続的に出稿をしました。

当時はまだユーザーが広告慣れしていなかったのも勝因だとは思いますが、その当時の「この広告はいずれ各社がこぞって実施するメニューになるであろう」という確信は間違いではなかったと自ら立証できた出来事でした。

勝因は創意工夫

また、その頃のFacebook広告には「クレジットカード決済しかできない」「個人のFacebookアカウントからしか出稿できない」など、数多くの課題が存在していました。

その度に工夫を凝らし、課題を解決し活路を見出していきました。
「クレジットカード決済しかできない」問題は、会社の手持ちのクレジットカードではすぐ限度額がきてしまうため、審査不要、本人確認不要、銀行口座不要なネット専用の上限3万円のクレジットカードを見つけてきました。そのカードの発券のために何十万円というお金を持って会社の近くのコンビニ通いするなど泥臭い作業も行った程です。

そんな作業が実を結び、フリルを多くの方にかなりの低予算でダウンロードしていただくことができました。
その3ヶ月後には代理店もFacebook広告をメニューとして取り扱うようになり、今までのような低単価での獲得はできなくなってしまいましたが、この出稿を通じて「先んずれば人を制すこと」や「課題解決のために創意工夫を凝らすこと」など多くのことを学ぶことができました。
今後も新しい広告メニューなどは積極的に取り組んでいきたいと思っています。


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若者のファッションから消費トレンドを考える調査機関
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著者

土屋信博 (TSUCHIYA NOBUHIRO)

2005年、株式会社ECナビ(現:VOYAGE GROUP)に新卒入社
新規事業立ち上げ、既存事業の業績拡大、組織戦略などに携わる。
2012年、株式会社コナミデジタルエンタテインメントに入社。
国内・海外向けネイティブソーシャルゲームの企画・運用・KPI分析を担当。
2014年、株式会社Fablic入社
ビジネスディベロップメント、マーケティング領域を担当。

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